作品タイトル不明
四百六十話
ゲルマン王国から北方にあるシンラ帝国は軍事大国である。
強大で強力な軍事力を背景に常に周辺国を侵略、統合することによって国力を増大してきた。
シンラ帝国は6つの軍により構成されている。
皇族を守る親衛隊。
街の治安を守る常備軍。
そして、東西南北にそれぞれ侵略の為の軍が存在する。
それぞれの軍の長は皇帝の子供達でありシンラ帝国の皇帝はもっとも国に貢献した者に皇位を譲ると公言している。
その為、皇子に皇女達は常に軍を整え侵略を繰り返してきた。
南軍を預かる第二皇子であるアルカバンも南に向けて進軍し快進撃をしていたがゲルマン王国の介入により奪った土地を失ってしまった。
他の兄弟達が功績を収めているだけに皇位争いに大きく差をつけられた形だ。
焦るアルカバンではあるがご自慢の重装歩兵を打ち破られ自らが捕虜になったことで相手の要求を呑むしかなかったのだということはわかっている。
しかし、このまま引き下がるつもりは当然なかった。
何としても軍を再編しゲルマン王国をも打ち破り再び皇帝候補として返り咲いてみせると。
アルカバンは最近成り上がって貴族となった者達を重用していた。
昔から仕えていた者達から不満があがっているが彼等は仕事が早く丁寧であり信頼を置けると判断してのことだ。
そのおかげで現在は敗北した時よりも確実に軍事力があがっている。
そんな者達の中でもとびっきり信頼を寄せているのがカールマンという男だった。
カールマンは痩せ型でいかにも弱そうな姿をしているがとある研究をしており研究が無事に成功すればこれまでにないほどの力を手に入れることができるはずだ。
アルカバンは進捗状況を確認する為にカールマンが拠点とする屋敷を訪ねた。
「カールマン。いるか」
「これはこれはアルカバン様。お呼びくだされば私から伺いましたのに」
「今は出来ることが少なくて暇だからな。それより進捗状況はどうだ」
「研究は順調ですよ。強いて言えば苗床をもう少し増やしたいところですが」
「そういうことなら任せておけ」
軍は抱えているだけで莫大なお金がかかる。
今までは侵略し奪うことで養ってきたが現在は停戦協定のせいでそれが出来ない。
ゲルマン王国に負けたとはいえ南軍は今まで多くの国を食らってきた。
今までも侵略した地域ではパルチザンが発生していたが軍に対抗できるほどではない。
今までは放置してきたがすることのない南軍はパルチザンの徹底排除に乗り出していた。
南軍は少しでもパルチザンと関係があるとわかれば村ごと焼き払う。
人々は口々に言う。
シンラ帝国の南軍は村で狩りをするのだと。