軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

68.進化を指定する

「――はっ!」

目が醒めて、俺は慌ててパッと起き上がった。

体を起こして、まわりをきょろきょろしてから、ぱっと見あげる。

「よかった……」

まだ夜だ(、、、、) 。

「何がよかったの?」

「アスナ、それにジョディ」

俺の横で、心配そうな、それでいてほっとしたような。

そんな顔の二人。

「もう大丈夫なの? リアムくん」

「ああ。それより俺はどれくらい気を失っていた」

丸一日以上――という最悪の事態の可能性がまだ残っているので、それを最初に聞いた。

「一時間くらい気を失ってたんだよ! 心配したんだからね!」

アスナがそういう。

よかった、一時間ということは、まだ間に合うということだ。

俺は更にまわりを見回して。

「みんなは? ドラキュラの魔力は消えたのか?」

「それなら大丈夫」

「ええ、みんな落ち着いてるわ。ほら、あそこに」

ジョディがすぅ、と手を伸ばした。

彼女がさす方角を視線で追っていくと、宵闇のなか、ぼつりぼつりと点在するたき火に照らし出される、モンスターたちの姿があった。

モンスターたちは大半が地べたにへたり込んでいて、疲れ果てている様子だ。

「とりあえず助かったんだな」

「うん! ねえリアム、アレなんだったの? すごかったんだけど」

「ぱぁ、と光があふれたと思ったら、みんなが助かったのよね。体が半分も消えてる者までも再生したわ」

「それはすごい光景だな」

俺が見えている範囲では、頭が消えてるくらいだったが、もっとヤバかったのもいたみたいだ。

つくづく、間に合ってよかった。

「ご主人様!」

クリスがパッと走ってきて、俺に飛びついた。

半分タックルのような飛びつきで、そのまま組み敷かれるような体勢になってしまう。

「ご主人様大丈夫ですか!? 大丈夫ですかご主人様!?」

「落ち着け、大丈夫だ。魔力を一気に使い果たしたから倒れただけだ。もう休めたから大丈夫だ」

「本当に?」

「本当だ。それより、バンパイア達はどこにいる? 吸血鬼化された方じゃなくて、最初からバンパイアの人たち」

「え? えっと……」

クリスは俺から離れて、まわりをきょろきょろ見回した。

そこにエルフのレイナがやってきた。

「リアム様、バンパイア達を集めましょうか?」

「集められるのか?」

「一通り監視しております。リアム様が倒れた後は、村からも人手を呼び寄せて監視に当らせました」

「そうか」

まわりを見る、目を凝らす。

言われてみたら、座っている者達からちょっと離れたところで、ぼつぼつとエルフや人狼、ギガースたちの姿が見える。

俺は頷き、レイナにいう。

「それじゃ、まずはバンパイア達を呼んできてくれ」

「分かりました」

レイナが呼びに行った。

俺は立ち上がって、体のあっちこっちをチェックした。

魔力を一気に使い果たして倒れたが、幸いにもどこか悪くなってたりはしてないみたいだ。

『ふふ……』

「ん? どうしたラードーン」

『確かに、悪くはなっていない』

「……?」

どういう意味なんだろうって考えた。

ラードーンは、まわりくどい言い方を好む。

悪くはなっていない……よくなっている?

なにがよくなっているんだ?

「あ?」

俺は明後日の方角に向かって、空に向かって無詠唱パワーミサイルを放った。

「一段階伸びてる……」

「え? あっ、本当だ。無詠唱で19になってる」

「すごいわねリアムくん、また伸びたの?」

「今ので……限界まで振り絞ってやったからなのか……」

もう一度やってみる、今度は詠唱して、23本を同時に撃ちだした。

またワンランク魔力が上がった。

これでやれることがふえそうだ。

それをチェックしているうちに、レイナが数人のエルフ達と一緒に、バンパイアを連れて戻ってきた。

純・バンパイアたちは、エルフと同じ、人間そっくりの姿だった。

肌の色が夜でもわかるくらい悪くて、鋭い牙が付いてるのを除けば、ほとんど普通の人間と変わらない。

そのバンパイアはざっと数えて百人程度。

「これで全部か?」

「ええ。もともとこれくらいです」

レイナが頷き、答えた。

「ここから一万まで、雪だるま式に膨れ上がったのか……」

そう、俺が感心しながらつぶやくと、先頭のバンパイアがガバッと俺に土下座した。

「頼む! みんなを見逃してくれ」

「え?」

「全部俺が責任を取る! 俺の首一つでみんなを見逃して欲しい!」

男は必死に俺に懇願した、他のバンパイアはざわざわしている。

「……いや、別に責任がどうとか、それを追及するつもりはないんだ」

「え?」

男はきょとんとして、両手両膝をついたまま顔をあげて、俺を見あげる。

「その様子だと、操られていたんだろ? ドラキュラに」

「そ、それは……そうだが……」

「だったら追及してもしょうがない。それよりもだ」

「そ、それよりも」

ごくり、と生唾を飲んで、身構える男。

他のバンパイア達も同じだ。

「ドラキュラの力が抜けたから、このままだとまた昼間には外を出歩けなくなるよな。どうなんだ?」

「それは……そうだけど」

「昼間出歩けるようにしてやるから、こっちに加われ」

それが、俺が目を覚ましてから、まだ一日経ってないかどうかを確認した理由だ。

一日経って、昼間がやってきてしまうと、ドラキュラの力を失った純バンパイア達が日光を浴びて消滅するかもしれない。

それを、何とかしようと考えている。

腹案も、もちろんある。

「えっ」

そんな俺の提案を聞いた男は固まった。

表情も、体も。

びしっ、とまるで石化したかのような勢いで固まった。

「勘違いするな、ドラキュラと同じことをする訳じゃない。俺に逆らうな、内紛するな。それ以上のものを押しつけるつもりはない」

「私達と一緒ね」

「仲間がふえるね!」

レイナとクリスが笑顔でそう言った。

男の 石化(、、) が徐々にとけてきた。

「いい……のか?」

「ああ」

「……」

男は土下座したまま振り向いて、他のバンパイア達をみた。

一同は目線で意見交換をさっとした後、全員がそろって土下座した。

「「「お願いします!!」」」

「ああ」

俺は頷き、最初の――多分リーダー格の男に向かって行き、手を突き出した。

「ファミリアね」

ジョディがつぶやく。

「を、ちょっと改良する」

「え? どういうことリアム」

「見てな」

これまでの、いわば集大成のものだ。

魔法を学んだ。

そして魔法を作った。

魔導戦鎧をしった。

その魔導戦鎧を作った。

魔導戦鎧の作り方に、自分の意図する方向性にアレンジする方法を覚えた。

それを、ファミリアで同じことをする。

俺がファミリアを使うと、使い魔契約した者達は進化する。

その進化を――誘導する。

「ハイ・ファミリア」

新しく編み出した魔法をバンパイアにかける。

進化の方向性は、日光を浴びても大丈夫になること。

「今日からお前はアルカードだ」

名前をつけると、男――アルカードはノーブル・バンパイアに進化した。