軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1053話 本当に正しい道

「これは……」

老齢の魔族は、拘束された仲間達を見て驚いていた。

まさか、たった一人の人間にやられるとは思っていなかったのだろう。

「レインを人間にカウントするのは、ちょっと反則だと思うんだよねー」

「レインは人間というより、最強種ですね」

「人間ではなく、レインという種族なのだ!」

そんな声が聞こえてくるような気がした。

うん。

なにも気にしないぞ。

「あなたが最後か?」

「……これは、貴様が?」

「俺と、あと仲間が」

「……」

「悪いが、あなた達の活動は止めさせてもらう。おとなしく投降してくれないか? 悪いようにはしない」

「その言葉を信じられるとでも?」

返事の代わりに強烈な殺気がぶつけられる。

そうなるよな。

恨み、憎しみを簡単に捨てることはできない。

気持ちを切り替えることは難しい。

わかっていたことだけど、それでも……寂しい。

「なら、強引にでも止める」

「……そうか。貴様が絆の英雄か」

「俺のことを?」

「知らないわけがあるまい。我らにとっては……なによりも憎い名前なのだからなぁ!!!」

魔族は腰に下げた剣を抜いて駆けてきた。

速い。

一瞬で距離を詰められてしまう。

抜剣。

刃が踊る。

それは嵐のように苛烈で、死を目の前に感じさせた。

初撃は雷虎で防いで。

二撃目以降は、俺も千鳥を抜いて刃を交差させていく。

「ちっ、忌々しい力だ」

「もうやめろ。仲間は拘束した。ここから戦況を覆すことはできないし、組織を立て直すことも難しいはずだ。おとなしく……」

「我らの悲願、果たすまで足を止めるわけにはいかぬ!」

さらに攻撃が加速した。

ありとあらゆる角度から刃が襲ってきて、避けることに集中しないと一撃を受けてしまいそうだ。

そして、その一撃が致命傷になりかねない。

……この人は強いな。

たぶん、組織のリーダーなのだろう。

その座に合う実力者だ。

「あなた達の想いはわからないでもない。それでも、子供を利用してまでやることか!」

「子供? そうか……貴様が、あのハーフを連れ出したのだな? どこまでも邪魔をして……本当に忌々しい」

「あなた達の戦いがあるのはわかる。あなた達の戦争が終わっていないのも、わかる。でも、それに子供を巻き込むな」

「断る」

即答だった。

迷いが一切ない。

「子供だろうがなんだろうが、利用できるものは利用する。これは、戦争なのだ。そのような甘い戯言に付き合う理由はない」

「あなたは……」

「勝たなければならぬのだ。負ければ、そこで終わりなのだ。ならば、なんでもしてみせようではないか! 外道に堕ちようと、目的を達してみせようではないか! それこそが、我らの仲間に、同胞に捧げる花となる!!!」

「そんなことは……今の世界を信じてくれないか? それに、子供を利用することが正しいって言うのか!?」

「正しいとも! そう、我らは正しいのだ! 我らこそが……歴代の魔王さまの意志を継ぐ我らこそが正しい! 我ら魔族がとるべき道は一つ……歴代の魔王さまが成し遂げようとしたように、人間を滅ぼすこと。それこそが唯一無二の、絶対的な正義である!!!」

再び迷いのない言葉が。

それは、彼の魂の叫びなのだろう。

嘘偽りのない本心なのだろう。

敵は殺す。

それが正解。

「我らの道を邪魔するというのならば、全て敵だ。故に、斬る!」

「……あなたの話は、わからないでもないさ」

魔族の歴史を知れば、今の話を一概に否定することはできない。

彼の想いを否定することは難しい。

復讐は否定できない。

時に必要になる。

……だとしても。

「認められるか!!!」

魔族の剣を押し返した。

そのまま、こちらからたたみかけていく。