軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白魔導師、と幻の錬金術師

翌朝、目覚めてすぐに他の五人を俺のいる部屋へと集めた。重なる疲労と俺が眠ったノア遅かったこともあって、俺が起きる頃にはユイ以外、目を覚ましていた。

「ロイド、朝っぱらからなんなの? 今日は午後出発でしょ?」

眠そうに目を擦りながら起きてくるユイ。

「あぁ……すまない。だが緊急の用ができたんだ。これを見てくれないか?」

俺はそう言い、収納魔法から昨晩襲撃?を仕掛けてきた人形を取り出した。

頭を取り出してから、胴体を……。次に中に入っていたポーションの順で机の上に並べた。

「これは何だ?」

ダッガスが首をかしげ、問いかけてくる。

「昨晩、不審な奴を見かけたんだ。それで追った先にこいつがいた」

「こいつって……この人形か? これが動いたって言うのか?」

クロスが信じられないと言いたげな顔で、机の上に置かれた人形をつつく。初めは軽く突き、試しに強めに触れてみるが、人形は微動だにしない。

まるで初めからどこにでもある人形でしたと。そう言わんばかりに。それはびくりともしない。

しかし、これが俺の手元にあることが、昨晩の出来事が夢でなかったことを証明している。

「そうだ。仕組みは分からないが、喋ったりもしていたな」

「えっ、この人形が喋ったんですか!?」

何故かそこに食いつき、驚くクレア。

そこはそんなにも重要なのだろうか?

重要なのはこいつがいったい誰によって作られ、なんの目的で俺たちへと近づいてきたかだと思うのだが……。

「あぁ、喋っていたが……」

「あの、ロイドさん……この人形の頭を割ることって出来ますか?」

人形の頭を見つめながら問いかけてくる。

何か思い当たることでもあるのだろうか?

どうせ調べるつもりではあったし、割ること事態は別に構わないのだが……。

俺の力ではきれいに割るのは無理そうだな。

「ユイ、切ってくれるか?」

「え、えぇ……分かったわ」

ユイはそう言うと鞘から剣を抜き、人形の頭を目掛けて剣を振り下ろした。

「あれ?」

ユイは真っ二つにするつもりで力強く剣を振るった。

しかし、剣は頭には食い込んでいるものの、真っ二つにすることは出来なかった。

代わりにカ何か硬い物と刃がぶつかり合う音が聞こえ、剣が弾かれる。

「ユイ、どうかしたのか?」

「いや、中に硬い何かが……」

ユイが剣を人形の切れ目に差し込み、人形の顔を真ん中から二つに割った。

すると中から不思議な石が現れた。魔石にも似ているが、間違いなく人工物だと言える不思議な鉱石が。

七色に輝く石の中心には、魔法陣が刻まれている。

「これは……通話石ですね。一部の貴族や王族の間で高値で取引きされている魔道具と言われるもので、かなり遠くの人とも話すことを可能とするものです」

なるほど。

そんな魔道具もあるのか。

「それはクレアの家にもあるのか?」

「はい……ですがかなり希少なものなので一つしかありません」

帝国で最も偉いであろう皇族ですら一つしか持っていないとなると、かなり高価で希少なものなのだろうな。

「これを作るために必要な素材が希少なのか?」

「いえ……これを作れるのは王国、帝国、聖教国を含めても一人しかいないくて……さらにその上今は行方不明……死んだとも言われています」

そういうことか……。

生きているにしろ死んでいるにしろ、その人しか作り方を知らないと言うのならば希少にもなるだろう。

「それゆえに彼は今や幻の錬金術師……と呼ばれたりもしています」

「幻の錬金術師?」

俺は聞いたことがないが、こうして実物がある以上、幻の錬金術師は噂ではなく、実在する人物なのだろう。

だが、だとすれば……。

一つの疑問が頭に浮かんだ。

それは通話石の相手が誰かと言うことだ。

その通話の相手の男はまるで幼い頃の俺を知っているかのような口振りだった。

とは言え、俺にはそれほど多くの知り合いはいない。

師匠の知り合いか?

いや、俺や師匠はそんな希少で高価なものを持つような人とは関わりがないはずだが……。

「しかもこの通話石……出回ってるものに比べ、かなり改良されています。私も知らないタイプのものです。まさか……幻の錬金術師は生きている!?」

そこまで有名な人なのだろうか?

そう疑問に思った俺は、ユイたちにもその幻の錬金術師について、尋ねてみることにした。

「ユイやダッガスもその幻の錬金術師について聞いたことがあるのか?」

「えぇ、少しだけど……聞いたことはあるわ」

「俺も同じく。詳しくは知らないがな。というか、詳しく知ってる人がいるかも不明だが」

また、シリカやクロスも名前くらいならば聞いたことがあるそうだ。

「そんなに有名な人なのか……」

この場で知らないのは俺だけらしい。

尚更、違和感が強まる。この場で俺だけが知らないのに、向こうが俺をよく知っている、なんて有り得るのだろうか。

「はい、ロイドさんはご存知じゃないのですか?」

「あぁ……あとそう言えば、こんなポーションも入っていたんだが……」

収納魔法から昨晩手にいれたポーションを取り出し、クレアへと渡す。

「これ、クレアの飲んでいるのと同じやつだよな」

渡されたポーションをじっと凝視するクレア。

「はい、私が飲んでいるのと同じものですね……ロイドさんが何故これを?」

その後、俺は昨晩の出来事をさらに詳しく話した。その会話内容や立ち振る舞いも含め、可能な限りを言葉にしていく。

こうして皆に集まってもらうまで、俺はてっきりクレアの知り合いだと思っていたが、どうやら……いや、今となってはやはりか。どうにもクレアの知り合いとは違うらしい。

それからも話し合ったものの、結局、わかったのはこれがクレアの飲んでいるポーションとまったく同じものだと言うことだけだった。