作品タイトル不明
最終学年
「今年もFクラスね……えっ……同じクラス……」
最終学年に上がりなんの感慨もなく流れ作業のようにクラスを確認したのがいけなかったのかもしれない。
どのクラスで誰と一緒かなど期待しはないが、この人とだけは離れたいという思いはあった。
それを素直にお願いをしていれば神様が気まぐれに願いを叶えてくれたかもしれないのに。
私は何も願わず能天気に三年を迎え、六分の一の確率で同じクラスになりたくない人物と同じクラスになってしまった。
「最後の最後に……」
掲示板の前にいつまでも佇んでいるわけにも行かず、自身のクラスを確認し終えたので場所を譲り教室を目指す。
屋敷を出て馬車に乗り込み掲示板を確認するまでの私と、今の私では全く違う。
これからの一年を考えると気分も重い。
そしてこの状況の中、ルディルさんも一緒のクラス。
「お義姉様っ」
出た……
「……何かしら?」
「お義姉様と一緒のクラスになれずとても残念です。私もお義姉様と一緒のクラスになりたかったです」
……その様に発言しておきながら私とは視線を合わせず、私の後方の誰かを探している。
私と一緒のクラスになりたいんじゃないのはみえみえ。
私達の会話を聞いていた全員が同じことを思ったはず。
『あんたは王子と一緒になりたいんでしょ?』
ここまで隠すことなく純粋に周囲の者を利用しようとするローレルは、ある意味潔いと感じる。
「あっ、ラルフリード様っおはようございます」
私と一緒が~と言いながら王子を見つけた瞬間、私を押し退け王子に駆け寄り私が振り向いた時には王子の横を陣取る。
「……あぁ」
ローレルの私から王子への変わり身の早さ。
目撃していた生徒の視線も一気に王子へと注がれる。
「今年こそは王子様と同じクラスになれると期待していたんですが……寂しいです。クラスもAクラスと離れてしまいました」
ローレルの声は私に声を掛けてきた時とは違い、少し高めで弱々しさも感じられる。
「そうか……」
「お義姉様も私と離れて寂しいので『沢山会いに来てね』とお願いされたので、Fクラスに伺うと思いますのでよろしくお願いしますね」
……えっ?
私はいつそんな言葉を?
あまりの驚きにローレルの後頭部を見ていると、私を確認する王子と視線が合ってしまい視線を逸らす。
「今年が学園最後の年となる。他クラスではなく、自身のクラスの人間と交流を深めるべきだ」
これからローレルが毎日のようにクラスに突撃しに来るのかと不安だったので、王子がハッキリと断ってくれて安堵した。
「……私はラルフリード様と交流を深めたいです」
今……王子は断ったよね?
めげないローレルを見てまだ何も起きていないが、何かしらの事件を巻き起こすのではないかと不安が過る。
「私にとっても最後の一年は貴重だ。特定の人物ではなく、一人でも多くの生徒と交流を深め見聞を広めるつもりだ」
「それは……素敵な考えですねっ。私もぜひ学ばせていただきたいです。一人は怖いのでラルフリード様と一緒に交流を深めても良いですか?」
コミュニケーション能力の乏しい私には、王子はやんわりと拒絶の意思を見せているのだと……
違うの?
あんなにも堂々とされると、私が間違って解釈しているように……
「……何事も経験だ」
「はいっ、ラルフリード様と経験したいと思います」
嬉しそうに返事をするローレル。
王子は受け入れていたの?
私には良く分からない。
分かることは
「去年のクラスが恋しい……」