軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スイード伯爵領地に帰還中 13

食事を終えてお母さんと部屋に帰ってきたチヤは、ソファにちょこんと座るとスキルの『通販』を開き目的のものを探していく。

お母さんは侍女が用意してくれた寝衣に着替えて、いつでも眠れる体勢だ。

「チヤちゃん、今日も疲れたでしょう? 着替えて早く寝ましょう?」

お母さんが優しく促してくるが、私にはしなくてはならない事がある。

「もう少し後にする」

「そうお? お母さんはベッドで横になってるからね」

お母さんは本当に疲れているようで、ベッドに横になると、ぴくりとも動かなくなった。

寝たのかな?

お母さんの侍女は退室したけれど、まだ寝衣に着替えない私のためにセーラが部屋に残ってくれている。

「セーラも疲れているでしょう? 私は1人で着替えができるから退室してもいいよ」

少しセーラは迷ったようだったが、また明日も馬車移動で早く起きなくてはいけないので「おやすみなさいませ、チヤ様」と言って部屋から出ていった。

私は目的のものを見つけると、その商品をお気に入り登録してから寝衣に着替えてお母さんに寄り添って寝た。

◇◇◇

朝は侍女達に起こされて、朝の涼しい空気を室内に入れてくれたので、目覚めもしっかりとして服を着替えてから食堂に向かった。

スイード伯爵領は、騎士や兵士の訓練の為に定期的に人の住む周りの土地で魔物の討伐をしているらしく危険度は低いようで、おじいちゃんもおばあちゃんも少し気を抜いて落ち着いて食事をしているようだ。

領都に明日着く予定だから、ここまれ来れたら安全なのかな?

貴族らしい朝食が終わると、おじいちゃんが席を立とうとしたので、チヤはおじいちゃんを呼び止める。

「おじいちゃん」

「なんだい、チヤちゃん?」

毎日一緒にいるのに、顔をでれっとさせて孫に甘いおじいちゃんである。

「あのね、みんな長い旅で疲れたでしょう? だから、栄養ドリンクの差し入れをしたくて……」

「ああ、わかったよ。騎士長の所へ行こうね」

当たり前のようにチヤと手を繋いでくれたおじいちゃんは、一階にある部屋へとチヤを案内してくれた。

護衛は宿の中でも当然だがいる。

護衛が部屋の中にいる者たちと連絡を取ってくれて、おじいちゃんとチヤは部屋の中に入ると、騎士様達が、ざっと礼をとってくれた。

……かっこいい。

「畏まらなくていい。チヤちゃんが栄養ドリンクの差し入れをしたいそうだ。いいかね?」

領主様に言われたのなら受け取るのが当然の行いだ。

代表して騎士長が受けてくれた。

「はっ! ありがたき幸せ」

チヤはおじいちゃんに机の上に出すように言われたが、出していい個数がわからない。

「おじいちゃん、今回の旅は何人で移動しているの?」

「チヤちゃんは全員にくれるのかい? いい子だねぇ。

旅の人数は全員で43人だね」

貴族の領主一家の旅路だから、もっと人数が多いと思っていたけれど、思っていたよりも少なかった。

いや、旅をするのなら43人でも多いのかな?

チヤは通販画面を呼び出して、魔法薬の栄養ドリンクを43本購入して机の上に出した。

ズラーっと、ポーション瓶に入った栄養ドリンクが出てきて、部屋にいる者は少し戸惑った。

小さな子供が出す量では無いので。

鑑定が出来る者がいないのか、おじいちゃんがチヤに聞いてきた。

「チヤちゃん、これはどんな栄養ドリンクなんだい?」

チヤは少し胸を張って答えた。

「『疲れなんて吹っ飛んじゃう! 魔法薬・生き返るぜ栄養薬!』です!」

どこの誰が売り出したパチモンかと誰もが思った。

旅の途中によくわからないものを体に摂取したくはないのが本当の気持ちだ。

チヤは知ってか知らずか、自分の分の栄養ドリンクを1本手に取り、蓋を開けてから一気に飲み干した!

「ぷっはーっ! きくぅー!」

お前は何を飲み干したんだ、と、突っ込みたい面々だった。

だって子供が出す声では無い。

飲み屋のオヤジの声だった。

チヤは体に活力が湧き上がってくるのを実感し、おじいちゃんにも飲むように勧めた。

王都にいた時のように元気全開だ!

チヤに甘いおじいちゃんは、チヤがイタズラをするとは思っておらず「木族の秘薬でも出してくれたかな?」と、気軽に一本飲むと、歳のために衰えていた筋肉に、いや、身体全体に力が漲ってきて「これはっ! 栄養ドリンクなんかでは、無い!」と思わず叫んでしまったのを侍従に心配されてしまった。

騎士様隊も少し引き気味である。

気を取りなおすが、今にも走り出したいほど元気なおじいちゃんは「怪しい飲み物ではないので、隊の全員に飲ませなさい」と言ってチヤを部屋から連れ出すと、自分の借りている部屋にチヤを連れ込んだ。

もちろん、おばあちゃん以外は人払いをしてからだ。

チヤはおじいちゃんの膝の上に向かい合わせで座らされた。

出かける準備をしなければいけないのに、この体勢の意味がわからないチヤだ。

だって、おじいちゃんの顔が真剣だもの。

「えーと、さっき飲んだ薬はなんて名前だったかな?」

チヤは勢いよく答えた。

「『疲れなんて吹っ飛んじゃう! 魔法薬・生き返るぜ栄養薬!』だよ!」

なんか、言葉に出すだけで元気になってしまう名前の魔法薬だ。