軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

勇者パーティーの崩壊③

準備を終えたアレン達が建物から出てくる。

アレンが自信に満ち溢れた表情をしているのに対して、シーナ達は不安そうな顔をしていた。自信無さげに、それでも仕方がなく、付き従うシーナたち。

しかし、王国騎士は彼女らではなく、自信の滲み出るアレンを見て期待を募らせた。

まだ、この街には勇者様がいると。だから、大丈夫だと。

「勇者様方、準備は出来ましたか?」

建物の外で待機していた騎士の一人が尋ねる。

「あぁ、バッチリだ。問題ねぇよ」

「そうですか。すでに冒険者ギルドにも依頼はしております。残念なことに、現在Sランク冒険者が不在らしいですが……」

騎士の話によれば、この依頼を受けるには最低でもEランク以上の冒険者でないといけないらしい。

最も、本来ならばDランク以上が条件で依頼を出すような難易度らしいが、街の危機と言うこともあり、「是非俺たちにも」と言う声が多く上がったらしく、そういう背景があり、ギルド支部長と王国騎士が話し合いをし、こういった判断になったそうだ。

確かに今回の戦いは人数がいればいるほど、有利になるだろう。

しかし、

「全員Bランク以下か……」

王国騎士の報告を聞いたミイヤらは不安そうな表情を浮かべる。

今の自分達の力で、果たしてモンスターの大群を相手出来るのだろうかという不安が、シーナたちを襲う。

しかしそんな中、アレンだけは違った。

「別に問題ないだろ。この俺、勇者がいるんだしさ。いくら雑魚が集まろうが関係ねぇよ」

なんなら俺たちだけで十分だと言わんばかりの自信に溢れた顔で言う。

そんな表情に、ルルとシーナはほんの少しの希望を取り戻す。彼はきっと、なんとかしてくれると。今までもそうだったし、何せ彼は勇者なのだから。

「そ、そうですよね! さすがは勇者様……私たち騎士も全力でサポートさせていただきます!」

「ふん、くれぐれも足を引っ張るようなことはするんじゃねぇぞ」

きっとあの失敗は、たまたま運が悪かっただけであり、自分がモンスターの群れになんかに負けるはずないと。

アレンは未だそう思っていた。

自分達に原因があるだとか、反省だとか、そんなものはアレンの中には存在しない。

アレンの中にあるのは、絶対に次は失敗しないという、根拠もない自信だけである。

「よし……それじゃ冒険者どものいるところまで連れてけ!」

「「は、はい!」」

王国騎士たちはそう返事をするとアレン達、勇者パーティーを冒険者ギルドへと案内した。

「おい、あれって勇者様じゃ……」

「緊急依頼に参加するらしいぞ」

「でも、大丈夫なのかしら……前回、失敗したんでしょ? それで仲間の一人が大怪我をして抜けたって聞いたわよ」

「いや、たまたまだろ……だって、大陸に四人しかいない勇者の一人だぞ。アレン様なら、きっとこの街を救ってくれるさ」

冒険者ギルドへと向かうアレンらを見た街の人からは、様々な反応が上がった。

やはり、前回の失敗のせいでアレンの印象は変わってしまったのだろう。

失敗する前なら、全員が迷うことなく「アレン様が解決してくれる」と言い応援してくれたかもしれない。

しかし、今は違う。

ちらほらと、荷物をまとめてさっさと街を後にしていく人達の姿が見受けられる。

もう、この街に救いはないと。

「っち……俺を信じて街で待っていればいいものを……まったく、アホな連中だな」

荷物を背負う人達を横目で見ながら呟く。

また、荷物を背負う人たちは、アレンと目が合う度に気まずそうに視線をそらし、足早に何処かへと消えていった。

「くそっ……まぁいい。あいつらだって今回の依頼で、俺が最強だと思いしるだろ」

街の人にどんなことを言われようと、アレンの自信に満ち溢れた表情が変わることはなかった。

後ろを歩くミイヤは、そんなアレンの背中を不安そうな表情で見つめていた。

その手に握る杖に、グッと力が籠る。

アレンらが家を出てから数分後。

王国騎士達の足が木造の大きな建物の前で止まった。

「勇者様方、冒険者ギルドに到着しました」

「おっ、ここがそうなのか……うわぁ、なんかボロい建物だなぁ」

確かにアレンの住む建物に比べれば、かなりボロボロに見えてしまうかもしれない。

だが、一般的に見ればお洒落なデザインをしており、その規模もあり、そこそこの建築物だと言えるだろう。

アレンの言葉を聞いた王国騎士が苦笑いを浮かべる。

「まぁ、それなりに歴史のある建物なので……」

「ふぅん……まぁどうでもいいや。たぶん、ここに来るのも最後だろうし」

アレンはそう言い、冒険者ギルドの扉を開けた。

その瞬間、中にいた冒険者達の視線がアレン達へと集まる。

アレンは物怖じすることもなく、冒険者ギルドの中をズカズカと進んでいった。

「よぉ……もしかして、お前らが今回依頼に参加する奴等か?」

どこか不満そうな表情で、冒険者達に尋ねる。

「あぁ、そうだが……問題あるか?」

冒険者の一人が尋ね返す。

「いや、弱いのは分かってたんだけどな。想像以上に弱そうだったんでな。まぁでも、初めから冒険者なんかに期待はしていないから、心配すんな」

アレンがポンポンと冒険者の肩を叩く。

安心しろと言いたいのだろう。

俺がいるから大丈夫だと。

「な、なんだと!?」

あまりにも傲慢で、上からなアレンの態度に苛立ちを押さえることが出来なかったのだろう。

肩を軽く叩かれた冒険者がアレンに殴りかかろうとする。

しかし、近くの王国騎士たちに取り押され、攻撃を阻止される。

「く、くそ……」

「はぁ、冒険者って知能まで低いのかよ。まぁ、それでも肉壁くらいにはなるか……」

王国騎士たちにより、地面に押さえつけられた男をアレンは嘲笑うかのような表情で見ていた。

「なんなんだよ、あいつ」

「勇者だからなんなんだよ。偉そうにしやがって……」

冒険者たちの鋭い視線がアレンに向けられる。

口々と悪態を吐く冒険者達に、アレンが苛立ちを覚える。

「っち....無能どもが」

アレンが不機嫌そうな表情で舌打ちをする。

冒険者たちは、そんなアレンの偉そうな態度に次第に怒りを募らせた。。

アレンと冒険者達がジリジリと睨み合う。

それを見て、このままでは不味いと思った王国騎士がアレンに近寄り止めに入ろうとする。

「あ、あの、勇者様。時間がありません……早く、モンスター討伐の作戦会議をしましょう」

「あぁ……そうだな」

そう言うとアレンは近くの椅子に腰かけた。

足を組み、ふんぞりかえるアレンは、冒険者と王国騎士に、自分の考えた作戦を説明し始めた。