軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カイオールの追手

馬車に乗りカイオール商会から出る。

それまでの間、邪魔はされなかった。

「どう思う?」

「なにがでしょうか?」

「ディーノだったか・・・アレが黒幕だと思うか?」

「・・・まず、ないでしょうな。大物にはとても・・・」

馬車に戻ってすぐにサンパダに感想を聞いてみたが、俺と変わらない答えだ。

そうだよな。アレが大物に見えるわけがねぇ。

かといって、だとしたら誰が? って話になる。

「アンタの目にそれらしい人物は映らなかったか?」

「そういわれましても・・・」

サンパダは鑑定のスキルを持つ。

その場合ギフトは大概、目に関係してくる。

その目をもってすれば、なにか分かったりはしないだろうか?

もちろん。あの場にそれに該当するやつがいなかったなら、分かるはずもねぇが。

「吹き抜けの奥。最上階にいた人物が怪しいという意味では一番ではないでしょうか?」

3階の奥にいた奴か。

つっても、俺の位置からじゃ顔も体もほとんど見えなかった。男か女からすら・・・。

「表情でも見えたのか?」

「いえ、そうではなく。なにか・・・指示を出していたように思うのです」

「ああ、それは俺も気付いた。左上にいた連中がそれで慌ただしく動いてはいたな。だから、なにか来るかと思って構えてはいたんだが・・・」

襲撃などは特になかった。

「見えていたのですか?」

「いや。気配でな。焦ってるような感じで4人ぐらいがどこかにいったはずなんだが――」

対面に座るサンパダの後ろ、窓の向こうに馬車が現れる。

俺達の馬車が今まさに角を曲がろうというタイミングで、カイオール商会から出てくる。

「――どうやら当たりみたいだな」

「なにか?」

振り返ってサンパダが窓を覗くが、すでの角は曲がった後だ。

「追手が来た」

「追手・・・?」

不思議そうにしばらく後ろを観察し続けて・・・見つけたようだ。

「アレですか」

「たぶんな」

2頭引きの黒い馬車が2台。

御者は整った身なりをしちゃいるが、ちょっとばかり運転が荒い。

こっちの御者に頼んで脇道に入る。

追手じゃないならついては来ないはずだが・・・、

「1台。ついて来てますな」

「もう1台は回り込むつもりか? まぁ、地の利は向こうにあるか」

幾ら道を変えても一定の距離を保ってついてくる。

途中、1本隣の道に似たような馬車が見えたりもした。おそらくさっきのもう一台なんだろうが、どうやって回り込んでるんだか。連絡の取り方も気になるところだ。

「どうするので?」

「とりあえず、蒸気の騎乗者と合流しよう。そこで御者には下りてもらう。人混みに紛れれば身の安全も確保できるだろう」

「合流するのですか?」

「俺達を逃がす気はなさそうだからな。どうやってんのかはわからねぇが、連携もバッチリだ」

「で、あればこそ。まずは離れるべきでは?」

「いや、おそらく・・・あいつらの狙いは俺達じゃねぇ」

「どういうことです?」

「もし俺達だけが狙いなら商会から出さなきゃよかったんだ。向こうの本拠地なんだ。それぐらいは簡単だったはず。だがそうしなかったのは、したくない理由があったか。それとも、」

「したくとも出来なかったか、ですな?」

「そういうことだな。つまり、あの場で俺達を捕らえても仕方なかったんだ。態度が悪い、で私刑には出来なかったんだろうな。だから、」

「理由を求めた・・・と」

「そう。で、その理由が―」

「彼ら、ということですな」

サンパダの予定を調べられるんなら、護衛のことも調べられるだろう。

なにより、町には傭兵が溢れかえってて目撃談を繋ぎ合わせるだけでも十分な精度になるだろう。

後は奴隷狩りと亜人を合わせて、こいつらが犯人でした! とでも言えばいい。

場の雰囲気さえ作れれば、事情確認などしないまま、国民感情だけでその場の極刑さえ可能になり得る。

そうでなくとも、証拠など捏造してしまえばいいんだからな。

「ですが・・・どうやって探すのですか? 居場所に心当たりでも?」

「いや。だが、あいつらの魔力は覚えてる。適当な場所で探知魔法をかければ引っ掛かるだろう」

俺の魔力が先にキレなければ・・・だが。

「では! まずはどちらへ⁉」

そうだな・・・まずは――

昨日、問題を起こした歓楽街からだ!