軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百八十六話 復活

「ナンゴーク……名前だけは聞いたことがあるけども……」

『ひははははは、そこにゴクウたちは向かった。そのあたりの近海……そして海の底に奴らはいる』

アース、エスピ、スレイヤ、シノブ、そしてラルウァイフとガアルにアミクス、そして……

「たしか、果物ですごい有名なところだね。アースッち、行くの?」

「ん~……」

このままゴクウたちを放置してよいか? 深海の問題が非常に気になるのだが何もしなくてよいのか?

気になるならもう一度ゴクウたちと会って話してみたらどうだというパリピの提案は悔しいがその通りだと感じたアース。

そして何よりもゴクウたちの居場所が分かるのであればなおさらだ。

「まー、そうだなぁ……あの国王はどうなっても構わねえが……奴らのやろうとしていることが世界を巻き込んで……となるとなぁ。だけど、ゴクウやセイレーンクラスの奴らが他にも出てきて、戦いとかになったらとんでもねえことになりそうだしなぁ……」

とはいえ、相手は神話に近い伝説を持つ怪物たちの巣窟。

不用意に乗り込んで、全面戦争などと思われたら余計に話がこじれそうになり、アースもすぐには頷けなかった。

すると……

「坊やが行かなくても、僕は行くよ」

「ガアル?」

「僕のダディも彼らに連れて行かれた……と考えて、間違いなさそうだしね」

「あっ、そういやセイレーンが出て来た時に、お前……」

アースが答えを出す前に、ガアルが名乗りを上げた。

そしてアースもハッとした。色々と怒涛の展開すぎて話が流れてしまったが、セイレーンが現れた時、当初のシナリオで予定のなかったガアルまで途中参戦してきて、そしてセイレーンにそのことを問うていた。

「あ……そういや……お前の父さん……」

「ああ。僕がジャポーネから一度天空世界に戻った時、既に終わっていた。何者かが人知れずに侵入し、見張りを眠らせ、静養していたダディを攫った。パリピの時の副作用でもうまともに動けなかったダディがだ」

それは、天空世界の前王であり、ガアルの父がこのタイミングで攫われた恐れがあるということ。

ゴクウがジャポーネのウマシカを攫いに来たタイミングでだ。偶然なわけがない。

そして、そんなガアルが魔水晶を睨みつけ、色々と過去の因縁があったパリピに怒気を飛ばすが……

『ひははははは、あ~、あのハゲ攫われたんだ~、へぇ~……えっとぉ~、名前、なんだっけ?』

「ッ、貴様ッ……ふう……まったく……」

『ひはははは、まーいーさ。それならそれで行けばいーんじゃない?』

全ての元凶でありながら、むしろガアルを挑発するように煽るパリピ。

今にも魔水晶を叩き壊しそうなガアルだが、そこは何とか堪える。

そして……

「とにかく、そういうわけだ、坊や。もし君も来てくれるなら、僕としてはとても嬉しく心強いか……」

「あ……あ~、ちょっとタンマ……っていうか、あー、どうするか……なんかもー、嫌な予感しかしねーが……つか、行くにしても天空世界丸ごとと一緒ってのは嫌だぞ! あんなのと一緒だったらとんでもない大ごとになっちまうし、本当に問答無用の全面戦争になっちまうし!」

「む……それはそうだが……はっ!? ま、まさか、坊や……ぼ、僕と二人で旅をと……まったく、君には素敵な花嫁候補が複数いるというのに……い、いちおう、僕も女だよ?」

「ぇ……いや、ちが――――!」

行くならあまり大人数じゃない方がいい……という、アースの要望に少し照れたようにクネクネするガアル。

慌ててアースが否定しようとしたところ……

「ぶっぶ~~~、残念でした~! お兄ちゃんが今後、単独で行動するなんてのは絶対にありえないの~!」

「そうだね。少数精鋭だろうと大人数だろうと、どっちにしろお兄さんの相棒として僕が居るからね」

と、例え何があろうとどこであろうと、もう離れることはないのだと、エスピとスレイヤが左右からアースにピトっとくっついてガアルを牽制した。

そうなると、行くメンバーはこの中で考えると……

「うわぁ……いいなぁ~……ねえ、ラル先生……」

「お前はダメだぞ、アミクス。族長からもキツく言われているし、今回の勝手な行動のお仕置きがあるしな。あと、単純にこれからのことでは足手まといだ」

「うぇ~~~~、そんなぁ~!?」

ラルウァイフとアミクスは無し。

「私も本当は行きたいけれど……ジャポーネの事後処理とマクラのこともあるし……だから、ハニー。一応叔父さんのことは……余裕があったら様子だけ見てもらえるかしら? もし、ゴクウの言っていたとおり、本当におもてなしされて、本人も戻ってくる意思がなければ、もう構わないわ」

シノブも本心ではアースと一緒に行きたいところだが、今回に限ってはジャポーネでやるべきことがあるためにパス。

「あ~、俺っちは―――」

「来んな」

「ちょ、アースッち、俺っち何も言ってない! いや、行かないけどね、行けないけどね、でもひどい!」

オウナは実力的に当然パス。

さらに……

「あと、お前は来るなよな! コマンッ!」

「…………」

魔水晶を持ったまま無言を貫き謎の覆面という設定で通していたパリピの手先。

十中八九中身はコマンなのだが、本人は決して認めず言葉を発しない。

「あらら、アースっち、ひでーなぁ~、仮にも元クラスメート」

「いや、こいつスパイだったからな! しかも、本性がかなりヤバくて、つか、パリピと繋がってるし!」

『おやおやボス~、コマンちゃんが行かないと、今後のボスの伝説を撮る人が……』

「やらせるかぁぁあああ! つか、お前は本当にいい加減にしろよ! 俺は見せもんじゃねーんだぞ! あと、パリピとオウナは二度と二人で喋るな! 結託すんな!」

いずれにせよ、今回のジャポーネでの生配信のように、また自分のこれからの行動や言動などを世界中に流されて見世物にされるというのは絶対に嫌だった。

なによりも、監視されているとなると、「迂闊な言動」はできなくなってしまうからだ。

特に、最近放っておくと拗ねてしまう師匠との会話など……

『あ~、もう、分かったよボス……ま、しゃーねえな、コマンちゃんは今回はいいや』

「え……」

『相手がまー、あのバカ猿だけならまだしも、ちょっとこれまでとはレベルが違う連中もいるかもだし、コマンちゃんの力は認めても、荷が重い。中途半端に撮影が中断されたりになるとマイナスだし、コマンちゃんはついていなくていいよ。あ、いや、謎の覆面ね~』

「…………」

それは、意外な展開だった。

「え、マジか、パリピ! いや、マジでついてこられても置いていくつもりで走るつもりだったけど、本当だな!」

アースも、まさかパリピがこんなにアッサリ引くとは思わず、驚いて聞き返すほどだった。

だが、パリピは否定せず……

『本当さ。謎の覆面は今回まで。そして尾行させるようなこともしない。これでいいかな? これで』

「ああ、それならな。つか、テメエ約束守れよな?」

『まったく、疑り深いな~、ボスは。はいはい、約束するよ。コマンちゃんに尾行させてコッソリ撮らせるようなことはさせない。問題なーい?』

アースの要望を全て聞き入れるという結果になったのだった。

それならば問題ないとアースはホッと胸を撫でおろした。

「なーんだ、じゃあ、お兄ちゃんの鑑賞会、これからのは無しか~。あ、でもまだ最後の一本あるから、それで我慢か~」

「残念だな。もっともっと世界中に僕のお兄さんの凄いところを見せびらかしたかったのだが……」

「いやいやいやいや、エスピ、スレイヤ、もうお前らほんとやめてくれよ! 俺の精神本当に擦り減るんだからアレは!」

「え~、アース様、私も見たいですよぉ、今回同行できないんですから~」

「私も見たかったわ……私のいないところでのハニーの活躍を……」

「おやおや、なら今回同行できる僕は、ついている、ということだな」

「……やれやれ、小生も興味深かったが……」

だが、意外とアース以外の面々からすれば、アースの鑑賞会ネタが増えないというのは少し残念だったようで、アースとは逆の反応だった。

そんな中で……

『童の要望を聞くとは……パリピめ……何を考えている?』

と、アースの傍らでトレイナは腕組しながら魔水晶のパリピを睨んでいた。

それは、アースと違い、パリピの言動を不可解に思っていたからだ。

『今回、戦いが目的ではないとはいえ……深海世界という伝説の地、神話級の面々たちと童の対面……この材料豊富な状況で奴が何もしないだと?』

そう、戦闘に行くわけではないが、争いや騒動が絶対に何も起こらないとは言い切れない相手である。

だからこそ、本来のパリピなら何が何でもこのイベントを記録して鑑賞会で流す方向に持っていこうとするはずである。

『こ奴は呼吸するように嘘をつくが……嘘を言っているような雰囲気ではなかった……いや、本当のことだけを喋って、あえて核心は触れないということか……』

一体パリピは何を考えているのか?

トレイナは不可解だった。

そして、トレイナの感じたことは正解であった。

世界の果ての遠い地で、パリピは魔水晶での通信を切り、一人ニヤニヤしながら……

「ひはははは、たしかに今回はトラブルが起こったときを考えると、撮影係はコマンちゃんでは荷が重いからな……だからコマンちゃんは行かせない。約束は守るよ~、ボス~」

独り言を吐きながら浮かべるその笑みは、明らかな悪だくみ。

「でも、約束したのはコマンちゃんを行かせないこと……だから、代わりにもっと優秀で強い撮影係が行っちゃえばいいってこと~~~~~♪」

アースとの約束で、『コマンに行かせない、撮らせない』ということだけしか約束していない。

だから、代わりの者が行って撮ればいいという子供の屁理屈である。

ここで問題なのは、誰が行くのかということだが、それは一人しかいなかった。

「ひはははははははは! さーて……オレもようやく怪我も癒えたし、リハビリを兼ねて―――――行くか♥」

闇の賢人パリピ、復ッ活ッ!