軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

三年生になると…

Fクラスの生徒同士は平穏だが、休憩時間や放課後は別。

「ラルフリード様っ」

誰も呼んでもいないのにローレルは本当にやってきた。

建前は、義姉が寂しいと言い『会いに来て』と言われたのでFクラスまでやって来ている。

ローレルが私に声を掛けたのは最初の二日まで。

三日目からは私そっちのけで王子に突撃している。

ローレルの積極的な動きに側近になりたい候補も別のクラスから突撃している状態。

『あの方達まできましたね』

『いい加減にしてくれないかしら?』

『騒がしくして、こちらが迷惑しているのに気が付いていないのかしら?』

最近では彼らを『迷惑な集団』と認識するようになっている。

当の本人達は気にする素振りを見せない。

ここまで周囲を気にしない彼らを冷静に観察していた貴族達は蔑むような反応を見せる。

それは王子に対してもだ。

『そんな奴らを婚約者・側近になさるおつもりですか?』

『咎めたりなさらないのですか?』

鋭い視線を送る。

その視線の意味に王子が気付いているのか見た限りでは判断できないでいるが、万が一彼らを選ぶようなら貴族として考えなければならないと皆が見据えていた。

『さぁ、どうするんです?』

周囲はこの状況をどう解決するのかを王子に委ねている。

『王子の有力な婚約者候補ってどなたなのかしら?』

『侯爵令嬢のミルティー・モリアンナ様じゃないかしら?』

『私は侯爵令嬢のリーシャ・カルリバル様かと」

『最近では、伯爵令嬢のカミーユ・ソバレリー様も有力視されているそうですよ』

『他の高位貴族は……』

『……あれも入るのよね……』

令嬢達の視線の先にいるのはローレル。

噂をしている人物の中には、モリアンナの姿が。

以前モリアンナ侯爵令嬢にはお茶会に誘われて以来接触はない。

何故か私と目が合うと途端に遠慮したような行動に出る。

私を認めていない公爵に知られてしまうのは得策ではないので、

『私に近づくのは危険ですよ』

教えたくらいで避けられるような覚えはない。

その他の候補者達とは今回の人生で同じクラスになっていないが、過去の人生でリーシャ・カルリバル嬢とは三年間同じクラスだった。

同じクラスだったとは言え親しいわけでもなく、どちらかと言うと常に厳しい視線で睨まれていた。

そして今年同じクラスになった今も睨まれている。

過去とは違い今回は『あんたの義妹、やり過ぎよ。何とかしなさいよ』と訴えているように……

その視線の意味に気が付かないフリをすると、今度はカミーユ・ソバレリー嬢が現れる。

「ローレル様、他クラスで少々騒がしすぎますよ」

令嬢は私に興味はなく、ローレルに面と向かって対峙する。

ローレルも令嬢にだけは強気な姿勢を貫くことが出来ないでいた。

何故なら、二年生の時に芸術祭の作品で被害を受けたのがカミーユ・ソバレリー令嬢。

絵画で最優秀作品賞を受賞した令嬢ではなく、補修したが納得出来るものではないと芸術祭を辞退せざるを得なかった彫刻作品を製作した令嬢。

芸術祭で最優秀賞を受賞していたならローレルも反省する素振りは見せても遠慮はしなかったが、ソバレリーの場合は令嬢の意思とは言え大会に参加すらままならなかった。

ローレルが忘れようとしても、本人が目の前に現れてしまえば引き下がるしかない。

「……ラルフリード様と一緒にいるとどうしても時間を忘れてしまい、失礼いたしました」

現在の相関図。

カルリバル嬢は強引かつ身勝手なローレルの振る舞いに辟易している。

ローレルは過去に作品を損壊してしまった手前、ソバレリー令嬢には頭が上がらない。

ソバレリー嬢は爵位の意味を理解しているので侯爵令嬢のカルリバル令嬢の前では大人しくしている。

モリアンナ嬢は、本人の意思とは別に婚約者有力候補として名が上がっている状態。

令嬢達が有力視され他の令嬢も婚約者の座を諦めているわけではなく、虎視眈々と機会を伺っている。

「はぁ……大変そう」

今回の私はそんな彼らに巻き込まれずにいる。

未だに婚約者候補辞退宣言は許されていないが、王子が私に声を掛けてくることがないので私を意識する候補者達は少ない。

婚約者候補でも側近候補でもない生徒は

『誰が一番有力だ?』

誰が候補になれば自身の家門が得をするのかを算段をつけ、後押しをするように動き始める。

『なら、俺はカルリバル令嬢だな』

『俺は、ソバレリー令嬢だ』

『俺は派閥はわからないなぁ……(モリアンナ令嬢と組んでいる事は秘密だな)』

一人が動き出すと他の者も動き出し、次第に派閥が生まれる。

それを人脈というのか影響力というのか分からないが、日に日に各派閥の勢力を増しているように体感する。

これで、王子が誰を選ぶのか、誰を選んでも大変そうだと横目で気にしながらも私は我関せずを貫く。