軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

適性とダメ出し

「どうか、しましたか・・・?」

「ん? あぁ・・・」

独り言が出ていたか。

「今まで初級魔法を使って暴発したことはあるか?」

「これが、初めてです」

「闇魔法も?」

「はい」

魔法の威力はどれだけ正確に想像できるか、と単純な魔力量。

魔力量はいつもと変わらないはず。

ならば当然、暴発の原因はイメージによるもの。

リミアに言った通り、闇魔法を使う際に身近にある闇、影を使うのがポイントだといったのは嘘じゃない。その性質が水に近いこともだ。

だが、闇魔法に適性があるだけなら最初から闇魔法に明確な違いが出るだけのはず・・・。

「ヨハン。スキル・・・お前らの歳だとギフトになるか。そいつは影に関係してたりするか?」

「それは・・・」

大地に身を投げ出したまま、それでも言葉が続くことはない。

「そうか。ならいい」

言いたくない事情があるのなら無理に聞くことじゃない。

そもそもギフトについてはベラベラ他人に話すことでもないしな。

だが、今回の暴発はおそらく”影”がトリガーだと見て間違いないだろう。

だとしたら・・・どうする?

闇の適性は結構レアだ。使い勝手もいい。

本人が望む効率にも合ってはいるんだ。

とはいえ、ヨハンの態度からギフトに問題か、あるいはギフトに関連したなにかに問題を抱えている。

静かな時間。

少し離れたリミアはもちろん、寝そべるヨハンも、俺も声を出さない。

なんとも言えない。気まずい時間だ。

深く深く息を吐いて、

「・・・ふぅー。休憩にするか」

そう言って、ヨハンを担ぎあげ、リミアと同じ木にもたれ掛けさせた後、置いておいた丸薬の袋を回収し、腰の鞄にねじ込む。

二人は丸薬を吐き出してなかったので、時間をおけば魔力の回復に伴って元気になるだろう。

それまでに俺は・・・決断をしなければならない。させなければならない。

頼まれたからと言って、教育係なんて安請け合いが過ぎたかもしれないな。

「二人とも、体調はどうだ?」

しばらくして、声をかける。

俺は選んだ。

冒険者であることを。

大人でも、貴族でも、教師でもなく。

先人として・・・冒険者の在り方を植え付けると。

であれば、

「問題ありません」

「もう大丈夫です!」

そう答える二人にも選ばせなければならない。

そうなることを、そう在ることを。

「どうする? 今日はもうやめにしとくか?」

だから挑発する。

他のやり方なんざ知らないからだ。

「まだ帰るには早いと思いますが? まさか職務放棄ですか? 連日で、となるとこちらとしても見逃すわけにはいかないのですが?」

「僕もまだ帰れません! それに・・・聞きたいこともあります!」

やる気は有り余ってる・・・か。

俺も、同じ歳に冒険者になった。

今になって思えば、当時抱えていたものなど、そうたいしたことはなかった。

それでもあの時の俺には十分だったんだ。

だからきっと・・・・・・。

この二人も、大丈夫なはずだ。

「わかったよ。なら、まずは聞きたいこととやらを聞こうか」

「はい! まずは僕の適性について、それと・・・ギフトについて」

嬉しそうに、けれど尻すぼみするヨハン。

「そうか。じゃ、お前らの適性から話すか。その後にスキルとギフトについて教えてやるよ」

まずはリミアだ。

「リミアの適性は水だ。高い攻撃性を持っているときに自然と発生した上に、内容も初級魔法とはかけ離れたもんだったことから、かなり高い適正があるといえる。他の属性は調べてないが、闇が近い性質を持ってるから使える様になれば便利だ」

「なぜ他の属性は調べないのですか?」

「お前ほどの魔力量なら時空魔法以外なら無理やりでも発動するだろ。なにより、今のお前なら使えばわかるようになってるさ。それでもわからなかったら、そんときに聞いてやるよ」

納得がいくようないかないようなといった感じか。

まぁこればっかりは体感だからな。後が楽になるっていった意味もその時にわかるだろう。

最も適性がある魔法。というのは、一番スムーズに使える魔法ということだ。つまり、それ以外の魔法を比べれば違和感なり引っ掛かりを覚えるだろう。

「ヨハンの適性は闇だ。その次が木と土。この二つはそんなに差がないから、状況に合わせて使える様にしておけばいいだろう。その後に水、風と続くが・・・風まで行くと単体で使う意味はほとんどないだろうな。それ以下は日常生活以外じゃ役に立たねぇレベルだ」

「その・・・他のはいいんですけど、闇魔法は失敗したんですよ? それがなんで・・・」

「それはイメージの問題だ。お前が思ってたより魔法の力が強かったから、想像と違ったから御しきれなかっただけで、暴発自体はないわけじゃないし、悪いと決まってるもんでもない」

「でも・・・」

「お前がどう思ってるのかは知らない。使うかどうかもお前の自由だ。だが、闇魔法はお前が望む効率のいい魔法に違いないし、闇適性が一番高い奴は珍しい。それも一つの強さだ」

「・・・・・・」

なにを思ってるかはわからない。

だが、それは自分で決めるべきことだ。

俺のやるべきことは、

「才能としては十分だ。理解できる頭がある。実行できる力がある。後は信頼できるように経験を積むことだが・・・・・・残念ながらそいつは許可できそうにねぇ」

示すことだ。

「どういうことでしょう?」

「・・・・・・」

即反応のリミアはいい。

無反応のヨハンは・・・いや、大丈夫だ。

「学園でそう習ったのか知らねぇが、一々魔法を撃つために敵の前で目ぇ瞑ってる奴が勝てる相手なんか存在しねぇからだよ」

「ッ⁉」

「いいか? モンスターだろうが、賊だろうが関係ねぇ。敵は待っちゃくれねぇんだ。死にたくねぇなら、魔法に夢を見るな。現実を見ろ。話はそっからだ」

楽しいことは重要だ。

その考え自体はなくしちゃいない。

だが、それだけじゃなかった。

いつだって、俺を突き動かしたのは・・・悔しいって気持ちだった。