軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

431話 再びの……

「ファイヤーボール・マルチショット!」

周囲に爆炎を撒き散らして、それを盾とする。

簡単に貫かれてしまうけれど、それでも、ないよりはマシだ。

「ぐっ!」

魔法が吹き荒れる中に飛び込むなんて、自殺行為だ。

それでも、シグレさんを見捨てるわけにはいかない。

せっかく仲良くなれたのだし……なによりも、そんなことをしたらサクラが悲しむ。

「シグレさん、掴まって!」

「レイン!? わざわざ、こんなところに飛び込んでくるなんて、なんていう無茶を……」

「いいから、早くっ!」

苛烈な嵐のような中、なんとかシグレさんの手を掴む。

そのまま離脱しようとするが……できない!

「あはははっ、めっちゃウケるんですけど! 自分から飛び込んできてくれるなんて、あんた、バカなの? バカなんでしょ?」

「このっ……!」

ここぞとばかりに、リーンが攻撃魔法を乱打する。

俺達の脱出を阻み、さらに、的確にダメージを与えてくる。

俺は魔法で迎撃を。

シグレさんは、驚くことに拳で魔法を撃ち落としていた。

とんでもない能力だ。

ただ、それでも間に合わない。

リーンの攻撃速度の方が早く、威力も高い。

このままだと、押し込まれてしまう。

「調子に乗ってないで……」

「レイン君から……」

「離れて」

カナデとシフォンとリファが、援護の攻撃をしてくれる。

カナデは近くの岩を投げて、シフォンは魔法を唱えて、リファは血の弾丸を飛ばす。

それでも、リーンを止めることはできない。

リーンは同時に複数の魔法を使い、俺達を攻撃すると同時に、カナデ達の攻撃を防いだ。

無茶苦茶だ。

リーンの今の力は、最強種を軽く凌駕している。

ひょっとしたら、幻と言われているSSランクに匹敵するのでは……?

「くぅっ!?」

って、余計なことを考えている場合じゃない。

どうにかして、リーンの絨毯爆撃から逃れないといけないのだけど……

しかし、活路を見出すことができない。

できることといえば、やられないように、ギリギリのところでふんばることだけ。

このままだと、いずれ……

「レイン……を」

ふと、そんな声が響いた。

小さな声なのだけど、凛と響く。

とても強い意志が込められている。

その声の主は……ニーナだ。

「いじめ、ないでっ!!!」

ニーナの瞳が輝いて……

続けて、その全身から光が放たれる。

太陽が間近に降臨したみたいで、まぶしくて目を開けることができない。

この現象、どこかで見た覚えが……?

「……」

光が収まると、そこには成長して大人の姿になったニーナが。

「……覚醒?」

どうして、このタイミングで?

発動条件を知らないため、ぽかんとしてしまう。

ニーナが覚醒した姿を知らないリファは、同じくぽかんとしていた。

エルフィンさん、フィーニアも驚いていて……

「ちょっ、またそれ!?」

リーンが一番驚いていた。

覚醒したニーナの力を間近で見たことがあるため、顔をひきつらせている。

「んっ!」

ニーナは腕を大きく振るう。

瞬間、目の前の景色がぶれた。

一瞬、体を包み込む浮遊感。

次の瞬間には、リーンの絨毯爆撃から逃れ、俺とシグレさんはニーナの隣に移動していた。

「ニーナ、どうやって……いや。話は後だな」

覚醒した理由は気になるが、今は他にやるべきことがある。

リーンの討伐だ。

「やれるか?」

「わたし、元気いっぱい……だよ」

「よし。頼む!」

「うんっ」

「このっ……クソガキ!!!」

リーンが吠えた。

再び異界の幻獣を召喚して、極大の雷撃を放つ。

しかし、そんな魔法……イクシオンボルトは、覚醒したニーナの前では意味を成さない。

「ぽいっ」

ニーナが軽く腕を動かしただけで、俺達、全員の前に、壁のように空間の穴が開く。

雷撃はそこに全て吸い込まれていく。

「返す、ね」

「ぐっ!?」

もう一度、ニーナが腕を振る。

今度はリーンの近くに空間の穴が開いて、さきほど吸い込んだばかりの雷撃が吹き出して、雨のように降り注ぐ。

リーンは、即座に防御魔法を展開させた。

しかし、超級魔法を全て防ぐことはできず、いくつか被弾する。

「このっ……ふざけるんじゃないわよ! 大魔法使いリーンさまに逆らうなんて、100年早いのよっ!!!」

ダメージを受けたことで、リーンは怒りに叫ぶ。

同時に、氷刃をまとう嵐が巻き上がり、全てを切り裂くかのように激しく吹き荒れる。

見たことはないが、おそらく、これも超級魔法だろう。

「んっ!」

ニーナは、再びみんなの前に空間の穴を開いて、リーンの攻撃を全て飲み込む。

しかし、

「ははっ、芸がないわね! もっともっと、色々なことができるようにならないとっ」

さらにもう一つ、リーンは魔法を発動させた。

極大の炎が吹き荒れて、俺達を飲み込もうと暴れる。

こちらも超級魔法か?

二つ同時に発動させるなんて、とんでもない。

「んぅ!!!」

必死に防ごうとするが、覚醒したニーナでも補えないほど、敵の攻撃は苛烈だ。

炎がニーナに着弾……

「さ、させませんっ」

する前に、フィーニアが前に飛び出した。