軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百四十八話 真実は胸の内に

天より高くまで上昇し、最後は盛大に散った太陽。

その最後を目に焼き付けると同時に、胸が締め付けられた。

「俺は……あいつに応えてやれただろうか?」

『そんな分かり切ったことを、今更聞かななくても良かろう?』

空から落下しながら呟いた俺の言葉にトレイナがそう答えてくれた。

『よくやったぞ、童』

「……ああ……」

『貴様は余の力を借りることなく、一人で勝った……常に仲間の力を借りて戦っていたヒイロたちとは違う……貴様はよくやった。そして、残り僅かな命を恐れることなく壮絶な最期を遂げたゴウダの雄姿を余も見届けることができた……』

切なくも、それでも俺とトレイナの心に刻まれた、ゴウダという最高にイカした野郎。

そんな奴の最後を見届け、そして応えることができた。

六覇に勝ったとかそんなことよりも、そっちの方が俺にとってはよっぽど誇らしかった。

「……トレイナ……じゃぁ……あとは……」

『うむ』

そして、戦いは終わり、俺の役目も終わった。

あとは……

「お兄いちゃああああああん!!」

「あっ……」

「ふわふわお兄ちゃんダッコ!」

ゴウダが俺を受け止めるように叫んだのが聞こえたのか、待ちきれなかったのか、エスピが落下する俺に向かって飛んできて、浮遊の力で俺を受け止め、そのまま俺に空中でしがみついてきた。

「はは、エスピ……助かったよ」

「う~~~~~~」

しがみついて胸に顔を埋めてくるエスピ。唸って、その肩はプルプル震えている。

「お兄ちゃんの……バカバカバカバカ~大バカー!」

「いていていてて……」

胸をポカポカ何度もたたいてくるエスピ。

頭を撫でて止めてやろうとするが、右腕は死んでるし、左腕もヤバいことになっているのでそれができない。

「いてーって、エスピ……」

「うう~、ひとりでゴウダと戦って、あんな危ないこといっぱいしてー! 心配したー! したんだからー! したのー!」

「お、おお、そうか……」

よほど心配させたんだろうな。

というか、この時代でも六覇相手にタイマンするやつなんてそうそう居ないだろうから、エスピの言う通り確かに俺もバカなんだな。

「あっ、降りてきた! お兄さん! お兄さん!」

そして、ゆっくりと地上に降り立った瞬間、スレイヤも俺に駆け寄ってきた。

「お兄さん、大丈夫!? うでが……ああもう、本当にお兄さんは……ラルウァイフ! お兄さんを手当てして!」

「あ、ああ、うむ……」

「まったくお兄さんは……でも……かっこよかったよ」

こっちはこっちで最初は俺に不満そうにするも、興奮を抑えきれないのか目を輝かせてきた。

まったく、かわいいものだぜ。

「なあ……ゴウダ様は……どうなったのだ?」

「ん? ……ああ……逝ったよ」

「……そう……か」

一方でラルウァイフは俺の腕に手をかざして回復魔法を唱えながら、落ち着かない様子で尋ねてきた。

そう、魔王軍だったこいつにとって、六覇の一角が目の前で死んだという事態をまだ整理できていないんだろうな。

そして……

「伝説の証人になれて幸運だよ……お兄さん……」

「……族長……」

「おつかれさま」

俺をねぎらう族長。

するとエスピとスレイヤも俺にピトっと身を寄せてきた。

「そうだよ、お兄ちゃん! 六覇を倒しちゃったんだよ! 七勇者はまだ誰もやってないのに、お兄ちゃんがやったんだよ! お兄ちゃん、やっぱ世界一だよ! んふー! 私のお兄ちゃんは世界一~!」

「伝説……英雄……うん、お兄さんは本当にそれだけの偉業を成し遂げたんだよ! 世界はもっと知るべきだ! ボクたちのお兄さんがどれだけすごい人なのか、みんなもっと知るべきだよ!」

まるで自分のことのように嬉しそうに「伝説」、「英雄」、「世界一」とかって俺を褒めてくれる。

悪い気はしない。

だけど……

「いや……違うよ、エスピ、スレイヤ。ゴウダを倒したのは……勇者ヒイロ……」

「「……え??」」

真実は違っても、歴史に刻まれた記録だけは弄るわけにはいかないからな。

「なんでよ、お兄ちゃん! お兄ちゃんが倒したんだよ!?」

「倒したというより、ゴウダは寿命だったからな~、俺は一緒に歌っただけだ……」

「意味わからないよ、お兄さん! なんで本当のことを言わないの? 手柄を勇者たちに渡すの?」

「いいんだ……それで……」

エスピとスレイヤは当然納得いかないのか、物凄い怒っている。

「歴史の真実は……今この場にいる皆だけの胸にしまってくれ」

だけど、これでいいんだ。

すると……

「名を上げることはしない……そういうことかな、お兄さん? ううん……アース・ラガンくん」

「「「あっ……」」」

「族長……」

そして、族長の言葉を聞いてエスピたちもハッとした顔で俺に食いついてきた。

「そうだ! ねえ、お兄ちゃんってアースって名前なの? ヒイロと何か関係あるの?」

「そうだよ、お兄さん。なんか色々と分からないことが多くて……」

「小生にも教えてもらいたい。それに時を越えてとか……」

たぶん、族長だけは全て分かっているんだろうな。俺のことを大体のことを。

ただ、エスピもスレイヤも、そしてラルウァイフも分かっていない。

俺がどういう存在なのかを。

そして……

「とりあえず、あんまノンビリもできねえ。モタモタしてると連合軍たちも来ちまうだろうし……地下研究所とやらに移動しながら話そう……皆も心配してるだろうし……」

「ぶ~、今すぐ聞きたいのに~……じゃあ、今から皆でジャポーネの山まで行ったら教えてよね!」

俺のこの時代での旅がここまでであるということを、知らない。

「いや、すぐに教える……」

「え? そうなの?」

「お兄さん、たしかに聞きたいけど……でも、お兄さんも疲れているだろうし、無理には……あとでいいよ」

俺がこれからも一緒だとまるで疑っていないエスピとスレイヤに……

「いや、すぐにだ」

「「?」」

俺はこれから話さないといけない。

俺は何者なのかを。

そして俺たちは……

「俺は……シソノータミのアイテムで、事故なのかよく分からねえが……今より十数年後の未来からやってきた……」

「「「????」」」

「さっきも言ったように、俺の本名はアース・ラガン。七勇者のヒイロとマアムが結婚して、二人の間に生まれた子供だ」

「「「…………ほへ???」」」

俺たちは……お別れをしなければならないことを……