軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カイオール商会1

日はまた昇り。

俺1人がサンパダの護衛に付き、蒸気の騎乗者は街へ。

大丈夫なのか? と聞いたが、心配ない。少し探るだけさ。とのことだ。

本当に大丈夫なんだろうな?

そして、俺はと言えば、サンパダと一緒に大商会に御挨拶だ。

どこも立派な建物を持っていて、調度品なんかも絢爛豪華と言えばいいのか・・・?

ホントに、大したもんだ。

商売の為に金を使わなくていいのか? と思ったが、商売のためにこそ見てくれは大事なんだと。みすぼらしい人間の売るものは信用できないでしょう? そう言われたら妙に納得してしまった。

行く先々でサンパダは俺のことを大層な人だと宣伝して回り、その度なにか見せてくれと大道芸のように魔法を使わされたが、どこも反応がよかったんで、こっちとしても悪い気はしなかった。

サンパダの評価が上がったはずだ。

10の魔法を同時に発動して見せたり、闇の魔法や氷の魔法と火の魔法で即興人形劇をやって見せたり。

一番偉いという爺さんには、最近やらかした腰と怪我で引退した御自慢の護衛をまとめて治療したら大変お悦びで、なんでも好きなものを! とか言っていたが、俺には欲しいものもなかったからな。サンパダに話を振って覚えを目出度くしておいた。

これで、この後の借りは大体返せたんじゃないか?

さぁ。問題は・・・・・・。

「ここですね」

止められた馬車から除く窓の向こうには、今までと比べてもそれほど遜色のない建物が。

「なにか御用でしょうか?」

すると当然の如く、使用人が声をかけてくる。

「挨拶の約束がある。マンサ商会の者だと伝えてくれたまえ」

「承知しました。少々お待ちください」

そう言ってデカい扉に消えていく。

「準備は大丈夫ですか?」

「特別、必要なもんもねぇだろ」

「では、心の準備はいかがでしょう?」

「それこそ最初から必要ねぇよ」

「はっはっは。そうでしたな! ここには挨拶に来たのですから」

「そういうことだ。なにも起こりゃしねぇよ」

・・・たぶんな。

「お待たせしました。こちらへ」

使用人が戻ってきて馬車を誘導し、そこからさらに案内にしたがって俺達はカイオール商会の中へ足を踏み入れた。

「本日はご挨拶の提案を受け入れて頂きありがとうございます。マンサ商会、商会頭サンパダです。以後お見知りおきを」

「カイオール商会、商会頭ディーノだ。なに、時間があったから受けたまでのこと。挨拶如きでそうかしこまるものでもあるまい?」

「そう言っていただけると、心が軽くなります」

「しかし気になるな」

ふむ・・・? とディーノはわざとらしい態度を取って言う。

「と言いますと・・・?」

「君から挨拶の提案があったのは先日だ。あまりに急だろう? そこで、失礼だが今日の予定を調べさせてもらった。挨拶回りとはご苦労だね? けれど・・・今日挨拶に行ったのはどこも大商会ばかりだ。このカイオール商会を除いて、ね」

鼻の下に蓄えた髭を指先で遊ばせながら、細身で長身の男・ディーノはなにか言いたげなままに見下ろす。

「それについては・・・・・・実は、私はアドバイスを頂いたのです」

それを受けてサンパダはどうにか、おかしくならない理由をひねり出す。

「アドバイスかね? いったいどんな?」

「はい。カイオール商会はもう大商会と言っていい規模になっていると。なにより、このガルドナットの為に尽力していることから、今後重要な存在になると」

「いったい誰がそんなことを?」

「それは・・・こちらの。私の護衛に、でございます」

――ッ⁉

急なことに驚かされるが、表情を出すわけにはいかねぇ‼

何食わぬ顔で当然のように振舞わなければ‼

「ほう? 名は?」

「・・・冒険者のゼネスだ」

ここは賭けに出る。

俺の名前に覚えがあれば、なにか反応があるはず。

「ふむ・・・」

ディーノは不満気な顔で見るばかり。

他に反応はないのか?

「まぁ下賤の生まれか。言葉遣いなどと言ってもわからぬか」

「なにぶん冒険者ですので・・・」

「君も、雇うなら品格というものを気にすべきだ。このような場で粗相などされたら、たまったものではないんじゃないか?」

「えぇ。それはもう・・・」

どうやら、俺の名前に聞き覚えはないようだ。

この後のことを考えての言葉遣いが気に入らなかっただけらしい。だが、どちらにせよ都合はいいか。

それにしても、品格・・・ねぇ?

「品格っつーんなら、確かアンタは傭兵を大量に雇い入れてるんじゃなかったか?」

「・・・・・・それがどうしたというんだ?」

「いや? 品格を気にするなら雇うべきじゃねぇよなってだけさ。傭兵なんざ死体漁りと変わらんぜ?」

「彼らは君よりよっぽど品格を持ち合わせているよ。この場において、主人の会話に割って入るような無礼物は君だけだ」

「そうか? ここに来るまでの間、随分じろじろと見られたんだがなぁ? あんな視線にさらされれば、客人が機嫌を損ねてもおかしくねぇと思うんだけどなぁ・・・?」

チッ! とディーノが舌打ちし、あいつら・・・と小声で。

「なるほど、意趣返しというわけだね。これは一本取られてしまったな」

両手を広げながら笑って見せ、懐の大きさをアピールしてるのかは知らねぇが、口元が引くついてるぞ?

気位が高く見栄っ張り。典型的な貴族の特徴だ。

これなら、上手く怒らせればボロが出るかもしれねぇな?