作品タイトル不明
問題外だ
後は・・・ハンマーに、片手剣の2本持ちに、素手⁉
おいおい、その剣1本渡してやれよ・・・ったく。
相当の自信があるのかもしれないが、実力は言うに及ばない。
手始めは振り上げられたハンマーだ。
「武器の特性には注意しろ。似たような形だからって同じような動きになるとは限らねぇぞ!」
例えば。
ハンマーは長い持ち手の先に攻撃部分がついている。槍や斧に近い武器だ。
だが、槍とは違って突きに殺傷力はなく、動きは斧に近い。
それでいて、斧とは打撃と斬撃の違いが有り、攻撃面積も違う。そしてなにより、重さが違う。
斧は広く刃を取るため、ハンマーに比べて重量が一点に集まらない。
そうすりゃどうなるか。
「ハンマーは斧に比べても振り下ろすまでが遅い。しかも、途中で止められねぇ。だから、先に踏み込まれると出来ることがねぇ!」
懐に飛び込んでハンマーを握る手の通り道に拳を先んじて置いておく。
見た目は潜り込んでのアッパーみたいで、傭兵も殴られると思ったのか顔をしかめて眼を瞑った。
メキャッ‼ という何かしらが潰れる感触が拳に伝わる。
「―――――ッ⁉⁉」
息を飲むような、声なき悲鳴が聞こえる。
まぁそうだろう。
俺の拳はワンダーゴーレムのそれだ。
そこへ素手を叩きつける形になったんだ。どうなるか・・・は俺もよく知ってる。
途中で支えを失くしたハンマーはブオン‼ と空を裂き、宙を舞う。
なにかを盛大に破壊するドガシャァン‼ という音に隠れて、ハンマーを握っていた傭兵は静かに崩れ落ちる。
代わりに、ヒュン‼ と二対の刃が駆け抜ける。
「うぉああああああ‼‼」
半ばパニックのようになりながら、懸命に両手に持った武器を振り回す姿は、さながら両腕をグルグルと回す子供ってところか。
これはもう技術がどうこうという次元じゃないが、
「今までは避けたり止めたりで隙を作ったが、もっと簡単な方法がある。それは――」
両手に持った片手剣を揃えて持ち、上下に並べての横回転切り。
なんのために2本武器を持ってるんだって話だが、左腕を盾に前に出る。
刃が2つ。籠手に当たる。衝撃は大したもんじゃない。気にせず腕を押し出す。
すると、元が無茶苦茶な動きだ。腕の跳ね返りを抑えることも出来ず、傭兵は尻もちをつく。
「――弾くことだ」
尻もちをついた傭兵は呆けたような顔を見せた後、すぐさま起き上がってまた一心不乱に斬りつけてくる。
「お前らは盾を使わねぇようだが、武器や防具でも出来ることだ。意識はしておけ。弾くのが有効な場面は体勢が悪い時だ。誰だって、戦闘が長引けば無理はするもんだ。身体が流れたり、片足が浮いたり、軸が傾いたり。そういった瞬間に弾ければ、万全な状態で弾いた時より、随分長い隙が生まれる」
言いながら、乱雑な剣をどんどん弾いていく。
流石に尻もちをつくほどの隙をさらしたのは最初だけだったが、たたらを踏んだり、身体が泳いだりと、十分すぎる程に隙だらけで。
こうなってくると止めに困る。
格好良く話を終えるにはどうしたもんか? と思っていたさなか。
勢いに任せた振り下ろしを弾いた瞬間。パキンッ‼ と片手剣がへし折れた。
折れた先端は俺の背後に離散していったんだが、
「ぎゃぁぁぁあああ⁉⁉」
と目? というか顔? を抑えて片手剣を2本持ちしていた傭兵が地面に転がった。
どうやら剣が折れた時、飛び散った破片が顔を襲ったようだ。
「おぉ‼」
と声を上げたのはサンパダだ。
なにか感心しているようだが、狙ってやったわけじゃねぇぞ? ここまで情けない姿をさらさせるつもりは流石になかった。
で、最後が・・・。
ザッ! と砂音を鳴らし、待ってましたとばかりに現れ、構えを取る素手の傭兵だ。