軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1022話 エピローグ・その5

「にゃーーーーーっ!!!?」

我が家にカナデの悲鳴が響いた。

何事かとリビングに駆けつけると、カナデが涙目で座り込んでいた。

「どうしたんだ、カナデ!?」

「敵襲!?」

タニアも駆けつけてきた。

そんな俺達に、カナデは涙目で返す。

「み、耳……」

「耳?」

「私の耳……ネズミにかじられた……」

「「……」」

ちょっとコケそうになってしまう。

「ねえ、レイン、タニア! 私の耳、ちゃんとある!? なくなっていない!?」

「……はぁあああ。あんな悲鳴をあげるから、何事かと思えば」

「本当に人騒がせなのだ」

「そもそも、なにをしていたのか知りませんが、最強種とあろうものが耳をかじられるまでネズミの接近を許してしまうなんて」

いつの間にか、ソラとルナもやってきていた。

「ほれ、見せてみるのだ。治癒魔法をかけようではないか」

「うぅ、ありがと……」

「特に傷はないですが……念の為、消毒をしておいた方がよさそうですね」

「いたいのいたいの……とんでけー」

「とんでけー」

ニーナとリファもやってきて、カナデを慰めている。

一方で、ティナは無数の箒を浮かべて、不敵な表情を作っていた。

「ふふふ……まさか、うちの城にネズミが現れるとは。これは、うちへの挑戦状やな……叩き潰したるで!」

……ちょっと怖い。

「あら、なんの騒ぎですの?」

「カチコミっすか!? 自分、特攻するっすよ!」

イリスとライハもやってきたのだけど……

ライハは、カチコミとか、どこで覚えてきたんだ……?

できれば忘れてほしいのだけど。

「わたくしならば、ネズミを殲滅することに特化した最強種の方を召喚することができますが……」

「いや、そんなことで召喚されても……というか、そんな最強種がいるのか……?」

「自分の雷撃で焼き払うっすか!?」

「……やめておこうか」

ライハが家ごと燃やしてしまう未来が見えてきた。

「わふっ、ネズミ狩り! ぼく、がんばる!」

「ひぃっ……!? ね、ねねね、ネズミ……!?」

最後にやってきたのは、サクラとフィーニア。

サクラはやる気を見せているものの、フィーニアはがくがくと怯えていた。

……サクラの反応が、わりと普通なんだよな。

Gとは違って、ネズミならそこまで怖くないのだろうか?

それとも、狩猟本能が刺激されるのだろうか?

「ってか」

ふと、ティナが小首を傾げる。

「なんで、ネズミなんておるん? そんなもんがやってくるほど、我が家は汚くないと思うんやけど」

「……そう言われてみると不思議ね」

「掃除は、いつもみんなで、綺麗にしっかりとやっています。もちろん、ソラも」

「今更、ネズミが寄り付く要素が出てくるとは思えないのだ」

「いごこち……良い?」

「うーん、どやろなー? ネズミの考えることなんてわからんけど、エサがないところには現れんと思うで」

「エサ……カナデ?」

「あら。それは、とても美味しそうですわ」

「じゅるり」

「さ、サクラちゃん。カナデさんは食べられないからね……?」

「自分の感覚だと、ここ最近、急に見かけるようになった気がするっす」

みんなで、なぜ? と考える。

ティナが言うように不思議に思っているみたいだ。

かくいう俺も謎に思っていた。

古い家ではあるものの、購入した時、徹底的に掃除をした。

それと、問題のある箇所を洗いざらい調べだして、補修をした。

今更、ネズミがやってくるとは思えないのだが。

「……」

あーでもないこーでもない。

そう議論する中、被害者であるカナデは無言だ。

いや。

なぜか気まずそうな顔をして、だらだらと汗を流している。

「カナデ?」

「……っ……」

「どうしたんだ? なんか、顔色が悪いけど」

「え、えっと、そのぉ……」

途端にうろたえる。

「なんか怪しいわね……カナデ、あんた、なにか隠してない?」

「な、ナニモ……?」

「……ライハ」

「へい、姉御!」

「姉御はやめなさい。カナデの部屋を調べてきて」

「ラジャーっす!」

「あぁ、やめて!?」

ライハが駆け出して。

慌ててカナデが追いかけようとしたものの、他のみんなに止められる。

……ほどなくして、ライハが戻ってきた。

その手には、お菓子が入っていたと思われる袋。

「これが大量にあったっす!」

「うわ、本当に大量やなー」

「というか、これのせいで汚れて、ネズミがやってきていたのでは……?」

「自業自得やん!」

「うぅ……」

カナデがしゅんとなる。

「ダメやで。食べるのはいいとしても、ちゃんと捨てて、ちゃんと掃除しないと」

「カナデ、だらしない……」

「いい機会ですから、みなさんでしっかりと教育してさしあげましょう」

「えぇ!?」

カナデは、そんなものは遠慮したい、というかのように悲鳴をあげて。

続けて、助けを求めるような視線をこちらに送ってくる。

「れ、レイン!?」

「あー……がんばって」

「見捨てられた!?」

「ほら、あんたの部屋に行くわよ。まずは、そこから徹底的に掃除! それと、日頃、いつも綺麗にする心構えも」

「にゃーーー!?」

みんなに引きずられて、カナデは奥に消えた。

その姿を見送り、苦笑する。

「うん……なんていうか、平和だな」