軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白魔導師、パワーアップ!

宿に帰り少し仮眠を取った俺は、赤い魔石を布でくるみ、ベットの下に隠してから、再びあの森へと向かった。

ユイ達を起こすことがないようにと、隠蔽魔法を使って来た。

起こしたら迷惑だからな。

さて、俺が何故、こんな真っ暗な森へと来たのか。

それは、魔法を練習するためだ。

前回の依頼で、俺は自分の無力さを痛感した。

あれではユイ達の足を引っ張るだけだ。

このままでは、勇者パーティーにいたときと何も変わっていない。

パーティーに入れてもらった以上、足を引っ張るわけにはいかないからな。

もし、自分の実力不足で再び追放されるのならば、構わない。

異論もないし、その時は素直に抜けるさ。

だが、ユイ達の性格上、パーティーから追放されることはないだろう。

だからこそ、俺はもっと強くならなくてはならない。

「よし、まずは強化魔法だ」

やはり、見直すとすればここだろう。

前回は初めてユイ達と依頼を受けたため、個人に合わせた強化魔法をかけることが出来なかった。

だが、今は違う。

ある程度、ユイ、ダッガス、シリカ、クロスの戦闘スタイルを把握することが出来た。

これだけの情報があれば、各々に合わせた強化魔法を作り出せる。

「まずはユイからだな……」

ユイの戦闘スタイルは剣を使った近接。

魔法を使った様子はなかったし、収納魔法の練習を見ていて感じたのだが、魔法が苦手なのかもしれない。

となれば……

「身体強化、防御力上昇……」

今回、身体強化は一般的なものにし、二重がけにしたほうがいいだろうな。

大きく改良していないものならば、二重がけすることが出来る。

偏りのある身体強化よりも、その方がユイには合っている気がした。

防御力上昇に関しても、とくにいじる必要はなさそうだ。

「後はダッガスとシリカ、そしてクロスか……」

その後も、前回の戦闘を思い出しながら、それぞれにあった強化魔法を作ってみた。

あらかじめ用意しておけば、いざ使うとなった時に焦る心配はないだろうからな。

それに試しておきたいことが幾つかあった。

例えば、強化魔法の三重がけや武器につけられる強化魔法の数などだ。

前回の戦闘で、魔力を使いまくったせいか、俺の持つ魔力量がかなり増えていた。

ありがたいことだ。

もしかすると、マナポーションを使いながら大量の魔力を消費し続けることで魔力量を増やせるのかもしれない。

これはまた今度試すとしよう。

「さて、次は……」

他にも改善しなければならないことは山ほどある。

今、すべてを直すことは到底無理だから、とりあえず、優先的にやるべきものを絞らないと……

残りの時間を考えると二つが限界と言ったところだろう。

「二つか……出来れば全てを見直しておきたかったんだが」

あまり長くは迷っていられない。

と言うわけで俺は、特に見直しておきたかった回復魔法と隠蔽魔法を練習しておくことにした。

あの二つに関しては、色々と問題が見られたからな。

回復魔法もヒールだけじゃこの先限界があるだろうし、隠蔽魔法も便利な反面、不便だと思うところもある。

ヒール以外の回復魔法は勇者パーティーにいたとき、特に必要ではなかったため使うことは一切なかった。

回復魔法はシーナに任せ、俺はその回復魔法の効果を上げる。

これが最も効果的で、魔力の消費量も少なくすんだからだ。

しかし、パーティーの回復役が俺しかいないとなれば、俺の立ち回りも当然変えなければならない。

と言うわけで、俺はこの二つの魔法を練習することにした。

納得のいく魔法が出来るまで、魔法を繰り返し使い続けた。

そして気がつけば、すでに朝日が昇り始めていた。

「まだ少し、時間があるな」

待ち合わせは昼前。

宿に帰り、休憩する時間を考えても、もう少し練習が出来る。

さて、何を練習するか……

悩んだ末、俺はある魔法の練習をすることにした。

杖の先端を上へと向け、空へとファイアーボールを放つ。

威力も大きさも普通。何か特殊な効果があるわけでもない。

まぁ、強化魔法を使っていないからと言うこともあるが……

Sランクパーティーにいる以上、この魔法を使う機会はないだろう。

他にも火属性の魔法ならば使えないことはないのだが、どれも魔法職であるシリカの魔法には劣る。

ならば何故、火属性魔法を使ったのか。

それは試してみたいことがあったからだ。

その魔法は自分で考えた完全なオリジナルであり、師匠に教わったわけでも、誰かが使っているのを見たわけでもない。

だから、実現することが可能か否かすら分からない。

だが、やってみる価値はあると、そう思えるような魔法だった。

「ふぅ……やってみるか」

俺はそう言い、収納魔法でとある物を取り出した。

そして約束の時間ギリギリまで、その魔法を練習し続けた。