作品タイトル不明
一つの解答
下っ端と思われる奴が馬車に乗り込み、数十秒。
ドタドタと出てきてディーノに耳打ちする。
「どうだった?」
「・・・ここからでは通信は届かないようだ。残念だったな?」
なぜかは知らねぇがニヤリと笑って答えるディーノ。
「なにが残念なんだ?」
「君の思い違いが証明できずに、だ」
「くっ・・・はっはっはっは‼」
「ッ⁉ なにがおかしい‼」
「おかしくねぇところがあったか? 連絡がつかねぇってことは、俺が言った通りだったってことじゃねぇか! それを、残念だった? いいや? 残念なのはてめぇの頭だよ!」
本当に。どこまでも目出度いことだ。
「さっきも言っただろ? 全戦力を投入した決戦に、姿を見せねぇ理由があるか? ってな。これで、通信が届いて、奴が出てれば、まだ可能性はあった。現場に居なくても、通信越しにでも、指示は出せるからここにいないんだ‼ とでも、言える可能性がな?」
そう。
これはただの確認作業だった。
本当に見限られたのかどうか、の。
その答えはといえば、本当に見限られてやがった。
全戦力をもっての戦闘に自分だけを含めない理由はなんだ?
次の予定があるから? 自分には戦闘能力がないから?
そんなわけがねぇ‼
きちんと計画を立てているならこそ、まだ得ぬ成果を基になどしない。
作戦を考えた奴にしかわからないこと、対応できないことがある。なんてのは常識だろう。
だから、連絡がつかないっていうのは、そういうことなんだ。
「一旦帰ってみたらどうだ? まぁ今から戻っても、最早もぬけの殻だろうけどな」
「・・・・・・なぜ、そんなことが言える・・・?」
「あいつは通信可能な距離を知ってたんじゃねぇか?」
「それは・・・・・・」
真っ赤な顔で青筋を浮かびたてながら、ディーノは横に視線を飛ばす。
その先には1人の傭兵が突っ立ってて、たぶんそれなりにいい立場なんだろう。そいつは視線を受けて、頷き返す。
「つーことは、だ。あいつはそのことを、あえて教えなかったってことだ。そうじゃねぇなら、普通はこういうだろ? これ以上の距離を空けると通信が出来なくなるので、お互いの距離には気を付けてください。ってな」
なにも、言い返すことがないのか、俯いたまま拳を握るディーノは、プルプルと震えるばかりだ。
ここまでくると逆に笑えないというか、哀れにすぎる。
長くはない沈黙の後、ディーノは顔を上げて、
「ここで勝てばいいだけだ‼‼ 勝てば全て上手くいく‼ 奴など居らずとも、どうとでもなる‼」
そして、
「行け‼ お前達‼ 奴らを捕らえた者には特別報酬もくれてやるぞ‼」
と、傭兵共をけしかける。
――だが。
「それはもう無理だ」
その行動は、あまりにも遅すぎた。
俺は・・・くだらない話をしている間も感じていたんだ。
あの、魔力を使い切った後に繋がった感覚を、感じ続けていたんだ。
そう。俺に流れ込み続ける魔力の波を‼
傭兵共が動き出すより先に、俺は手を上げる。
空を掴むように、押し上げるように。
それを見た坂を下ろうとしてた傭兵は足を止め、そして。
すぐに、異変に気付くことになる。