作品タイトル不明
side――栄光ある騎士団3
失敗したっ!
そう直感したのは敵に囲まれた瞬間だった。左右にそれぞれ5人ずつくらいかしら? いつの間にそんなところへ集合して、整列していたの⁉ と思ったけど違う。
私が前に出過ぎたんだ。
さっきの動きは私を誘導するための罠だったんだわ!
皆の位置だけじゃなくて、もっと全体を見るべきだった!
今まで何度もそう教わってきたのに、それを見ていたのに、聞いていたのに、いざ自分が・・・ってなるとこんなに難しいなんて。
想像通り身体が動くのが楽しくて、予想通りに敵に勝てるのが嬉しくて、つい調子に乗った。
普段、ジェイドにあれだけ調子に乗っちゃ駄目よって言ってるのに! なにをしてるのよ私は‼
でも、そんなこと言ってても仕方ないわね! ここは直線的に退避するより一旦、懐に張り付いてから渾身の力で弾き飛ばすようにして離れよう! そうすれば追ってくる相手の数や方向を絞れるはず―――‼
覚悟を決めて、足に力を込め、踏み込もうとした瞬間、視界の端で影が立ち上がる。
私はすぐにヨハンの援護だとわかった。でも本人は遠いみたいだったから、今のうちにさっきの行動を! と思ったんだけど、
「エイラ‼ 無事ですの⁉」
私が踏み出すより速く、隣から声が聞こえてきた。
まずい!
エイラさんのピンチが思ってたより早かった‼
でもそうだよね! 慣れてないんだし、もっとちゃんと気にかけておくべきだったんだ‼
しまったな。ここからじゃ遠くて無理やり飛び込んでも、僕じゃあそこまで届かない! 先生なら出来るんだろうけど・・・いや、先生ならこうはならないか。それにもし、なったとしても。対応策ぐらい用意してたはずだ‼
なんて。言ってても仕方ない! すぐに罠を起動しよう‼ 目立つように大きく、広く‼
それから籠手の魔法も使かっちゃって――罠の方は威力は出せないだろうから見た目だけ。攻撃は籠手の方でやって・・・って言っても、そっちだって大した威力にはならないか。
だったら、攻撃じゃなく妨害にしよう!
さらに僕が移動しながら、2つの魔法を集約させる魔法を使えばどうだろう?
魔法自体は変化魔法の応用でなんとかなるはず‼
効果は視界をちょっと暗くするくらいだけど、見た目もド派手にすれば、注意を引きつつ全体の動きもそれで止められるんじゃないかな⁉
そうすればたぶん、誰かがエイラさんのところまで行くよね‼
それで僕も遠回りにはなるけど、その後合流する感じで。
ジェイドさんの後ろから回れば安全だよね!
よし! 大丈夫! 皆だって放ってはおかない‼ 僕は僕のやるべきことを、だ‼
全く! 不甲斐ありませんわ‼
なにが? って、もちろん私が! ですわ‼
いい気になって自分のことばかり! 目の前のことばかり気にして! そんなことではジェイド様に愛想をつかされてしまいますわ‼
どうしてエイラのことを見ていてあげられなかったのでしょう!
大切な友人が新しいことに挑戦する。その新しいことは私に取っては日常であり、つまり私は先達に当たるというのに‼
そのことにすら気付かず、大切な友人を、エイラを窮地にさらすなど‼
あってはならないことでしてよ‼
なにより、それに気付いたのが少し奥。私より向こうを見ていた失礼なお方のニヤついた表情からというのが尚許せませんわ‼
もし私にもっと力があり、そのお方が私のことを見ていれば。私はエイラの窮地に気付かなかったかもしれないのですから!
自らの未熟さに助けられ、落ち度を救われるなど、屈辱以外の何物でもありませんわ!
ですが、今はいいでしょう‼
私を見ていなかったことも! 私を見せられなかったことも! 今は不問と致しましょう!
私の仲間が待っているのです‼
怒りは力へと変えて、行動で持って意思を体現しなくては!
でなければ先手を打ってくれたヨハンに示しが付きませんわ!
そんなの、我慢ならないのですわ‼