軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

明確な失敗

光が収まった後、そこにはなにもなかった。

巨大なスライムはその姿を消し、そして・・・。

その魔法を使ったものもまた、地面に倒れ伏していた。

「「「ケイトッ⁉⁉」」」

それは誰の叫びか。

だが、今そんなことはどうだっていい。

「離れろ‼」

真っ先に走り出していた俺はジェイド達より先んじて、倒れたケイトの元へと辿り着く。傷付いたその身体を抱き起こしながら、駆け寄ろうとするジェイド達を押し止め、この体で視界を遮る壁にする。

「此の姿は正しく非ず‼ 彼の雄姿こそ今に在るべし‼」

走り出す時に口に放り込んだ丸薬はすでに噛み砕いた後だ。魔力の補充は済ませた。効果範囲内にケイト以外が入ってねぇのを確認してから回想再現を使う。

あまりに酷く、見るも無惨だったその姿は魔法の力により、なかったことになった。

焼け焦げた服も、焼け落ちた本も、焼け爛れた肌さえも。

その身は正しく、在りし日へと帰る。

その身体だけは、最盛を現す。

だが・・・、

「・・・・・・どう、して? どうして、助けたん、ですか・・・。どうして‼ 死なせてくれないんですか‼‼ 代わりなら、いるんでしょ⁉⁉」

心まで 繕(つくろ) えはしねぇ。

抱き起こした腕の中で、俺の胸元を掴み、強く握りながら、 希(こいねが) うように。そして、怒りを露に、握った拳で叩きながら、むせび泣く。

俺は・・・この涙には 贖(あがな) えねぇ。

だから、

「そう、だな・・・。代わりの魔法使いなら、幾らでもいるだろう。けどなぁ・・・?」

俺なんかじゃなく、

「こいつらにとっちゃ、お前の代わりはいねぇんだよ」

集まってきた連中に任せるべきだろう。

俺達の、いや。ケイトの周りには、泣きながら抱き付くキューティーとエイラ。そして、立ったまま・・・なんとも言えない表情で覗き込むジェイドがいた。

「なんてことしてるんですの⁉ 幾ら威力が必要でも、あそこまでする必要なんてありませんわよ⁉」

「そうよ‼ 他に方法を思いつかなかったんだとしても! そう言ってくれればいいのに‼ あんなこと・・・!」

「勝手な事、すんなよ。俺が・・・困るだろ・・・」

3人は口々にケイトのとった行動を非難するが、

「ごめん・・・ごめん、なさい・・・ッ」

ケイトはそれを聞いて、嬉しそうに、しかし余計に泣きだした。

ここに、俺がいるのは忍びねぇ。なにより、後は任せておいても大丈夫だろう。

そう思って、その場から離れる。

それより、残りの3人は・・・? と振り返ると、

「やり過ぎた。そう思っていらっしゃいますか?」

ユノが間近に立っていて、そんなことを言う。

「・・・そりゃぁな。冒険者なんて、どいつもこいつも負けず嫌いなんだ。それが当たり前だと、いつからか思うようになってたんだ。あいつらの・・・いや、あいつのことも碌に見ずに決め付けて、その結果がアレだからな。そう思わねぇは嘘だろう?」

「かも、知れませんね。ですが、ゼネス様はおっしゃいました。試練だと。それは・・・期待していたからではありませんか? あの方達ならば出来るはずだと、そう思ったからでは・・・⁉」

「だとしても、助かったんだからそれでいいだろ。なんて・・・言えるわけねぇよ」

そうだ。

そんなこと、言っていいはずがねぇんだ。

俺は失敗したんだ。

甘く見ていたんだ。

そのせいで・・・・・・・・・。

「それより、先生は大丈夫なんですか?」

急なヨハンの呼びかけに困惑する。

「・・・なにがだ?」

「魔力酔いはどうした? と、言ってるんですよ。あぁ、勘違いしないでくださいね? 私はそんなこと、心配してませんので」

リミアにそういわれて理解する。

「あー、アレは嘘だ」

「えぇ⁉ なんでそんなことを⁉」

「お前らを本気にさせるためだ」

「でしょうね。まぁ私は気付いてましたが」

「リミアもどうして気付いたの⁉」

「冒険者に万が一なんてない・・・でしたよね?」

「まぁ、そういうことだ」

だから本当に魔力切れになることなんざ・・・と、冷や水を浴びせられたかのように思い出した。

足元の魔法陣だ!

あんなちっせぇのから次なんて、流石にねぇだろうが・・・。

どうなった⁉

部屋の中央を見やると、魔法陣はゆっくりと光を失いながら消え去り。

そして、一本の赤く光るラインが現れる。

部屋の中央から、ケイトを引っ張り起こすジェイド達の足元を抜けて、階段のある通路の方へ。

「なんだ⁉」

足元へ急に出現した赤いラインに驚き、ジェイド達は構えるが・・・特になにかが起こるわけでもなく。

警戒しながら階段の奥を見に行ったジェイドが、

「奥でなにか・・・光ってるぞ‼」

その様子を伝えに戻ってくる。

まず間違いなく、祈りの間に続く門だろうが・・・、

速く行くぞ‼ と言わんばかりのジェイドに引っ張られるようにして、全員が階段の奥に集まった。