軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

107 聖女認定

今日はレベッカさんとガルフさんがやって来た。重要な相談があるという。いつものメンバーで対応する。

「実は聖女の認定の件なのだが・・・」

聖女とはあの三人娘のことだ。魔道具の鑑定で「聖女」と鑑定されたのだが、彼女たちの親族から事情聴取を念のため行ったという。彼女たちの親はいずれも高齢で彼女たちを授かったようで、「聖女」と鑑定されてすぐは大喜びだったそうだ。

しかし、鑑定してもらった神父様から驚きの事実を告げられる。「聖女」というのは、どういったジョブかも分からないし、伝説のジョブでもあるので、これを発表すると教会にすぐに引き取られる可能性が高いとのことだった。ジョブ鑑定で分かるのはジョブのみで、ジョブの特性は長年の研究結果から導き出されたものだ。例を挙げると「剣士」というジョブ持ちが、軒並み剣術スキルに長けているという事実から、剣術に特化したジョブとして認識されるようになったのだ。だから私の「雑用係」のジョブも珍しいけど、過去に何人かは、同じジョブの人がいたということなのだ。

話を戻すと、折角授かった子供を手放したくないという思いから、親たちは相談し、「村娘」という架空のジョブを申告し、本人たちにスキルが全く身に付かないハズレジョブだから、絶対に人には言うなと釘を刺していたそうだ。この世界でジョブを隠したり、偽装したりするのは常識だ。それだけでは罪にならない。どこかの自称聖女のようにジョブを偽装して、悪いことをするなら別だけどね。

ジョブ鑑定以後、彼女たちの両親はいずれも、更に甘やかすようになる。いつか「聖女」として旅立つのではないかと思っていたからだそうだ。それ以後は知ってのとおりだ。

「彼女たちの親御さんからの意見も聞いた。みんな口を揃えてこう言ったよ。『私たちはあの子たちから十分な幸せを貰いました。もし世界に困っている人がいて、あの子たちが必要なら、その人たちにも幸せを分けてあげてほしいです。ウチには偶に帰ってきてくれたら十分ですよ』とな」

エスカトーレ様が言う。

「いい親御さんですね。もしかしたら、彼女たちの最大の幸運は、いいご両親に恵まれたことかもしれませんね」

「私もそう思う。だが、話はそう単純ではないのだ・・・」

レベッカさんが言うには、もしルータス王国や魔王国ブライトン、それに小国家群や獣王国ビーグルが聖女として正式に三人娘を認定してしまえば、アイリーンを正式に聖女として認定している神聖ラドリア帝国と対立し、全面戦争に発展するおそれもあるという。

因みにエスカトーレ様の「風の聖女」は、本人が名乗っているわけでもなく、正式な認定もされていない。前世の日本で言うなら「浪花のモーツアルト」レベルなのだ。

「あのエグ過ぎる作戦で、エランツ派の力はかなり削がれた。だが、逆に狂信的な集団を生み出してしまった。総本山が襲撃された「悪魔の襲撃事件」を邪教徒が悪魔に魂を売ったからだと喧伝し、すぐにでも挙兵することを声高に叫ぶ集団が現れた。元々過激な思想が更に過激になり、「超過激派」と呼ばれている。そんな状況でこちらが聖女認定をしてしまえば、どうなると思う?」

ネスカが言う。

「それは問題ですね。流石に僕たちもやり過ぎたかもしれませんが、それでもエランツ派の施設以外は襲撃してませんから、冷静に考えればエランツ派が邪教だというほうが辻褄が合うのですけどね」

「間違いなくやり過ぎだ。つまるところ、宗教なんて信じる信じないの世界だからな。利益や損得ではないのだよ。まあ、そんな訳で、 や(・) り(・) 過(・) ぎ(・) た(・) 君(・) た(・) ち(・) に相談しに来たというわけだ」

多くの国が悩んでいることを私たちが解決しろと?

それになぜみんな、私を見るの?

仕方なく意見を言う。

「じゃあですね・・・良いことをした宗派には幸運が訪れることにしたらいいのではないでしょうか?」

完全な思いつきだった。とにかく言うだけ言った感じだ。しかし、ネスカが食いついた。

「それはいい案かもしれないよ!!」

★★★

具体的にどうするか?

まず来たのは、スライム研究所だった。今回の作戦に使うスライムを調達するためだ。所長のハイドンがいつも通り出迎えてくれる。こちらから要望を伝える。

「ハイドン所長、幸せを呼ぶスライムとかないですかね?ちょっと作戦を考えていまして」

「幸せとは何か・・・難しいですな。まあ、一般的にはお金や宝石でしょうかね?よく分かりませんが、そんなスライムならいますぞ」

いるんかい!!

「前にお見せしたゴールデンスライムの親戚みたいなスライムですが、ジュエルスライムという潰すと宝石の欠片が出現するスライムがいるのですよ。後は潰すと奇麗な光を撒き散らすだけのシャイニングスライムとかですかね。シャイニングスライムは、研究費をかなり掛けた割には使い道がなく、こちらも処分するのに困っていたんですよ。私はシャイニングスライムを潰し、色とりどりの奇麗な光を見ながら、人生の儚さを感じるのも一興だと思うのですがね」

どんな趣味をしているんだ!!ただ惨殺しているだけだろうが!!

ツッコムことはしなかったが、ネスカが「研究費をかなり掛けた」という言葉に引っかかったらしく質問をする。

「ああ、餌代ですよ。最近予算が10倍になったので、ピュアスライムに大量の魔石や宝石を与えていたんですよ。どういった餌の配分にすれば、ゴールデンスライムになるか、シャイニングスライムになるかはまだ分かっていません。偶にメタリックスライムになったりしますからね。今後はこの研究にも力を入れて・・・」

ネスカが話を打ち切る。

「今の予算のままでやってくれ。この研究よりもクレンジングスライムの研究をしてほしいと思うよ」

「そうですか。ではそうさせていただきます」

これ以上、無駄に予算を使ってほしくないと思ったのだろう。

でも思いのほか、いいスライムが手に入ったことには間違いない。