作品タイトル不明
1075話 まずは脱出を
「な、なんだ、おい!?」
「地震……ううん、これは!?」
「魔法による攻撃だ!」
再び衝撃が伝わってきた。
地震が起きているかのようで、まともに立っていることが難しい。
あちらこちらで本棚が倒れて、ばらばらになった本がぶわっと舞い上がる。
「おい、やばいんじゃないのか!?」
「早く上に上がりましょうー」
「異議なし!」
ここにいたら生き埋めになってしまうかもしれない。
俺達は、慌てて階段を登った。
ガァッ!!!
教会に戻ると、窓の外で光が弾けるのが見えた。
今のは……雷?
意思を持ったかのように紫電が広がり、教会を激しく打つ。
全体が揺れて、パラパラと木片が落ちてくる。
なんとか耐えているものの、このままだと、教会そのものが崩れ落ちてしまうかもしれない。
早く外に出たいところだけど……
「ちっ……いつの間に。レイン、気づいているな?」
「ああ、囲まれている」
かなり多くの人の気配がした。
ぐるりと教会を囲んでいる。
それともう一つ。
圧倒的な魔力……もしかして、最強種だろうか?
でも、どこか懐かしい感じもして……
ガァッ!!!
三度の閃光。
教会の天井の一部が消し飛んで、破片が雨のように飛び散る。
その衝撃がきっかけとなり、壁に亀裂が入る。
それはどんどん広がり、嫌な音を立てていく。
「おいおいおい、本格的にまずいぞ!?」
「でも、今ここで飛び出したら、たぶん、狙い撃ちに……」
「おー、こういう時こそショコラの出番だぞ。みんなを守るから、ショコラに任せておけ」
「うん、わかったよ。任せるからね!」
「お願いしますー」
パーティーの絆というべきなのか。
ショコラの言葉に、真っ先にシフォンとミルフィーユが賛同した。
他に手はない。
俺とアクスも頷いて、先頭に立つショコラの後ろにつく。
「いくぞー」
やや気が抜けるような声と共に、ショコラが最初に外に出た。
間を空けず、俺達も後に続く。
眩しい太陽の光。
同時に、矢と魔法が嵐のように飛んできて……
「全方位防御、だぞ!」
ショコラは自身の背丈ほどもある巨大な盾をしっかりと両手で構えて、ガンッ! と地面につけた。
瞬間、盾が変形して大きく広がり、俺達を包み込む。
ガガガッ!
矢や魔法が着弾するものの、ショコラの盾はびくともしない。
衝撃すら伝わってこないのはさすがだ。
「あと十秒で解除されるから、反撃を頼むぞ」
「わかった! みんなは……」
「うん。まずは手当たり次第に暴れる、でいいんだよね?」
「ああ、それで正解だ!」
こちらの考えていることを察した様子で、シフォンは不敵に笑う。
敵はたくさん。
適当な攻撃でも、けっこうな打撃を与えられるだろう。
それに派手に暴れることで敵は警戒をして、攻撃の手が薄くなるはず。
「三……二……一……今だぞ!」
「ファイアーボール・マルチショット!」
「ギガボルト!」
「ホーリーアロー!」
「うらぁ!!!」
反撃の時間だ。
特に狙いは定めず、壁に空いた穴や割れた窓に攻撃を叩き込む。
その向こうにいる敵を叩くことができるかどうか、それは運次第。
ただ、反撃することで、敵は続けての攻撃をためらい、防御を行うだろう。
十分に効果はあるはずだ。
狙いは的中。
嵐のように行われていた攻撃が止んだ。
「今だ!」
たくさんの言葉は必要ない。
みんな、同じ考え、結論に至ったらしく、正面からほぼほぼ同時に飛び出した。
教会からの脱出は……成功。
いくらかの敵はいた。
剣や弓などで武装した大人の男女。
その武装はバラバラで統一感はない。
ただ、鎧などの一部にドラグロースの家紋が刻まれていた。
たぶん、あれが邪教徒の証になっているのだろう。
俺達が真正面から突破してくるとは考えていなかったらしく、動揺が見えた。
すぐに攻撃に転じることなく、かといって防御に移るわけでもない。
どうしていいかわからず、足を止めていた。
ただ……
足を止めたのは俺も同じだった。
「……」
「まさか……ライハ?」
襲撃者の中に、見覚えのある姿が混じっていた。