作品タイトル不明
反される者
「ダンデは北領奪還解放作戦において類稀なる戦果を挙げた。具体的に言えば、単身で敵陣に乗り込み総司令官を打ち取った。そんな人物が主導して行われた介錯は・・・そうだな、盛況・・・とでも言えばいいのか。皆、喜んでいたよ。他の誰でもない最大の功労者が自分達の為に、さらなる業を背負ってくれることを喜んでおった」
誰にも看取られず、ゴミの様に死んでいった仲間達を知っている。
誰にも助けられず、最後まで苦しみぬいて死んでいったものを知っている。
だからこそ。英雄に介錯され、最低限の痛みと苦しみでこの世をされることを、それを多くの仲間達に看取ってもらえること喜んだんだろう。
「全ては順調に進んでいき、最後の1人まで。そこまでは問題などなく全員を送り出しすことが出来た。しかし―――」
そう。
この後にくだらない問題が起きる。
「誰かが言い出したのだ。”苦しんだこいつらの為に、敵を同じ目に合わせよう”とな。それこそが手向けになる、とまで」
誰が言い出したのかは知らねぇが、御父上は止めなかった。
それどころか、幾つかの規則を作ってまで。この祭りを引き継いだ。
翌年も、その次もまた。ずっと。
「奪還を成功させたのだ。当然ながら帝国兵の捕虜がいた。闘わなかった者、闘ったが敵わなかった者、逃げようとしたが逃げられなかった者。数多くいた。帝国はこの地を足掛かりに皇国を責め亡ぼすつもりだったからかもしれん」
年単位で敵国の領土を奪い維持しようと思うなら、必要な人手は莫大な数になる。そりゃぁ捕虜の数もそれなりにいたはずだ。
「その中には兵士ではないものも紛れておった。にもかかわらず、いや。むしろ率先してそのような者を引っ張り上げ、敵兵士たちの目の前で嬲った。”お前達のやったことはこういうことだ”と叫びながら。制止も、懇願すらも無視して」
やられたらやり返す。舐められねぇためには必要な時もある。
だが、それを誰かへの手向けだといって、責任をその誰かに押し付けて。それで自らの欲望を発散するなんざクズのやることだ。
「そして、しばらくもしないうちに公開処刑が始まった」
今の今まで引き継がれている公開処刑とはこれのことだ。
「袋叩きにして、それでも収まらず。裸に剥いて処刑するなど・・・それでは敵の行いを肯定するようなものではないか‼ 私達の痛みを! 容認することになるではないか‼ そう叫んだが・・・最早狂喜乱舞となった場所では誰に届くわけもなく。見るに堪えぬ、聞くに堪えぬとその場を離れる者も居ったが、結局は収まるところを知らず。そこかしこで私刑が施された。そのような祭りが今年も行われるだなどと・・・」
合わせる顔もない。その言葉は言わずとも、吐き出されるため息から聞き取れた。
「我欲を満たすためだけのはずなのに、年越しの祭りにはこの地の繁栄や鎮魂の意味が込められてるっつーんだから、笑えるよな?」
「そんな悪趣味な祭りの為に帰ってくる悪タレもおるというのだから、堪えきれんよ」
「あぁ全くだ。ふざけた話だぜ」
同じくそんな家に生まれたせいで、くだらねぇ業を背負わされる甥を思えばこそ。笑い飛ばしたくなるね。