軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

勘違い魔法

わかりやすく驚愕した表情で間の抜けた声を出すエイラ。

「・・・・・・あの、もう一回・・・言ってもらえます?」

少しだけ間を開けてそう言うのは現実逃避か?

「お前には攻撃魔法と格闘術を覚えてもらう」

「・・・・・・」

眉間に手を当てて渋い顔をする。

そんなにいやかね?

「いえ、その・・・。わかってはいるんですけど、一応。聞かせてもらいますね? どうして、ですか?」

「あぁ・・・まぁわかってるとは思うが、戦闘中。お前はずっと浮いてるだろ?」

「えぇ。そうですね?」

「だからだ」

「でしょうね。それはわかるんですけど、その・・・。どちらか、ではなく?」

「出来ることは多いに越したことはねぇし、どうせいつかはやることになるんだ。だったら早い方がいいだろ?」

「どうせって・・・。でも、魔力にも限界があるじゃないですか?」

「回復役やっといて魔力が少ないなんてことはねぇだろ? パーティーの要だぞ。それに、なにも積極的に攻撃しに行けって言ってるわけじゃねぇ」

「だとしても、覚えることは多いですよね?」

「基本的なことだけだ。言うほどでもねぇよ」

「それでも、私にはパーティーの面倒もあるんですよ・・・・・・?」

チラリとジェイドを見るが、

「しばらくは大丈夫だろう」

元気に色々試してるようだ。

意外と楽しそうに見える。

どうにか抵抗していたエイラだったが、次第に声は弱まり、最後にはガックリと力なく項垂れた。

「つーわけで、さっきの続き。簡単な魔法講座だな」

「そ、その前に一つ、いい・・・ですか?」

「どうした?」

「さっきの、構成の話なんですけど、属性と効果が離れてるから威力が出ないって・・・そんなの、どこで聞いた話なんですか? わ、私は聞いたことがなくて・・・」

ケイトが疑い半分、でも興味もありますと言った表情で聞いてくる。

「昔、知り合いの変態がそんなことを言ってたんだよ。論文も出してたはずだ。認められたってドヤッてた記憶もあるし、間違っちゃいねぇはずだ」

「変態って・・・?」

「自慢の魔眼から光魔法を撃つ変態だ。うちのエリック・・・魔法使いを自分の組織に引き込もうとしてた悪い女だ」

「それって⁉」

「”全ては魔法の上に”っつー組織のリーダーだな。これがまた迷惑な奴でなぁ、ホント。勝手に絡んできて、難癖付けて仲間を連れていこうとしやがって・・・あー思い出したら腹立ってきたな」

「そ、その、詳しく―――」

「―――それで! 私はどうすればいいんでしょうか?」

いつまで待たせる気だ! とエイラが吠える。

「悪いな、話が逸れた。お前には中級までの魔法を使えるようになってもらう。攻撃だけじゃなく、色々とな」

「色々、ですか?」

「お前の役割は後衛を守る後衛だ。つまり、お前の前に敵がいる時には前衛が崩されてるか、始めから敵の数が多かったかだ。どっちにしても強力な魔法が欲しい場面。その時の時間稼ぎがお前の役目だ」

「時間稼ぎ・・・」

「そうだ。魔法の区分は知ってるよな?」

「初級・中級・上級ですよね?」

「その上に低位・高位・神位があるが、個人で出来るもんでもねぇから、一般的な魔法の区分はその三つでいい。初級は動作指定。中級は対象指定。上級は範囲指定。ってのがよく言われる特徴の違いだな」

「でも、実際には中級から地点指定・・・いわゆる範囲魔法が使えますよね?」

「初級と中級の間には認識の壁が在り、中級と上級の間には実力の壁が在る。教科書なんかによく載ってるこの言葉の通りだが、中級と上級の違いは魔力消費量。だからこそ、中級の特徴は地点指定じゃなく対象指定ってことにしてんだろう」

「対象指定・・・認識の壁・・・。私に出来るかしら・・・」

ブツブツと的外れな事をつぶやく。

いや、まぁ・・・魔法と格闘の習得をやけに嫌がるから、なにか理由でもあんのかと思ったが、覚えることが~とか面倒が~とか言ってた辺りから、そんな気はしてた。

「お前、強化魔法使えるだろ・・・?」

「え? はい。それが?」

「強化魔法は対象指定だ! 回復系の魔法もな!」

「え・・・・・・? あ‼ え⁉ そうなんだ‼」

初級魔法だけ習得した後、すぐに補助や回復系の魔法を覚えにいった奴らによくある勘違い。

ちょっとしたミスだ。

それだけに笑ってはいけないと思ったのか、ケイトは耐えようとした。

しかし、普段頼りにしている相手の、そのちょっとしたミスが余計におかしかったのか、ケイトは腹を抱えて蹲り、悶え、我慢しきれずに吹き出し、毒キノコにでも手を出したかの如くカラカラと笑い続け・・・恥ずかしくなったエイラに叩かれていた。