軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

84 幕間 クララ救出作戦 3

次の日、僕たちは傭兵国家ロゼムを出発することになった。それも、ロドス王以下傭兵500人を率いて。レベッカさんに理由を聞いたら、「そのうち分かる」と言われた。

それとロドス王は機嫌が良かった。破格の報酬をもらったからだ。

「護衛でこの人数、それにこの報酬、本当にいいのか?ゴンザレスの兄弟の顔を立てて、安くしてもいいんだがな」

「気にしないでくれ・・・ 今(・) 後(・) と(・) も(・) 頼むことも多いだろうからな」

「 今(・) 後(・) と(・) も(・) か(・) ・・・物騒な話になるのか?」

「それは神のみぞ知ることだろう」

二人の会話がどういう意味かは、この時には分からなかった。

2日でロイター王国との国境に着いた。

どうやら、国境は封鎖しているようだ。レベッカさんに聞いたところ、これも想定内だという。

ふと見ると、ダミアン王子とエスカトーレ様は、ピンク色の雰囲気を醸し出していた。それにダミアン王子は僕がイメージしていた王子様に戻っていた。

「ダミアン王子、またしばらくお別れですね」

「ああ、エスカも気を付けてね。こっちは、このマニュアルのとおりにやれば大丈夫だからさ」

「はい・・・それで・・・『エスカもマブくなった』をその口調で・・・」

「またな、エスカ・・・それってフラグになるからよ・・・俺はいくぜ」

最後は、変な口調になっていたけどね。

僕たちは、傭兵たちが国境の警備兵と押し問答をしている隙に山に入った。国境を封鎖されることを見越して、最初から山越えをする予定だったみたいだ。

遠くでダミアン王子が拡声器で怒鳴っているのが聞こえる。

「僕は「勇者」だ。聖女を旧友の元まで、届ける義務がある!!すぐに通せ!!」

凄く立派で、威厳のある声だった。

★★★

山中に入ってすぐ、魔物が大量に襲ってきた。それも通常の魔物ではない。変異種と呼ばれる強力な魔物が大量に・・・・死を覚悟した。

しかし、レベッカさんを筆頭にこちらも強力な戦力を持っていた。そんな魔物も寄せ付けない。それにニヤついた男は、経路を把握しているようで、なるべく魔物と遭遇しないような経路を案内しているようだった。

1日経つと余裕も出て来た。僕が 橇(そり) を引いていると、ミリアさんが声を掛けてくる。

「懐かしいなあ・・・クララもそうやって 橇(そり) を引いてたのよ。あの子は体力がないから、疲れたら橇に乗って、ゴンザレス様に引っ張ってもらってたわ」

「そうだな。ロキ、疲れたら俺が引っ張ってやるぞ」

「だ、大丈夫です・・・・歩けます」

このメンバーを歩かせ、しかもゴンザレスさんに橇を引っ張らせるなんて、お姉様は実はヤバい人なんじゃないかと思ってしまった。

2日ほど、山中を歩いた。そして、山から出たところで、ゴンザレスさんが言う。

「見覚えがあるぞ!!もう少し、行ったところに平地があってな。そこで魔族と戦ったんだ」

しばらくして、多分ゴンザレスさんが言っていた平地に着いたが、平地は平地でもただの平地ではなかった。巨大な城壁がそそり立っていて、明かに要塞のような施設があった。その施設は建設中だったらしく、ゴブリンや一つ目の巨人が作業をしていた。

それに城壁には僕が作製したボウガンを巨大にした物や巨大なスリングショットまであった。

間違いなく、お姉様を捕虜にした時に鹵獲した武器を研究して改良したのだろう。パッと見ても、相当腕の立つ職人が作ったことが分かる。僕がボウガンやスリングショットを作れたのは、お姉様のアイデアがあったからだ。ということは、その職人たちはお姉様の有用性に気付いているはずだ。だったら、お姉様が生きている可能性が高い。

このことをみんなに伝えると、みんな安堵した表情をしていた。

しばらくして、ハーフリングとオーガの警備兵がやって来た。

「お前たち、何の用だ?なぜ、ここに来た?」

魔族は初めて見たけど、いきなり襲ってくるような奴らではなかった。

レベッカさんが代表して答える。

「私はレベッカ・ドナルド。冒険者ギルドのギルドマスターをしている。クララ・ベルという少女がこの付近で行方不明になり、その捜索でここに来たのだ。依頼書もある。確認するか?」

「クララ・ベル?クララ大臣のことか?」

「クララ大臣?」

「そうだ!!総務、改革推進担当、復興支援担当、業務改革推進担当、都市開発推進担当大臣という偉い人なんだ!!俺たちは難しいから「総務大臣」や「雑用大臣」って呼んでいるんだ。クララ大臣は凄いんだ。何が凄いかは分からないが、とにかく凄い。この町もクララ大臣が半分作ったんだ。作業したのは、俺たちだけどな」

お姉様が大臣?どういうことだ?

ミリアさんが呟く。

「やっぱりクララだわ・・・雑用大臣なんて、あの子以外に考えられないわ」

★★★

そこから、僕たちは大歓迎を受けた。お姉様の親友とその弟が来たいうことで、お祭り騒ぎになってしまった。すぐに応接室のようなところに案内された。お姉様は現在、視察中で呼んできてくれるとのことだった。

しばらくして、ドワーフの少女がやって来た。ドシアナというらしい。

会って早々、握手された。

「貴方がロキ殿ッスね!?会いたかったッス。まずはこれを見てほしいッス。私が初めて、クララ大臣のアイデアを形にしたのがこれッス!!私もこれで、ロキ殿と肩を並べたことになったッス」

ドシアナが見せて来たのは、「ドシアナ式転写機」というもので、お姉様のスキル「転写」からヒントを得た魔道具だった。その後、ドシアナは頼んでもないのにどんどん自作した魔道具を持ってきた。そして、どれだけ自分が作った魔道具が素晴らしいか、そして、お姉様の発想を生かせるのは自分しかいないと言い出した。だんだんと僕は腹が立ってきた。そして、ドシアナの問題点を指摘してやった。

「ドシアナさん、貴方の魔道具は基本的にコストが掛かり過ぎます。もっと工夫すれば、より低コストで稼働できます。低ランクの冒険者なんかは、逆立ちしても手が出ません」

「そういう貧乏たらしい考えが、クララ大臣の素晴らしいアイデアを生かせない原因ッスね。最初にクララ大臣が持っていた橇なんか、浮き上がる以外に機能が全くなかったッス。もっと・・・・」

「あの橇はお姉様と一緒に作った思い出の橇なんだ。他の機能を付けなかったのは、魔石の消費を最小限にするためだ!!馬鹿にするな!!」

それから、ドシアナと取っ組み合いになってしまった。

しばらくして、僕とドシアナは引き離される。

「ロキ、止めなさい。ドシアナの言うことをまともに聞いたら駄目よ!!」

「だって、お姉様・・・ドシアナが僕たちの橇を・・・」

言い掛けて気付いた。

僕が探し求めていたお姉様はそこにいた。