軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

質問攻め3

「ったく! 結論から言えばドラゴンは存在する。決まった時期に空を飛んでアドレスの頂上へ消えていく姿がよく目撃される。俺も見たことはある。出会ったわけじゃねぇから、人語を話すかは知らねぇし、戦ったことなんかあるわけがねぇ」

「アドレスの頂上へ・・・って、それは本当なのか? 通り過ぎてるだけじゃねぇだろうな?」

誰もが思いつく疑問をジェイドも辿る。

「大昔。そんな話になって、その時期に観測会が開かれたって記録があるらしい。アドレスの東西南北から観測して、南側と西側からはアドレスへ向かうドラゴンの姿を確認できたが、北側と東側はアドレスから飛んでくるドラゴンの姿は観測できなかったんだとよ」

「その頂上までは誰も見に行ったことがないんですか?」

ヨハンは首を傾げるが、それはとんでもねぇことだぞ?

「アドレスの推定標高は7000M以上。頂上攻略ルートの最前線が、確か俺が引退した時は5000Mにも届いてなかったはずだ」

「それじゃあ、確認は・・・無理」

元素を司るというドラゴンに聞きたいことでもあったのか、ケイトは項垂れる。

「そうだな。現冒険者の活動拠点”サルベージ”が標高でいうと、おおよそ2000Mとかその辺で、前線キャンプを設置するかどうかっつー話が上がってた気がするな。そういえば、だが」

「サルベージ? 変わった名前ですわね?」

漠然としたドラゴンのことより、キューティーとしては拠点の名前の方が気になるようだ。

「逆だ。変わらなかったんだよ。サルベージがある場所は見晴らしがいい平らな場所で、広く山肌がなだらかなせいでモンスターは身を隠せねぇから、一種の安全地帯になっててな。そこをはぐれた仲間を回収するためのキャンプにしたってのが始まりだったらしい。せめて生死の確認だけでも、遺品の回収だけでもっつって、真似するやつが増えて、引退したやつが後輩の支援のためにそこに残って、さらには商人が出入りするようになって、今みたいな町になったんだ。サルベージの意味は取り返すだな」

「悲しい話だけど、冒険者らしい歴史ではあるわね。そこに需要があって、それで町にまでなったんなら、悪くない結果だったんじゃないかしら」

頬に手を当てながらエイラが困ったような顔で、だが感心したように呟く。

「そのおかげなのか冒険者同士の互助意識も上がって、危険こそが冒険! みたいな一部のバカを除けば死亡率も大幅に下がったらしいからな。ただ、こういう話は向こうについてからは不用意にするなよ。あそこに残ってる連中の中には、未だに心残りや未練を引きずってる奴もいるからな。特に、お前らはB級だ。その手の話にはかかわるな」

それにしても得意気に話しすぎたか? と、歯止めをかけるように注意事項も混ぜておく。

「B級、というのがなにか関係あるのでしょうか? 以前にもB級以下は~と言っていた気がするのですが・・・」

「利用制限の話だな。B級以下はギルドや関連施設の一部機能を制限される。正確には、C級以下は宿泊以外一切の利用が出来ねぇ」

「宿泊だけって、えげつねぇな」

露骨に嫌そうな顔をするジェイドだが、

「そもそもB級未満は南の辺境伯領で事情を説明されて止められるからな。それを潜り抜けたところで意味がねぇってだけの話だ」

どっちが悪いかと言えば、実力が足りない奴が悪い。それが冒険者だ。

「で、B級はどうなのかってことだが――札消しの話は覚えてるか?」

「懸賞のかかったモンスターを討伐すること、ですわね!」

「そう。懸賞が掛けられる理由は色々とあって、主には復讐で利用されるってのも説明したはずだが、B級以下はこの討伐依頼を受注できねぇ。発注はできるがな」

「それは足手まといになる、から? だから、そういう話もするなって・・・」

キューティーは自慢気に、ケイトは納得して頷く。

「そういうことだ。不意にそのモンスターと出会っても戦わない。っつー念書も書かされるな。後はまぁ・・・大したことはねぇな。施設を同時利用する数の上限がちょっと低いとか、保険料がちょっと高いとかそんなもんだ」

こいつらの数なら、全員が同時に別の施設を利用する。とかじゃなけりゃ大丈夫だ。

「それってどこかで確認できるのかしら?」

「サルベージの冒険者ギルドで嫌ってほど聞かされるだろうが、気になるなら南の辺境伯領にあるギルドでも、確認ぐらいはできるんじゃねぇか?」

「その南の辺境伯領はもうすぐなんですよね?」

「ああ。つっても、今回は長居しねぇからな。ある程度の話なら国境を越える時の関所でも聞ける。観光してぇならそっちを優先しておけよ」

普通の護衛任務や相乗りなら隊商の都合でしばらく滞在することになるが、今回は俺の移動の為に出してもらった隊商だ。大市への参加はしねぇ。

っと・・・そうなると向こうに着く時期は―――。

「運が良ければ見えるかもな。ドラゴン」

天気が荒れなければ、乾いた高い空を悠々と飛翔するドラゴンの姿を拝むことが出来るだろう。