軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

質問攻め1

「俺が居なかった場合の正解?」

「そうです! これからは先生に頼れなくなるので、答え合わせをしておきたくて!」

特に被害も出なかったため、戦利品は隊商に買い取ってもらい、その収容が終わり次第走り出した馬車の中で、ヨハンが聞いてきた。

「答え合わせってことは、自分の中で答えは出てるんだな?」

「はい! 僕の中では”逃げる”が正解だと思ってます!」

「理由は?」

「一匹怒り熊の特性と危険度を考えて、僕らだけじゃあの数には勝てないと思ったからです!」

「まぁそうだな」

一匹怒り熊は危険度B級以上推奨。

つまり、B級程度の実力がないと勝てないとされる相手。

特性については・・・怒りやすいが故に群れを生成せず。怒りによって魔力を増幅させ、発火から炎を纏うことが出来る。

注意する点は突進力が高く、剛腕。嗅覚と聴覚に優れ、縄張りの中では隠れきるのが難しいとされている。

名前通り1匹ならまだしも、あの数を6人で相手にするにはそれなりの工夫が必要になる。その知識がなければ逃げるという選択肢は間違いではない。

「じゃぁどうやって逃げる?」

「どうやって、ですか?」

「ああ。あの時は今みたいに馬車の中にいたよな? その状態で、モンスターの群れからどうやって逃げる?」

「それは・・・馬車の中から魔法で・・・」

「敵が見えた瞬間にか?」

「少しは遅れるかもしれませんけど、そうですね。見えてすぐに無理だと思ったら・・・ですかね?」

内容も、行動も。

おかしくはない・・・が、

「それじゃぁ話にならないな」

「どうしてですか⁉」

驚くヨハンだけじゃねぇ。全員へ聞こえるように話す。

「俺達は護衛だ。自分の身は当然だが、隊商の人員や積荷も守らなきゃならねぇ。そういう立場だってことを理解しろ。敵襲には誰よりも早く気付けるように。下した判断は素早く御者へ伝える。俺達が先頭の馬車に乗ってるのはそのためでもあるんだぞ」

護衛という役目である以上、損害の請求を受けることもある。

金を稼ぐための依頼で金を払ってちゃ生きていけねぇからな。

「逃げるにしても、お前らはこの辺りの道に詳しいのか? 地図を見なくても迷わねぇのか? 工事や事故で通れねぇ道の存在は? 町でそういった情報を聞いてきたか?」

「そこまでするんですか・・・⁉」

「完璧主義者ならするだろうが、そういうのは商人がやってくれてるもんなんだよ。だから、逃げるなら逃げるで御者に提案して道をどうするかとかを決めるんだ。今回なんかは護衛が先頭にしか乗ってねぇから、逃げる時の隊列を変更するかも決めなきゃならねぇし、入れ替えが出来る場所も探さなきゃならねぇ。自分達だけで完結する状況かの判断が甘いってことだ」

「ということは僕達だけだった場合、取るべき行動っていうのは・・・」

「逃げるって決断を隊商に伝えて作戦を固める、だな。殿として最後の馬車に乗ってたなら、指示を待ちつつ敵の様子を見て数や種族、状態を確認する・・・ぐらいか」

「なるほど。そういえば先生も最初に指示出してましたね」

「戦闘時に周りにいる奴らとは一蓮托生だ。よっぽど信用出来ねぇ奴を除けば普通は協力するからな。意思の疎通は重要になる。普段から挨拶や掛け声は意識しててもいいかもな」

っつーか、こんなことも教えてなかったのか? 俺は・・・・・・。

鍛えることにばっかり傾倒して旅の基本がおざなりじゃ、それこそ話にならねぇっての。

「そういえば・・・ですけど、この隊商の護衛は僕達だけなんですよね?」

「それがどうした?」

「いえ。さっきの話で思ったんですけど、普通は前後に配置するよなぁって。殿は要らないんですか?」

小首をかしげるヨハンだが、わざとだろうか?

「お前らの面倒を見るのも契約に入ってるから分けられねぇんだよ‼」

サンパダにそうなるよう頼んだんじゃなかったのか?