軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1034話 新しい相棒

カムイ、及びクサナギは、一年前の戦いで完全に壊れてしまった。

申しわけなくて、一ヶ月くらいは顔を出せずにいた。

それでも武器がないのは困るので、覚悟をしてガンツを訪ねて、事情を説明した。

するとガンツは、怒ることはなくて、カムイとクサナギのことを褒めてくれた。

今までよくがんばってくれた。

よくぞ最後まで主のために励んでくれた。

そんなお前達を作り出すことができて、親として儂はたまらなく嬉しい……と。

怒られるかもしれないと、俺はなにを考えていたのだろう?

ガンツはこういう人だ。

武器に対して、どこまでも真摯に向き合ってくれている。

俺は、もう一度、ガンツに武器の作成を依頼した。

今度こそ、とガンツは魂を込めて作ってくれた。

制作期間は、約一年。

ついこの前完成したばかりだ。

新しい相棒の名前は……

「いくぞ……千鳥」

東のカグネに伝わる、伝統的な武器……刀。

それを短くして、反りがほぼない短刀。

その短刀をベースにして、ガンツが鍛えに鍛え上げた渾身の一振りが『千鳥』だ。

シンプルな短刀で、カムイのような仕掛けはない。

ただ、ひたすらに頑丈で、その強度はカムイやクサナギの数倍以上。

それに、刀身に魔力を流すことができる。

威力を倍増させることが可能で、細かい調整も可能だ。

シンプルではあるが、幅広い用途に対応してて……

そしてなによりも、とても扱いやすい。

短い刀というのが、短剣をメインに扱ってきた俺にピッタリだ。

新しい相棒を手に、襲い来る護衛達に立ち向かう。

「悪いが死んでもらうぜ!」

「断る」

ニヤニヤと笑みを浮かべつつ、護衛の一人が斬りかかってきた。

それなりに速く、それなりに鋭い剣筋だ。

ただ、あくまでも『それなり』というだけ。

ラインハルトと比べたら雲泥の差。

ハッキリと視認できるほどに遅く、呆れてしまうほど雑だ。

半身に構えて、振り下ろされた剣を避けた。

同時に千鳥の腹で横から叩いて、護衛の剣を吹き飛ばす。

「なっ……!?」

「武器はしっかり持っていた方がいいぞ」

武器を失い、焦る男の腹部に拳を撃つ。

いいところに入ったらしく、一撃で男は昏倒した。

「てめえ!」

「よくも仲間を!」

「ぶっ殺してやる!」

残った三人が激怒して襲いかかってきた。

ただのごろつきではなくて、仲間意識を持っていたらしい。

……それなら、こんなことをしないで、四人で力を合わせて、もっとまともな仕事をすればいいのに。

「止まれ」

「「「っ!?」」」

鬼族のリファと契約したことで得た能力、『魔眼』を使う。

対象を一時的に麻痺させることができる。

契約したばかりの頃は、成功率が低く、対象は一人だけ。

でも今は……

「な……こ、これは……」

「ぐっ……動け、ねぇ……」

「どうなって、いるんだよ……!」

相手が普通の人間なら、成功率は、ほぼほぼ100パーセント。

三人くらいなら、まとめて麻痺させることができた。

うん。

この一年で、俺もそれなりに成長しているみたいだ。

俺は、左手につけている小手を構えた。

以前、使っていたアイギスは、ラインハルトとの戦いで限界を迎えたらしく、戦いが終わると同時に壊れてしまった。

……壊してばかりでガンツに申しわけない。

ただ、ガンツは気にすることなく、武具が俺を守ってくれたのじゃろう、と逆に喜んでくれていた。

自分の武具が活躍するのは、やはり、武具職人として嬉しいのだろう。

新しく作成してもらった小手は、左手につけていた。

ワイヤーを射出する機構は残されているものの、針を射出する機構、盾を展開する機構はなくなっている。

代わりに、小手そのものがとても頑丈に設計されていて、盾として利用できる。

また、ワイヤーも、使い切り、一体型、分散型など、複数の種類を使えるようになっていた。

複数あった機能を絞り、防御とサポートに特化させた感じだろうか?

新しい小手は、『雷虎』という。

動けなくなった男達に雷虎を向けて、短い使い切りのワイヤーを放つ。

それは男達に当たると、くるくると体に巻き付いて自由を奪う。

束縛用のワイヤーだ。

「こんなところか」

無力化に成功。

あとは、奴隷商人だけだけど……

「ば、ばかなぁ!? 腕利きの傭兵なのだぞ! どのような荒事も乗り越えてきて、大金を払ってきたというのに、こうもあっさりと……!?」

奴隷商人は、ハッとした顔に。

「ま、まさか……その力、そして、ビーストテイマー……お前、絆の英雄なのか!?」

「その呼び方はやめてくれ」

ため息をこぼしつつ、男も雷虎で拘束した。