軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

五百四十一話

「アルカバン。何か言い残すことはないか」

そう問いかけるのは皇帝の名代として軍を率いてきたバルトフェルト将軍である。

「わ、私は何も悪くない。カ、カールマンの奴はどこだ」

「今、探させている。これが皇族とはなさけない。ここまでのことをしでかしてまで他人に罪をなすりつけようとはな」

迂闊なアルカバンの行動によりシンラ帝国の威信は地に落ちた。

本気でそう思っているのはバルトフェルト将軍だけではなかった。

ゲルマン王国を中心とする連合軍が到着する前に全てを済ませなければならい。

バルトフェルト将軍は部下に指示を出し、アルカバンの首を落とさせた。

だが、事態は急変する。

「急報。急報」

そういって一騎の騎兵が走ってくる。

「何事だ」

「ザイネルにて見たこともない魔物が暴れまわっています」

「なんだと・・・」

「将軍。対応策を」

「すぐに一部の兵を向かわせろ。連合軍にも使者を送れ」

バルトフェルト将軍の判断は迅速だった。

元々皇帝と共にいくつもの戦を潜り抜けてきた古強者であり皇帝の懐刀でもある。

連合軍の返事もまた迅速なものであった。

ポセイドス自らが代表となりバルトフェルト将軍と対峙したためだ。

「ポセイドス陛下自らとは剛毅なお方だ」

「概要を聞いただけだが急を要するのだろ」

「その通りです。ザイネルが落ちれば困ったこととなる」

ザイネルはシンラ帝国南部の中心地だ。

そこが失われれば南部がなくなるのに等しい。

「僭越ではあるが足の速い部隊を向かわせた」

航空騎兵であるグリフォン部隊にクロードのワイバーン部隊。

そして、ドラゴニアの竜騎士を向かわせていた。

「それはありがたい」

こうしてザイネルを救うため両軍は全力で動き出した。

ザイネルに全速で向かった両軍であるが目の前には悲劇が待っていた。

見たこともない魔物が暴れまわり住民を襲っている。

どの魔物もかなりの強さを誇り精鋭を投入しているのにもかかわらず被害は増えるばかりだった。

その姿をカールマンは領主の館から眺めている。

「ふむ。インキュバスやサキュバスでも数で来られると負けるか。とはいえ、実験は成功だった。ここらが引き時だな」

カールマンが一つの鏡の前に立つとゆらゆらと鏡が波打ち始める。

カールマンは躊躇なく鏡の中に入り姿を消した。

後には割れた鏡が残るだけであり首謀者であるカールマンは逃亡に成功した。