作品タイトル不明
962話 健闘を
「……静かだな」
かなり予想外の方法ではあったものの、俺達は、ラストレムナントに乗り込むことができた。
いつでも戦闘に移行できるように警戒するのだけど……
しかし、なにも起きない。
「げ、迎撃はないでしゅね……?」
「んー? めっちゃくっちゃな感じで歓迎されると思ってたっすけど」
「めっちゃくっちゃ?」
「うーん……侵入されることは想定していないのかな?」
「どうですかねぇ。あのラインハルトさんなら、対策はきちんとしていると思いますがー」
罠なのだろうか?
それとも、作戦が成功した?
あるいは……
いや。
ここであれこれと考えていても仕方ないな。
ここまできたのなら、後は、突き進むだけだ。
「気にしても仕方ない。警戒しつつ、いつでもどこでも臨機応変に対応できるように、しっかりと心構えをしよう」
「うん、そうだね!」
「事前に打ち合わせていた通り、ここでパーティーを五つに分ける」
目標は五つ。
四つの動力炉と、ラインハルト。
一つ一つ回っていたら、地上で戦っている皆が耐えられないかもしれない。
危険だとしても、分散して事に当たった方がいい。
「チーム分けは……」
第一チーム……カナデ、リファ、ミルフィーユ。
第ニチーム……タニア、ニーナ、ティナ、コハネ。
第三チーム……ソラ、ルナ、ライハ、ショコラ。
第四チーム……イリス、サクラ、フィーニア。
そして、対ラインハルトのチームは、俺、ユウキ、シフォン、エーデルワイスの四人だ。
「事前に伝えていた通り、これでいこうと思う。異論は?」
みんな、問題ないというように頷いた。
「よし。じゃあ……」
突入だ、と言う前に、ふと思い立つ。
「……たぶん、動力炉を放置している、なんてことはないと思う。厳しい防衛網が敷かれていると思う。それと……彼女達がいるだろうな」
ミツキ。
アリエイル。
モナ。
オフィーリア。
ラインハルトと契約を交わした最強種。
一時、共闘した時に、彼女達の実力は嫌というほど理解した。
味方だった時はこれ以上ないほど頼もしかったけど……
でも、今は敵になっているだろう。
交戦は避けられないはず。
「今まで経験した以上の戦いが待っていると思う。想像もできないような激戦になると思う。ただ……」
無茶ということは自覚している。
それでも、言わずにいられない。
「この戦いを無事に乗り越えて、みんなで家に帰ろう」
「「「……」」」
「ひょっとしたら……死ぬかもしれない。そう考える方が現実的なんだと思う。ただ、そういう悪いことを考えるよりは、明るいことを考えて、前を見ていきたい、って思うんだ。この身に代えても……っていう決意じゃなくて、さ。未来を掴むための戦いだからこそ、ちゃんと未来を見て、そこに自分がいることも想像して……そんな戦いをしよう。そうすることが、一番、力が出るような気がするんだ」
みんな、優しい笑みを浮かべた。
「にゃー、レインらしい考え方だね」
「まったく……あたしの主は、ちょっと考えが甘いんじゃないかしら?」
「あのラインハルト達を相手に、まったくの損害ゼロというのは、極めて非現実的です」
「だが……我は嫌いではないぞ?」
「がん……ばる」
「どうせなら、めっちゃでかい勝ちを狙いたいなー」
「ふふ。それくらい欲張りでないと、レインさまらしくないかもしれませんわね」
「ボク、みんなを守る」
「ぼくも守る! わふーっ!」
「わ、ワタシは癒せるんじゃないかと……こ、攻撃も任せてくだしゃい! あぅ、こんな時まで噛んだ……」
「自分も全力でやるっすよー!」
「微力ながら、みなさまのために戦いたいと思います」
「我に任せるがよい。主の願い、全て叶えてみせよう」
「勇者っていうよりは、この星に生きる一人の人間として、戦うよ。どこまでも」
「ショコラは、みんなを守るぞ。それが、ショコラの役目だからな」
「ふふ。今から、打ち上げのことを考えるのは早いかもしれませんねぇ」
みんな、これ以上ないほど、頼もしい返事をしてくれて……
最後に、ユウキがこちらに拳を突き出した。
「レインの言う通り、生きて帰ろう」
「ああ」
「そして……戦おう!」
「ああ!」
しっかりと頷いて、自分の拳をユウキの拳にこつんと重ねてみせた。