軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二百五十二話

「貴方は僕のことをどの程度わかっているのですか」

「何。どういう意味だ」

「僕はクロード・フォン・プロミネンスと言います」

「プロミネンス侯爵家が何だと言うのだ」

ソンネルは内心嫌な汗をかいていた。

強気に出ているが侯爵家と揉めるというのは想定していない。

「実家は関係ありませんよ。辺境伯家の当主として相応な扱いを希望します」

「辺境伯家・・・。辺境伯家が何だと言うのだ」

やめろ。

やめてくれ。

先ほどから侯爵家の子供という時点で自分の想定を超えていたというのにまだあるのか。

先ほどから嫌な汗が止まらない。

「これが辺境伯家の当主としての証拠になります」

ただ気に入らない餓鬼に文句を言ってインゴットを回収しにきただけだというのに目の前には辺境伯を証明する貴族証が提示されていた。

嘘だと思い何度も確認するがそれが示すのは目の前の子供が辺境伯であるという証のみ。

「あの・・・。その・・・。申し訳ないのですが急用を思い出しました」

「まぁまぁ。そう慌てずに落ち着いたらいかがですか」

「それはそうなのですが」

まずい。

まずい。

まずい。

何とかしてこの場を切り抜けなければ。

「辺境伯様とは知らず。その・・・。申し訳ありませんでした」

こうなったら平謝りでもなんでもして許してもらうしかない。

辺境伯家の当主というだけでもまずいというのに国で1、2を争う名門侯爵家となんて遣り合えるはずがない。

睨まれただけで弱小貴族の自分なんて吹き飛んでしまう。

「今後は不当な取引はしないと約束してくれますね」

「約束いたしますので今回のことはどうか見逃してください」

にっこり微笑んでくるその顔が怖い。

私はとんでもない相手に喧嘩を売ってしまったのだと後悔するがもう遅い。

「それではもうご用件はないようなので僕はいきますね」

辺境伯が去っていったのを確認して私も帰ることにした。

「ご用件はもうお済ですか」

「学園にも迷惑をかけたな」

私は平静を装い学園を後にした。

しかし私は鉄と銅のインゴットを手に入れられていない事実に気が付く。

これは同じ派閥の伯爵から引き受けた仕事であり何とかしなければならなかった。

もう一度冒険者組合に依頼を出すべく足を運んだが職員からは白い目で見られた。

貴族の特権を振りかざし無理矢理引き受けさせたが中々仕事を受けてくれる冒険者は現れなかった。

伯爵からはまだなのかとせっつかれるが依頼を引き受けてもらえないのだから仕方ないじゃないか。

私の評価はあっちこっちで低下している。

ズルいことをするのはよくないのだと実感させられる出来事であった。