軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第28話

相手を思っての行動は、すべて自分自身の商売に関するものではあるのだろう。

しかし、彼の奉仕の精神は、今後店を大きくしていくことを考える上で必要な要素のはずだ。

俺も見習わないといけないな。

しばらくリグは店内を歩き、商品を見ていく。

「やはりどれも質が良いものですね。今五本程度見繕って購入していっても大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない」

「ありがとうございます。そういえば、お店はどのように運営していくんですか?」

「どのようにか」

「オーダーメイドと汎用剣の納品と、別々になりますよね?」

そうなんだよな。

鍛冶屋には大きく分けて二つある。

一つは、汎用的な剣を作り、店に並べるというものだ。

今がそれに近い形で運営している。

そしてもう一つはオーダーメイド。多くの鍛冶師がやっている受注されてから、生産するというものだ。

以前俺もイヴァスやウェザー、それにレベルトにも剣を作っていたが、あれを主にして商売をする方法だ。

受注生産は高額になるが、その人に合わせて剣を作るものだ。

金銭面でいえば、受注生産のみにしたほうが稼げると思うが……あくまでそれは鍛冶師としての腕を認められてからの話だ。

今の俺は、まず発注してくれるような腕の証明をする必要がある。

「とりあえずは、今のように仕事をして信頼を稼いでいくつもりだ。オーダーメイドで対応が難しくなったら汎用剣の製作は中断するかもって……感じだな」

「……なるほど。そうですか。そうなってしまうと、オレも仕入れができなくなりそうですね」

「それくらい盛り上げられるかどうかは分からないから、しばらくは商品を納品するよ」

「ええ。お願いします。こちらも、魔鉄が必要であればフェイク様に回させてもらいますよ」

「……そうか。それじゃあ、シーレア魔鉄が入ったらこっちに回してくれないか?」

「ええ、分かりました。金額に関してはその時の品を見てもらって応相談ということで。それ以上の魔鉄が入った場合もどうですか? 一応見ておきますか?」

「……そうだな」

ビーレア魔鉄やエイレア魔鉄。

魔鉄は高ランクになればなるほど市場に出づらくなる。

それが、手に入るのならば今すぐに作らないとしても入手しておきたい。

お互いに条件が合意したところで、アルメが割って入ってきた。

「フェイク様! とりあえず、次の週初めまでにひとまずに剣五本、ナイフ十本、納品してもらうことは可能ですか!?」

「問題ない」

「ありがとうございます! だそうだよ、お父さん!」

アルメがバシバシとリグの背中を叩き、リグは疲れた様子で息を吐いていた。

「ああ、聞いていたよ。それでは、よろしくお願いしますフェイク様」

「こちらこそ。これからよろしく」

がしっと俺たちは手を握りしめた。

「それでは、よろしくお願いしまーす!」

「ああ。商品は店に取りに来てくれるのか?」

「はい! 朝七時くらいなら邪魔になりませんかね?」

「そうだな。その時間に裏口に来てくれ。準備しておく」

「分かりました! よろしくお願いします!」

ぺこり、とアルメは頭を下げた。

それから、リグが話していたようにいくつかの剣やナイフを購入して店を出ていった。

二人が出ていったところで、アリシアが嬉しそうに笑う。

「良かったね、仕事が入って」

「そうだな」

そんなことを話しているとまたお客さんが入ってきた。

嬉しい忙しさだ。

俺は笑顔とともに、お客さんの対応へと向かった。

初日の出だしは、絶好調、だろう。

問題はここからでもある。

たくさんのお客さんに購入してもらったとはいえ、その評価が悪ければ二度と人は来なくなる。

そう、ここからは口コミが大事なのだ。

いかに口コミで、俺の武器の評価が広がっていくかだ。

口コミで広げてもらうためには、質の良いものを、出来る限り安価で販売するしかない。

……頑張らないとな。

夕陽も傾き始めて来たので、店の戸締りをして俺たちは二階へと上がった。

階段を上がりながら、話すのは今日の売り上げについてだ。

「結構売れたね。今日の売り上げは約100万ゴールドだったよ」

「あれ、記録してたのか?」

「うん。きちんと記録しておかないと駄目だからね」

「……そういえば、そうだったな」

「正確な数字は1003200ゴールドだね」

……なるほど。

アリシアは自信にあふれた様子で宣言する。

きちんと情報を残していてくれた彼女に感謝だ。

「……とにかく、売れて良かったよ」

ここまでゴーラル様に協力してもらって、大失敗! なんてのは恥ずかしいなんてものじゃないからな。

「初日でこれなら、大成功」

「そうだよな。問題はお客さんが増えてくれるかどうかだよな」

「うん。でも、フェイクの武器なら大丈夫だと思う。悪い評価にはならないはず」

断言してくれたアリシアを信じるしかない。

俺だって、その時々での全力を注ぎこんで鍛冶をしている。

すべての評価が悪い、という結果にはならないと思っている。

「私は別の心配もしてるんだ」

「別の心配? まだ何かあったか?」

「……今後、フェイクの評価がうなぎのぼりになったら……今の人数じゃお店回せないかも」

……そ、そこまでになるかな?

なってくれたら嬉しいけどさ。

いかんいかん。ニヤけている場合ではない。

真剣に考えなければ。