軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

《城壁の番人》

光の荒野を三日かけて踏破した。

【光の荒野踏破率:100%】

【ルミナリア踏破率:12%】

荒野の先に──巨大な城壁が現れた。

白い石の壁。高さ五十メートル。どこまでも左右に伸びている。壁の上に──光の紋章が輝いている。ルミナリアの国章。

そして城壁の前に──番兵が並んでいた。

【聖光の番兵 Lv95 HP:120,000 ×20体】

二十体。自動防衛システム。NPCではなく──聖王の命令で動く光の兵士。

「二十体か。──一体ずつ相手にすれば問題ないが、連携してくるのなら厄介な相手だ」

ゼクスが冷静に分析した。

「連携のパターンを見る。──まず、一体だけ引き寄せよう」

冬夜は弓に切り替え、最も手前の番兵に矢を一本撃った。

番兵が反応した。──だが、一体だけではない。隣の番兵も動いた。さらに隣も。五体が連動して動き出す。

「五体連動か。一体を引いたら、周囲四体もついてくる」

「なら四回に分けて処理しよう。五体ずつ」

第一陣。五体の番兵が突撃してきた。

全員が光の槍を持っている。隊列を組んで突進してくる。──訓練された兵士の動き。モンスターの野生の動きとは質が違う。

トワは見聞録でパターンを読む。

──隊列突撃。先頭が盾、二番目と三番目が槍で突く、四番目が後方支援の光弾、五番目が回復役。

回復役がいる。先に潰す必要がある。

「ゼクス、影は使えるか」

「この光の中じゃ無理だ。──だが、ルーナの夜があれば」

「ルーナ。夜を展開。範囲は番兵五体を包める程度でいい」

「わかった」

夜が降りた。五体の番兵が夜に包まれる。影が生まれ、番兵の足元に影ができる。

ゼクスが──影に潜った。

「久しぶりだな。影潜り」

影の中を移動し、回復役の番兵の背後に出現。短剣が首筋を裂いた。

48,000──一撃で大きく削る。

同時にトワが前衛三体の隊列に切り込む。先頭の盾役を──影銀の剣で弾き飛ばし、槍兵の隙間に入り込む。ゼロ距離。槍が使えない距離。

三連斬。槍兵を一体撃破。

アストレアが聖剣で盾役と斬り合う。同じ聖属性──だがアストレアは第四位階を持つ。番兵は第一位階の力しかない。格が違う。

「わたしの光の方が──上です!」

聖剣ルミナスが番兵の盾を割った。

タマキが全員にスープのバフを維持しながら、回復を回し続ける。

第一陣、五体撃破。

「各員、次も同じ手順で」

『了解!』

第二陣。第三陣。第四陣。──計二十体を、五体ずつ処理していく。

パターンは同じだが──後半になるほど番兵の連携が複雑になっていった。第三陣は盾が二枚になり、第四陣は回復役が二体になった。

だが、冬夜の見聞録が全てを読み、ルーナの夜がゼクスの影を復活させ、セレスの月光がルーナの夜を支え、アストレアの光が番兵の光を上書きし、タマキの薬が全員を支える。

六人の連携が完成されていた。

二十体全滅。城壁の門が──開いた。

【城壁関門を突破しました】

「やった──!」ハルが拳を上げた。

「当然だな」ゼクスが腕を組んでいる。

「私たち、勝ったんですね……!」タマキもガッツポーズで嬉しそうだ。

無事エリア攻略かと思われたが──城壁の影に、一人の人影があった。

番兵ではない。NPCだ。ボロボロの聖騎士の鎧を着た──若い男。

「この辺では、見ない顔だな……お前たちは、外から来たのか?」

近付くと、男がトワたちにそう問いかけた。

未知の旅人を怖れているのか、腰が引けている。

「俺たちは、この地域に来た旅人だが……あんたは、誰だ?」

「俺はルミナリアの騎士だった。でも……カレンの命令に疑問を持って、城壁の外に逃げた。脱走兵だ」

【脱走兵ラグナ ── NPC】

【友好度:0/10】

「カレンの命令とは、なんだ?」

「この国の全てを──光で照らし続けろ。夜を作るな。影を許すな。記憶を消せ──俺は、そんな命令に従えなかった」

脱走兵。ルミナリアの内部にも、カレンに疑問を持つ者がいた。

「お前たちが城壁を突破するのを見ていた。──強いな、あの番兵を倒すとは」

「中に入りたい。案内してもらえるか」

「案内は……できる。だが……覚悟してくれ。聖都ルクスは、異常なんだ。住人は全員笑顔だが……目が死んでいる。記憶がないんだ。──名前も、過去も、何も」

記憶のない住人。ソルシアの聖女が言っていた通り──ルミナリアは自国の記憶すら消していた。

「でも──時々、住人が小声で言うんだ。『助けて』って。笑顔のまま。──あれを聞いた時、俺は本当に生きた心地がしなかった。その日の夜、俺は国から逃げ出したんだ」

カレンの恐怖が国全体を縛っている。住人すらも被害者なら、解放するしかない。

「行くぞ──聖都に入る」

トワたちは城壁の門をくぐった。

白い光の向こうに──聖都ルクスの街並みが、ゆらりと浮かんでいた。