軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

910話 終わりを祈る者・その1

元より説得が成功する確率はないと考えていた。

悲しく寂しいことだけど、これは想定の範囲内。

まずはエーデルワイスと戦い……

そして、こちらを認めさせて、魔王を使役する!

「死ね」

魔王が指揮者のように腕を振る。

それに呼応して、紫電をまとう幻獣が現れた。

ソラやルナがよく使う、超級魔法イクシオンブラスト。

それを無詠唱で、即座に。

しかも、五つ同時に起動して……

「くっ……!?」

反射的にカムイを手にして、カートリッジを装填。

力を解き放ち、その威力でエーデルワイスの魔法を迎撃する。

玉座の間が雷撃の嵐に飲み込まれた。

世界を白に染めるほどの勢いで、防御で手一杯。

反撃を考えることができない。

「うにゃ!? 尻尾が!?」

「身を低くしてくださいませ」

ちょっとしたトラブルはありそうだけど、みんなも、どうにかこうにか防いでいた。

よし。

ここから、すぐに反撃に出て……

「殺す」

「なっ……!?」

雷撃の幕が晴れた先。

エーデルワイスは手の平の上に炎を点していた。

こちらを睨みつけながら、それを向けて……

次は豪炎が荒れ狂う。

おそらくは、超級魔法『イフリートディザスター』。

今度は、それを同時に七つ。

そして、同じく無詠唱。

圧倒的な質量の炎が、一方向だけではなくて、ありとあらゆる角度から襲ってくる。

「まず……!?」

防ぐ。

どうやって?

避ける。

どうやって?

一瞬、思考が停滞してしまう。

その間に豪炎が手を伸ばしてきて、俺を地獄に誘おうとする。

「起動……二式・アブソリュートゼロ」

ラインハルトが両手の短剣を振る。

氷河を顕現させたかのように吹雪が吹き荒れた。

それは豪炎を押し留め、相殺する。

「……とんでもない威力ね」

「ですが、助けられましたわ」

ラインハルトがこちらを軽く睨む。

「きちんとしろ。甘えで勝てるほど楽な相手ではないぞ」

「了解。それと、ありがとう」

「今は協力関係を結んでいるから助けた。それだけだ」

「やれやれ、ボクらのマスターは素直じゃないねえ。ツンデレ・オブ・ツンデレかな? もっと素直にならないとあいたぁっ!?」

「くだらないこと言ってないで、次、くるわよ!」

アリエイルの鋭い叫び声が響いた。

エーデルワイスは、とんっ、と軽く床を蹴る。

すると、その体がふわりと宙に浮いた。

右手を上に掲げる。

そこに闇が収束されていく。

夜よりも深く、それ以上に濃い、凝縮された闇……

「させるか!」

見たことがないけれど、超級魔法を使おうとしていることに間違いないだろう。

アイギスからワイヤーを射出して、エーデルワイスを捕縛する。

「「ドラグーンハウリング!!」」

「これでも……喰らいなさい!」

「ルナティックボルト!」

ソラ、ルナ、タニア、シフォンの攻撃が叩き込まれた。

爆炎に包まれる。

攻撃に専念していたためか、エーデルワイスは防御の素振りを見せていなかったけれど……

「ぬるいな」

爆炎が晴れて、無傷のエーデルワイスが姿を見せた。

その体の前に小型の魔法陣が展開されている。

おそらく、防御のためのものだろう。

「やばいっすね……あの一瞬で攻撃と防御を切り替えるとか、めちゃくちゃっすよ」

「いえ、切り替えていないようです」

「へ?」

オフィーリアの言う通り、エーデルワイスは攻撃と防御を切り替えていない。

両立させているだけだ。

どれだけの力があれば、そんな無茶苦茶な芸当ができるのか?

想像するだけで震えてしまいそうだ。

「堕ちろ」

三度目の超級魔法が発動した。