軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

検証は必要

「それで? なにが聞きたいんだ?」

「ワンダーゴーレムを倒した時のことです!」

「・・・それについてはこの間話した通りだが・・・」

「それでもいいです! どんなことでも聞きたいんです!」

わからないことを知りたいという気持ちはわかるが・・・しかし、すでに話した以上のことは俺にもわからねぇままだ。

かといって・・・、

「だから! そうじゃない‼」

「じゃぁどうしたらいいんだ‼」

追い返された2人も相変わらず。

向こうに入れられるのも避けたい。

「なんでそこまで知りたいんだ?」

「・・・・・・スイはよくバカにされるです」

俯いて、地面の石を足先で蹴飛ばしながらスイが言う。

「子供だから。女だから。大人はみんなスイのいうことを本気で聞いてくれないです。それ以外にも、言葉のこととか・・・たくさんあるです。本当にたくさん」

その光景は容易に想像できる。

スイがなぜこの歳で冒険者になんてなったのかは知らないが、その活動の中で邪険に扱われることぐらい、幾らでもあっただろう。

皇国・・・しかもその首都である皇都にはそれはもう大量の貴族がいる。

皇都に住む貴族だけでなく、地方の一族で皇都に詰めている者や、勤務している者まで。

役職も階級も田舎のそれとは大違いで。

そして、こいつらは皇都唯一のA級パーティー。

表彰だのもあったはずだ。

そうなれば、下っ端貴族がこいつらの相手を任される事になる。

そこで、スイの言葉遣いや立ち居振る舞いを見て、教養もない馬鹿だと思われることもあっただろう。そう扱われることも。

貴族の子供ならば学園に入る頃には全て出来ていて当然とされることばかり、それが出来てねぇんだから仕方がないとも言えるが・・・そんなもん、貴族じゃねぇなら必要ないことばっかだ。

それを相手に勝手に求めて、出来てねぇから侮るなんざ貴人にあるまじき態度だが・・・そこは下っ端貴族。そんなことがわかるわけもねぇ。

「でも、そんな大人にも出来ないことをスイには出来るです。それが魔法。だから魔法が好きです! スイに価値をくれる魔法が大好きです!」

だから・・・、

「どんなことでも知りたいです! もしかしたらって・・・思うですから! わからないで終わらせたくないです!」

か。

わかりやすい動機じゃねぇか。

健気な分、応えたくなるほどだ。

「んじゃ、もう一回。出来るだけ思い出してみるか」

「ありがとう、です‼」

抱き付いてくるスイの衝撃を脇腹に感じながら、俺はあの時のことを思い出しながら話していった。

「――と、まぁそんな感じだな」

「うーん・・・・・・」

馬車でした話よりは詳細に伝えられたとは思うが、それでも。

「やっぱりわからないです」

感想は変わらない。

それはそうだ。俺にだってわからねぇんだからな。

「そうだろ? 俺も、未だになんで生きてるのか・・・わからねぇぐらいだ。ま、運がよかったのは間違いねぇな」

「それはそうです。けど、そうじゃなくって・・・」

スイは近くにあった木の棒を拾い上げて、地面の砂をガリガリと擦って絵を描く。

「ゼネスさんがここにいて、ワンダーゴーレムがここいて、門がこっちにあるです?」

「あぁそうだ」

絵はほとんど丸と棒だけで、上から見下ろすように描かれている。

小さい丸が俺。大きい丸がワンダーゴーレム。そして、その向こう側にある棒線が門だ。

「で、ゼネスさんは魔力を感じて左手を突き出した・・・」

小さい丸の左側に棒が付け足される。

「すると、門から魔力が流れ込んできた・・・ように感じたです」

さらに門から棒を引いて・・・わかり難かったんだろう直線で書いた線を消し、波線を引く。

これで、俺の左手の棒と門が波線で繋がり、その線上にいた大きな丸のワンダーゴーレムは波線で貫かれている格好になる。

「それで、この時点で魔法が発動したです?」

「たぶんな。そうじゃねぇなら、あのワンダーゴーレムが攻撃を外したりはしねぇはずだ」

「なるほど・・・です。そういえば、ゼネスさんは時空魔法が使えるです?」

「見せてなかったか?」

最早持ちネタのようになった極小魔法同時発動を片手でやって見せる。

「・・・それ、どうやるです?」

「1個ずつやってればそのうち慣れで」

「慣れ・・・なるほどです」

これが出来たからどうってことはねぇんだけどな。

「うーん・・・だとすればやっぱり、時空魔法を引き寄せたってことだと、スイは思うです! 引っ張るような感覚もあったなら、なおさらです」

それの可能性は俺も考えていた・・・だが、

「引っ張る魔法ってのがな・・・物を引き寄せる魔法なら幾つかあるが、空間を引き寄せるなんざ聞いたこともねぇし、想像も出来ねぇよ。時間なんかは余計にな」

「だったら魔力を引き寄せたです? それなら時空魔法が発動したのも門の特性かもです」

「その場合だと、その後に魔法を撃とうとして倒れた理由が説明できなくなる。魔力を引き寄せる魔法を使った後に魔力切れ? 魔力を引き寄せきれなかったからってんならわからねぇこともねぇが、あの瞬間。俺は確かに全身に溢れるほどの魔力を感じたしな」

引き寄せが俺まで届かなかった。なら、間にいたワンダーゴーレムだけが影響を受けるのはわかる。

だが、俺はあの瞬間魔力が身体に漲っていたし、なんなら。なんでもできるんじゃねぇかと思うほどの全能感すらあった。

だから、その線はない。

同じような理由で引き寄せるだけの魔法で魔力を吸収できなかっただけ、という説もないと言えるだろう。

「じゃぁ・・・同じ属性の魔法が共鳴したら魔力の小さい方に引っ張られる。とか、どうです? 意識してなかったから共鳴に気付かなかったです! それなら、ゼネスさんに魔力が行ったのも、その後魔力が抜けたのも、なんとなく説明がつくです!」

「共鳴か・・・。そんな事象、聞いたこともねぇが・・・試したこともねぇしな。魔法共鳴なんざ前時代の遺物だ」

共鳴は今ほど魔法学が発展してなかった時代の大魔法発動の手順だ。今では使われてねぇどころか、忘れ去られる一方の技術。

気になる点があるとすれば、あの時の俺は時空魔法を使おうとしていたのかってことだが・・・とりあえず。

「やってみるか?」

「ッ! ・・・やってみるです!」

挑戦無くして成長無し、だ。

まぁ今さら成長したところでなにをするんだって話でもあるんだが、今はいいだろう。

失敗した時の周りへの被害も考えて風の魔法で。

俺もスイも全力でやれば自ずと魔力差はでるはず。

共鳴魔法のやり方は確か・・・。

と、なんとなくでやり始めたんだが―――これは⁉

「スイ‼ なにしてるんだ⁉」

「え?」

サンがこっちの状況に気付いたのか、スイに声をかけた。

それにスイが気を取られた瞬間。

ゴウ‼‼ と凄まじい風が吹き荒れ――――・・・そして。