軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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山里たちはドローンから機材を下ろし、組み立てていく。

それぞれのパーツは単純な拠点設営のパーツに見えるが、あっという間に本当の姿を露わにした。

バリスタ。

攻城兵器のひとつ。バカでかいクロスボウをイメージしてもらえば話が早い。地面に固定した巨大なクロスボウから、槍みたいな 矢(ボルト) を発射する。

組み立てたそれに、鈍器使いが 矢(ボルト) を乗せた。槍使いが角度を調整する。

「やっと仕事だ! 本業はこっちなんだよ!」

槍使いは射撃手が本業だったらしい。

「追い込みできるかー!?」

山里が叫んだ。シャベルマンが片手を挙げて応える。

スケルトンホースを放した彼は、ドローンから異質な形のシャベルを取り出した。コンビニでヨーグルトを買ったら付いてくるスプーンみたいな形をしている。柄の部分は総金属製の筒になっていた。

なんかで見たことあるんだよな。

刃と柄のつなぎ目が折れ曲がる。刃の背中を地面に押し付け、柄の先っぽをノーライフキングに向けた。

「思い出した。シャベル迫撃砲だ、あれ」

「なにそれ、トンチキすぎない?」

スイの言葉には完全同意だ。

ソ連で発明された、迫撃砲も撃てるシャベルだ。意味わかんねえけど、まぁそういう兵器があったらしい。シャベルとしても不便で、迫撃砲としても弱い。そんなポンコツ兵器だったらしいが……。

しゅぽんっ。

間抜けな音がした。シャベルから、筒のようなものが飛ばされる。

ノーライフキングを守るように動いた骨の腕に命中。ばきりと内部にめり込んでから、一気に白い泡が広がった。何体ものスケルトンを巻き込んだ泡は、そのままぴたりと形を止める。

ノーライフキングが不快そうな顔をした。どうやら泡に包まれたスケルトンが動かなくなっているらしい。

「火球の魔法で樹脂発泡剤の缶を飛ばす! 何発も食らえば大型モンスターだって止まるぞ!」

山里が怒鳴った。

ノーライフキングは腕の1本で身を守りながら、もう1本でシャベルマンを狙う。逃げ出すシャベルマン。

好機と見たスイが、粘着性の火球を放った。ラプトルのブレスに似たやつだ。

それも腕で防ぐ。

「ナイス! 射線が通った!」

槍使いが操るバリスタから、大きな 矢(ボルト) が放たれた。

長い鎖を尾のように引いて飛ぶ。狙い過たず、ノーライフキングの胸を貫通した。

鎖の半ばで勢いが止まり、ノーライフキングの前後に鎖と 矢(ボルト) が垂れ下がる。

『む?』

何をされたのか今一つ理解していない表情のノーライフキング。別にバリスタで射抜かれたところで、痛くも痒くもないのだろう。

続けて放たれたもう1発。ノーライフキングの左足に命中。ここで表情が変わった。

『鬱陶しいな』

『うちはもともと、こういう小細工が得意なパーティーでね!』

我らが勇者が、勇者っぽくないことを言いやがる。

巨大な拳がバリスタに打ち込まれた。慌てて逃げ出した山里たち。せっかく組み立てたバリスタは木っ端微塵にされた。

だが。別の方向から、垂れ下がった鎖に樹脂発泡剤が撃ち込まれる。

『いいのか? フォームは硬いが刃物に弱いぞ!』

槍使いが手で 矢(ボルト) を投げた。垂れ下がり低い位置にあった樹脂フォームの塊に刺さる。

ノーライフキングに繋がる、鉄の鎖が増えていく。ぐぐっ……と少し高度が下がった。

表情が歪む。かなりウザそうだな。動きが途端に鈍くなっている。

『よお。見下ろされるのは初めてか?』

――だからって、俺を忘れちゃ困る。

光の足場を踏み、宙に躍り出た。大きく右に振りかぶったツヴァイハンダー。切っ先が陽光を反射して、剣呑に光る。

ノーライフキングの目が見開かれた。

ばちゃん。

振り抜かれた大剣が、整った顔面を吹き飛ばした。回転の勢いそのままに、オマケの回し蹴りをぶち込む。

ノーライフキングは足場にしていた骨の球体から足を踏み外し、鎖の重みに引きずられ落ちていった。

不思議パワーの浮力無しで、その鎖の重みはキツイだろうよ!

ノーライフキングの落下地点に割り込む、ごっつい人影。パイルバンカーを引き絞ったトウカだ。

重力加速と、爆発的に打ち出される杭がぶつかり合う。

水っぽい音がした。腹部がはじけ飛び、ノーライフキングの上下がバラバラに地面に落ちた。トウカの足元に聖剣が転がる。

『この人類もやるなぁ……』

どこから出た声だか。

感心したようなノーライフキングの言葉には、ぞっとするような冷たさがあった。

「焼いておくね」

スイの魔法がバラバラにされたノーライフキングを包む。しかし。

『私たちも』『けっこう頑張ったんだよね』『滅びてはしまったけれど』『死後数千年』『積み重ねてきた』『喪った世界を』『取り戻すために』

輪唱のように。周囲から声が響いた。

首筋を冷たい汗が伝う。最悪の予感がした。

ノーライフキングから奪い足場にしていた骨の球体。その全てが、肉を帯びる。

『『『『『『『『ははははははは』』』』』』』』

哄笑が響いた。

伸びる手が足を掴み、球体に引きずり込もうとしてくる。

――クソが。

周囲の全てのスケルトンがノーライフキングに変化していた。

浮力を失ったそれらと共に、落下が始まった。