軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

271話 またいつか

それから、サーリャさまと他愛のない話を一時間ほどして……

そして、しっかりと挨拶をして王城を後にした。

その後、広場でみんなと合流するのだけど……

「あれ? ソラとルナ。それと、ニーナとティナは?」

四人の姿が見当たらない。

カナデとタニアだけだった。

「あの子たちなら、王都の観光をしてくる、って言ってたわ。おいしいものを食べ歩きするんだって」

「私達はレインを放っておくわけにはいかないから、別行動をとることにしたの。あっ、ちゃんと合流の約束はしてあるよ」

カナデの話によると、二時間後に再びこの広場で合流する約束らしい。

出発が遅れてしまうけど……

まあ、少しくらいならいいか。

次に王都にいつ来るかわからないし、好きにさせてあげよう。

「カナデとタニアは観光はいいのか?」

「にゃー。私はなんていうか、えっと……レインと一緒にいたいな♪」

「あたしは……まあ、レインを一人にしたらかわいそうだし? そこの逆上がり猫と一緒にいたら変なことをされるかもしれないし? お目付け役として一緒にいてあげる」

「逆上がり猫!? ぜんぜん意味がわからないけど、けなされてる気がするよ!?」

「俺が行くところはおもしろいところじゃないぞ? それでもいいのか?」

「どこに行くの?」

「冒険者ギルド」

――――――――――

カナデとタニアと一緒に冒険者ギルドを訪ねた。

「あら、シュラウドさん。いらっしゃいませ」

ナナリーさんが笑顔で迎えてくれた。

「どうかされましたか? 確か、シュラウドさんは今日、王都を発つんですよね? 依頼を請けに来たというわけではないと思いますが……」

「挨拶をしておこうと思って。ありがとう、色々と世話になった」

「いえいえ、私なんてなにもしていませんし……! ホライズンに戻ったら、妹のこと、よろしくお願いします」

「お願いされた」

一つ目の目的を達成した。

次は……

ギルド内を見回した。

そして、談話スペースに目的の人物達を発見する。

「アクス、セル」

二人に声をかける。

……なぜか、セルがアクスを冷たい目をして踏んでいたので、ものすごく声をかけづらかった

「あら、レインじゃない。それに、カナデとタニアも」

「こんにちにゃー」

「あなた、何をしているの……?」

「躾よ」

「し、躾……?」

「アクスのミスで依頼料の半分が消えたから、こうして躾けているところなの」

依頼料の半分が消えるのは痛いが、土下座状態で頭を踏まれるアクスの姿には、さすがに同情してしまう。

「うぐぐぐ……よ、よぉ、レイン。元気みたいで何よりだぜ」

「あ、ああ。アクスは元気……と言っていいのか?」

「ああ、これはこれで悪くないぞ」

うわぁ、と女性陣が引いていた。

「あと、こうしていると……眺めが絶景だ」

「っ!?」

セルが赤くなり、慌ててスカートを抑えた。

「ふ、ふふふっ……情熱的な赤は、いつか夜の部屋で拝見をぐほぁ!?」

セルがアクスをおもいきり蹴り上げていた。

しかし、それも日常茶飯事らしく、周囲の冒険者は何事もないように話を続けている。

「にゃー……私達の見えてないよね?」

「あたしの下着は見えないから問題ないわ」

「タニアの裏切りものぉ」

……おもいきり話が脱線してしまった。

「あー……今、ちょっといいか?」

「ええ、もちろんよ」

イスに座る。

アクスもふらふらしながら起き上がり、イスに座る。

そうして、みんなでテーブルを囲む。

「どうしたのかしら?」

「今日、王都を発つんだ。だから、二人に挨拶とお礼を言っておきたくて。改めて、ありがとう。あの時は、二人に色々と助けてもらったよ」

「ま、大したことはねえさ。でも、レインが気にするっていうなら、今度おごりでうまい料理と酒でもごほぉ!?」

「お礼なんていいわ。私達は当たり前のことをしただけだから」

セルがアクスを殴りつつ、にこやかな顔でそう言った。

行動とセリフのギャップが激しすぎて、ちょっと怖い。

「にゃー……セルって、アクスに対してはけっこうキツイよね」

「愛情の裏返し、っていうパターンもあるのかしら?」

「やめて。そういうつまらないことは言わないで」

セルが真顔でタニアの言葉を否定した。

アクスがしくしくと泣いていた。

「ま、まあ……それはともかく。助けられたのは確かだからさ。何かおごれって言うなら、別に構わないぞ?」

「あら、いいの?」

「今日、王都を発つからまた今度になるけど……いいよ。その時はゆっくり飲み明かそうか」

「おっ、話がわかるな。さすがレインだぜ」

「まったく……少し前まで気まずい顔をしていたくせに、すぐに手の平を返すなんて。調子がいいんだから」

「い、いいんだよ。男には男の在り方ってもんがあるんだ」

「あら。なら、私は女だからアクスとわかりあえなくても構わないわね。そういうことよね?」

「すみませんでした」

アクスが間髪入れず土下座をした。

いや、土下寝?

とにかく、全身全霊でセルに謝っていた。

まあ、アクスらしいと言える。

……土下座がらしいというのは、それはそれでどうかと思うが。

「そういえば、二人はこれからどうするんだ? まだ王都に?」

「いいえ。私達も、もう少ししたら王都を発つわ」

「王都は冒険者がたくさん集まるからな。競争相手が多くて面倒なんだよ」

「アクスなら、どんな相手がいても負けずに押し通るだけだ、とか言いそうだったんだけど。ちょっと意外だな」

「それ、正解よ」

「え?」

「アクスは最初はそう言ったのだけど……」

「セルに怒られてな。そんな非効率的なことをしてどうするのか? 依頼を請けられなければ宿に泊まることもできない。その辺り、気合で解決してくれるのかしら? とかなんだ言われて、散々だったぜ」

「ははっ」

その光景が簡単に思い浮かび、ついつい笑ってしまう。

「しばらくは王都の周辺をぐるりと回るようにして……それから、気が向いたら、ホライズンに移動すると思うわ」

「そっか。じゃあ、飲みはその時までお預けだな」

「おごってもらうの、楽しみにしているわ」

「また会おうぜ」

セルとアクスが笑顔を向けてくれて……

それに対して、俺も笑顔を返した。

そして……以前はできなかった握手を交わして、別れとなる。

また会えることを願い……

それぞれの道を歩いていく。