作品タイトル不明
誰の子?
《学園の教員を調べろ?》
『そうだ。特に今年度、幼少部から中等部に異動になった奴だ』
《それは構わないが・・・なにかわかったのか?》
『さぁな? わからねぇから調べるんだろ?』
《おい・・・》
『皇族・・・皇王様の孫にあたる奴が今年中等部に上がったらしい』
《それが?》
『俺も受け持った駆け出しからの話を聞いただけだが・・・それでも、学園の教育レベルの低下や風紀、治安の悪化が確認出来た。なかには洗脳まがいの疑惑すらある』
《洗脳・・・本当だったら由々しき事態ではあるが、内乱と結びつけるのは少しばかり無理がないか? まだ子供だぞ? 利用するにしても時間がかかりすぎるだろう》
『相手の思惑まではわからねぇよ。単に成功した後のことまで考えてるだけなのかもしれねぇしな』
《随分と壮大な計画だな・・・本当に》
嫌になる・・・って気持ちはわかる。が、放っておくわけにもいかねぇ。となると、調べねぇ理由もねぇ。
《それで、誰の子供なんだ?》
『は?』
《いや、皇族なんだろう? 誰の子供なんだ? それだけで事情が変わるだろう?》
それはそうだ。
第1第2皇子の息子なら手がかりとして重要な存在になるし、優先度も変わってくる。
だが、
『・・・・・・しらねぇ』
俺は皇族の息子であること以外にはバカみてぇに態度がデケぇって事しか知らねぇ。
《・・・・・・・・・・・・》
『おい、なんだ? 無視か!』
《ははは! いや、くっ! ははっ! ちょうど・・・中等部の話をしていたからな。思い出してしまったんだ。あの頃には「冒険者にもし、なんてねぇ」とか言っていたのに・・・こんな初歩的なことを・・・っ!》
エリックの時のことか!
『ッ‼ うるせぇ‼ たまにはこういうこともあんだろうが‼』
《そうっ・・・だなっ! いや、すまないっ。だが、男か女かもわからないんだろう?》
『そんぐらいはわかってんだよ‼ 息子だ‼』
《っはぁ~・・・・・・そうか、なるほど。息子か》
しばらくメッセージカードに表示される文字が震えていたが、ようやく収まったようだ。
《今年から中等部ということは13年前か。それなら、俺達が知らないのも当然か》
15歳当時の俺達は冒険者と訓練兵。
お互いに皇都から離れてたんだから、そういう話を知らなくても不思議じゃねぇ。
『そっちには式典の警護とか見張りとかの任務は来なかったのか? 見習いがやるには丁度いいはずだろ?』
《なかった・・・と思う。そもそも式典なんて開かれた記憶がない。まぁ開かれていたとしても、本当の意味で新人だったから任務は来なかったんじゃないか? あの頃にあった任務は摘発調査の同行とかだったとはずだ・・・》
『摘発調査?』
《継承権を巡っての内戦騒ぎのが起こる前の予兆・・・みたいなものだったと思う。あちこちで密告や摘発が相次いで、当時の新人はみんな連れまわされたよ》
『内戦騒ぎか・・・アレのせいで皇族の情報が出にくくなったってのもあるんだろうな』
普通なら新たな皇族の誕生など、大々的に祝われるべきだが・・・継承権を巡って内戦騒ぎがあった後では公表もし辛いか。
皇王様の子供。つまりは皇子や皇女だが、全部で9人いる。そして、末っ子に当たるのが第6皇子こと親友クライフ。
そのクライフでさえ俺と同じ歳なわけだから、今年で28だ。13の子供がいてもギリギリおかしくはない年齢。
一番上の第1皇子に至っては50を超えてる。俺達と同じぐらいの子供がいてもおかしくはないんだが・・・そこは戦争のせいだろう。
30数年前。もう約40年前になるのか。そこからの10数年。
その頃は北の帝国との戦争が一番激しい時代だった。
皇族もさぞ忙しかったはずだ。子供どころではなかったに違いねぇ。
だから、13の皇族は誰の子供でもおかしくねぇし、他にも皇王様の孫はいるかもしれねぇ。
『やっぱ・・・もっとちゃんと確認すべきだったな』
《それにしても珍しいな? なにか他に気になることでもあったか?》
『いや・・・・・・そうだな。久しぶりの迷宮攻略に気を取られてたのかも知れねぇな』
《聖女認定試験か? 早すぎないか? 先週出た話だろう?》
『あんまり待たせるわけにもいかねぇだろ?』
《そうかもしれないが、大丈夫なのか?》
『教会本部でやるんだ。そこまで心配するほどのもんでもねぇだろ』
《なるほど。よほどのことがなければ人死になんて出ない、か》
『まぁそう言うことだ』
そんなことがあれば求心力が落ちるからな。
命にかかわるようなもんは想定してないだろう。
《いつ行くんだ?》
『明後日だ』
《本当に急だな。気をつけろよ》
『心配されるまでもねぇよ』
《お前じゃなくて・・・連れて行くんだろ?》
『ああ。そうだな・・・けど、大丈夫だろ。あいつらなら』