軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第22話

「あー、いや。別にそれは気にしてないから大丈夫だ。それじゃあ行こうか」

「う、うん」

もしも俺も下教えられて、誰かにその情報を狙われていたら嫌だし……。

……逆に言えば、そういった情報を教えてもいいと思われる立場になったってことだよな。

改めて、気を引き締めないといけないな。

アリシアとともにしばらく歩いていくと、一つの部屋の前に着いた。

アリシアが鍵を差し込み、扉を開けると中にはたくさんの物が置かれていた。

左右にラックが置かれ、その上に箱が置かれている。中には紙が入っていたり、小物が入っていたり……一応管理はしているのだろうけど、雑にしまわれているように見えてしまう。

中に入ったところで、アリシアが一つの箱の前に立った。

「フェイク。この下に地下へと続く道があるから……荷物、動かすの手伝ってもらってもいい?」

「この下か。分かった」

隠し通路、という感覚がして少し興奮する。

俺はアリシアとともに箱を運ぶため、お互いに箱を挟むように立った。

それから箱を持ち上げるため、少し傾けて浮かした後、その下に手を差し込む。

二人で同じタイミングで手を入れたからか、アリシアの手と箱の下で触れ合う。

お互いに目を合わせたところで、手をつなぐように握りしめてから箱を持ち上げる。

見た目は大きな箱だったが、重たくはない。アリシアと息を合わせるように横に動いてから、箱を下した。

それから先ほどまで箱があったところに視線を向ける。

……他の床と同じような床があったのだが、取っ手があり鍵穴がついていた。

「ここから、地下に行ける」

おおっ。確かに地下があるようだ。

ただ、興奮している様子を見せてしまうと、アリシアに子どもっぽく思われるかもしれないので、俺は努めて冷静に答える。

「……なるほどな」

アリシアが鍵を取り出し、その鍵穴に差し込む。

取っ手のついた扉を上に滑らせるように動かすと階段が見えた。

螺旋階段のようにして地下へと繋がっている。

「入り口は少し狭いから気をつけてね」

「分かった」

確かに入り口は、結構狭いかもしれない。

アリシアとともに階段を歩いていく。

アリシアがポケットから明かりを取り出す。

魔道具の一つでそれが道の先を照らしてくれた。

……地下は、かなり清潔なようだ。定期的に清掃が行われているのだろう。

螺旋階段を下りていくと、アリシアが部屋の明かりをつけた。

階段を下りた先は普通のリビングのようになっている。

非常食なども置かれているので、ここでしばらくなら生活できるかもしれない。

あるいは、生活できるように想定しているのかもしれない。

アリシアが通路のほうへと指を向ける。

「あっちの道が街に繋がる隠し通路だから、もし何かあったときはここから避難することもある」

「何かあったら、か。何もなければいいけどなぁ……使われたことはあるのか?」

「今のところは、正規の活躍はない……みたい」

「正規って……非正規での活躍はあるのか?」

「昔の領主様がお忍びで街に遊びに行くときに使われたことがあるみたい」

「そ、それっていいのか?」

アリシアが冗談めかした調子で笑い、俺も苦笑する。

昔のバーナスト家の貴族の人たちも行動的だったのかもしれない。

「あんまりよくない。でも、昔は今ほど自由に動けないことも多かったみたいだし、こっそり抜け出したい気持ちは分かるかも。私も同じ立場だったらきっと使ってたと思う」

確かに、今のアリシアはかなり自由に街中を歩いているよな。

はっきりと言い切ったアリシアに、俺は笑みを返す。

「アリシアって案外、行動的だよな」

「そう、かな?」

アリシアが首を傾げていたが、かなり行動的だと思う。

その明確な行動の一つが脳裏に浮かんでいたのでそれを口にする。

「だって、俺を婚約者にしてくれただろ?」

「そ、それは……だって、好き、だったし……」

アリシアは最初こそ驚いたような声を上げたが、それから優しい声とともに手を繋いでくる。

嬉しそうに微笑むアリシアに、俺も照れ臭かったが頷いた。

「……俺も嬉しかったからいいんだけどさ」

お互いしばらく見つめあっていたが……今日は別にデートとかそういうわけではない。

ここにはあくまで仕事のために来ているんだ。

「……え、えーとそれで、儀礼剣がある部屋はどこになるんだ?」

「こ、こっち」

アリシアも俺たちの目的を思い出したようで、俺から手を離し歩き出す。

先ほど指さした街へと繋がる部屋から反対の部屋へと向かい、そちらの扉の鍵を開けた。

ここまででも、三つの鍵があり、かなり厳重に管理されているのが分かる。

扉を開け、中の明かりをつけると……壁にいくつもの剣が飾られているのが見えた。

建物の壁だけでは足りないのか、展示用の壁が用意されており、それのおかげで道のようになっていた。

昔、一度だけ見たことがある絵画展がこんな感じだったかもしれない。

冷静に見られたのは最初だけで、そこに並ぶ剣の数々に心がざわつく。

……早く、もっと近くで見てみたい。

しかし、さすがに今すぐ飛びつくわけにもいかず、興奮を抑えながら呟くように言う。