作品タイトル不明
side―スイ
残念ながら亜人さん達は話を聞いてくれなかったです。
それどころか、あっという間に取り囲まれて、戦うことになってしまったです。
悲しいですがどうしようもないです。
どうすればいい? というリーダーの質問にゼネスさんが、ぶちのめせ! と返したですから。
それを聞いたリーダー達はすぐさま行動に移ったです。
スイ達の間を飛び回るように駆け抜けていた亜人さん達を攻撃します。
リーダーも、タンも、フッチも、近くにいた敵を狙って・・・ホウだけはスイのことを守るように前に立ってくれるです。
いつもより近い立ち位置。狭いはずの隙間。そこの狙った素早い攻撃。
なのに――当たらない。
いつもならもっと動揺していたかもしれないです。
でも今は、誰も慌てない。
それどころか・・・ジッと相手の動きを見て、なにかを探しているです。
なにを探しているのか、スイは知ってるです。
付け入る隙‼
ゼネスさんの話を聞いて、色々試してるんです!
いつもより狭い隙間です。そう簡単にすり抜けられるはずがない。
攻撃してくるスイ達を無視し続けられるわけもない。
敵も攻撃をしてくるようになるです。
もっと空間を。もっと焦りを! もっとやり易く‼
武器や爪の攻撃は次第に激しくなっていくですが・・・対照的に。
リーダー達は落ち着いていくです。
苛烈な攻撃を。リーダーは弾いて、タンは誘って、フッチは先に仕掛けて、対応するです。
防いで、引き込んで、塞ぐ。
そうしてると1人、また1人と。動きが止まっていくです。
不安な顔で、絶望したように、あれだけ速かったのに・・・・・・。
リーダーも、タンも。相手を殺さないようにか、刃を使わずに敵を叩いているだけ。
フッチは使ってるですが、手とか足とかを浅く裂いているだけのようで。
でも‼ 実感があるんでしょう!
皆、顔が笑ってるです‼ 不気味なくらい。
これじゃーどっちが悪者かわかりゃしない‼
というか・・・ズルいです‼ 自分達ばっかり‼
スイも! ゼネスさんから聞いたこと試したいです‼
そうは思うですが、こんな地形じゃ大きい魔法なんて・・・。
なにかいい案は⁉ と思って、ゼネスさんの方を見てみるですが――失敗したです。
怖い顔で。
『来るなら来いよ? 来たら殺すけどな?』
とでもいうような状態で構えてたです。
さっきからもの凄いさっきだと思ってたですが、ゼネスさんが犯人なんです⁉
あまりにも怖いのでバッ‼ と顔をそむけてしまったです。
傷付いてないといいですが・・・。
それにしてもつまらないです‼
スイだけ・・・いえ、ホウもですか。2人だけやることがないじゃないですか‼
だというのに!
ホウは嬉しそうな顔です。
たぶんリーダー達が仲よさそうにしてるからですね。
普段からホウはちょっと心配しすぎです。
まぁ、嬉しそうならいいんですが。
スイだけ暇なのは納得いかないです。
そんな時、
「あ・・・・・・、」
という声がして、さっきまで嬉しそうだったホウの顔が引きつって・・・スイのそばから離れていったです。