軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

288話 恋の同盟締結

ホライズンに戻ったレイン達は、その後、のんびりとした日々を過ごしていた。

のんびりといっても、冒険者としての活動は続けている。

Aランクに昇格したため、以前よりもさらに活動の幅が広がった。

難易度の高い依頼も増えた。

それでもレイン達にとっては大した問題ではないらしく、仲間と共に歩み、協力をして、順調に依頼をこなしていた。

そんなある日のことだ。

「いらっしゃい、タニア」

「邪魔するわ」

カナデの部屋をタニアが訪ねた。

どこかそわそわして落ち着いていない。

それはカナデも同じで、他のメンバーに見つからないようにと、キョロキョロと廊下を見ていた。

誰にも見られていないことを確認した後、扉を閉める。

「それじゃあ……」

「はじめましょうか」

部屋で二人きりになったカナデとタニアが、なにを始めるのか?

それは……

「それでねそれでねっ、この前、レインになでなでしてもらったんだよー!」

「あっ、ずるいわ。あたし、何もしてもらってないんだけど」

「だいじょーぶ。レインの前で、ちょっとがんばるようなことをすれば、だいたい、撫でてくれるよ」

「それ、ペット扱いじゃ……?」

「にゃー……そう言われるとそんな気も……レインとしては、そんな気はなくて、ただ純粋にねぎらっているつもりなんだろうけどね」

「まったく……鈍感なヤツよね」

「でも……好き」

「そうね……好きだわ」

年頃の乙女が集まりすることといえば、大抵は恋話だ。

カナデとタニアも例外ではない。

ただ、少し違うところがあり……

どうすればレインに振り向いてもらえるか?

今日はレインがこんなことをしてくれた。

……などなど、そのようなことを話し合う場になっていた。

ちょくちょく報告をすることになり、気がつけば定例会に。

そうすることで、カナデとタニアは己の恋を一歩でも前に進ませようと努力していた。

「でも、もどかしいねえ……私、けっこう好きってアピールしてると思うんだけど」

「それをいうならあたしだって。む、胸を押し付けたり……あれこれしてるのに、レイン、ぜんぜん気がついてくれないんだもの」

同時にため息をこぼす二人だった。

素直に告白をすればいいのではないか?

そう思われるかもしれないが、そもそも、そんな度胸がないから、こうして二人であれこれと話しをしているのだ。

「レイン、なんであんなに鈍いのかなあ? それとも、私達の押しが足りないのかなあ?」

「んー……両方な気もするわ。ただ、想定していた以上に、そういう方面に関してはレインにのらりくらりと避けられている、っていう感じはするわ」

「レインは鈍感というところもありますが、それ以上に、ソラ達のことをそういう目で見ることを避けているように思えますね」

「それが意識的なのか無意識なのか、それはわからぬがな。大方、色恋沙汰で関係が変に崩れてしまうことを恐れているのだろう」

「あー、それ、正解かもしれないね」

「言われてみると、その可能性が高いわ」

カナデとタニアはうんうんと頷いて……

「ソラ!?」

「ルナまで!?」

いつの間にか、こっそりと部屋に入り込んでいた双子の姉妹に気がついて、共に驚きの声をあげた。

「あんたら、いつの間に!?」

「扉が開いた音はしなかったんだけど……」

「ふふんっ、我らをなめてもらっては困るのだ」

「魔法を使って、ちょちょい……と」

悪い顔をする双子に、カナデとタニアはため息をこぼしてみせた。

この二人が本気になれば、鍵をかけていても意味はない。

「で……なにをしてるわけ?」

タニアが二人を睨みつける。

ただ盗み聞きをしていたのならば、どうなるかわかっているだろうな?

そんな感じで、強い圧をかけていた。

「実は、カナデとタニアに話したいことがありまして」

「あたしらに?」

「それで二人を探していたら、ちょうどいい具合に内緒話をしていたから、我らも混ぜてもらおうと思ったのだ」

「あのね……内緒話なんだから、聞き耳を立てるようなことをしないの」

「ぎゃおっ!?」

「ひぃんっ!?」

やはり盗み聞きということが判明して、タニアのげんこつがルナとソラの頭に落ちた。

それぞれ奇妙な悲鳴をあげた。

ただ、手加減はされているらしく、二人は涙目になる程度で済んだ。

「ご、誤解なのだ……我らも内緒話をしたいから、だからこのタイミングで突入したのだ」

「カナデとタニアが内緒話をしているみたいなので、それはソラ達にも都合がよく、途中で混ぜてもらおうかと……」

「にゃん? 二人も内緒話を?」

「どういうこと?」

不思議そうな顔をするカナデとタニアに、ソラとルナはごくごく自然に告げる。

「ソラ達もレインのことを好きになりました。以前から気になっていましたが、今は、ハッキリと恋をしていると断言できます」

「うむ、我らはレインの恋人になりたいのだ」

沈黙が訪れた。

カナデとタニアが目を丸くした。

それから少しして、カナデの尻尾がぷるぷると震えながら上を向く。

真似るように、タニアの尻尾も上を向いた。

「「えええええぇっ!!!?」」

ほどなくして、カナデとタニアの驚きの声が響いた。

「なんや? どうしたんや?」

するりと扉をすり抜けて、ティナが様子を見に顔を出した。

カナデとタニアが慌てて手を横に振る。

「う、ううんっ、なんでもないよ!? にゃんでも!」

「そうそう、なんでもないわ!」

「……そうか? まあ、それなら深くは聞かんけど……今、ニーナがお昼寝中やから、静かに頼むでー」

ティナは顔を引っ込めて、どこかへ消えた。

それを確認した後……

さらに念の為に声を小さくして、カナデとタニアが双子に尋ねる。

「ちょっと……さっきの発言、どういう意味よ?」

「ソラとルナもレインのことを、す、好きになった……って」

「そのままの意味ですよ」

「我らもレインが好きになったのだ」

「マジかー」

新しいライバルの登場に、ついつい自分のキャラを忘れて、カナデがそんなつぶやきをこぼした。

「カナデとタニアがレインのことが好きではないか? それなのに、我らは黙っているのは不公平な気がしてな」

「なので、こうしてソラ達はきちんと告げることにしました」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。なんで、その……あたしらがレインのことを好きって知っているのよ? 二人に話したことなんてないんだけど」

「む? 本気で言っているのか?」

「二人の態度を見れば、丸わかりですよ。気づいていないのはニーナと……当の本人であるレインくらいでは?」

実際、カナデとタニアの態度はわかりやすかった。

レインとちょくちょく接触をすることを好み、近くにいると赤くなる。

乙女全開の行動なので、普通なら見ていればわかる。

「はあああ……まさか、ソラとルナまで参戦するなんて。これ、五角関係っていうのかなあ?」

「そんな顔をするな。我らが加わることで、事態が進展する可能性もあるのだぞ?」

「……どういうこと?」

「同盟を結びましょう」

「それって……対レインの恋愛同盟、っていうことかしら?」

「それは……わりとアリかも」

ソラの提案に、カナデとタニアが食いついた。

「一人より二人、二人より四人。まずは我らが一致団結することで、我らが女の子ということをレインに意識させるのだ。そうでもしないと、勝負を始めることすらできないのだ」

「意識してもらった後は、各々でがんばりましょう。そして、誰がレインの心を射止めたとしても恨みっこなし……どうでしょうか?」

「乗ったにゃ!」

「乗るわ!」

これ幸いとばかりに、カナデとタニアは双子と同盟を結ぶことを決意した。

ぶっちゃけ、そうするくらいにどうしていいかわからない状況ではあった。

「では、決まりなのだ。我ら四人、一致団結してレインの心を陥落させるのだ!」

「この恋、絶対に成就させてみせますよ!」

「「おーっ!!」」

かくして、対レインの恋愛同盟が結ばれることになった。

果たして、どのような方向に作用するのか?

それは誰にもわからない……