軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王子視点

学園入学。

私はAクラス。

Aクラスは多くの者が以前のパーティーで挨拶を交わした事のある者で、数名が平民。

「ラルフリード王子。以前のパーティーでご挨拶させていただきました伯爵家の……」

休憩時間になると、個人的に挨拶を受ける。

婚約者だけでなく、側近も在学中に見つけるつもり。

きっと、このクラスの誰かが婚約者と側近になるのだろう。

一人の挨拶を受けたことで、周囲も感化され休憩時間が騒がしい日々を過ごすも試験が近付けば落ち着いて行く。

入学して初めての試験という事で皆、気合が入っている。

私もAクラスの判定を受けたので自信はあったが、学園の試験はかなり難易度が高いと感じた。

『試験結果、張り出されたみたいだ』

試験結果が張り出されたと聞き、掲示板に確認へ向かう。

「一位……ニルヴァーナ・キャステン……」

一位を期待したが、まさかの三位。

それよりも、一位のニルヴァーナ・キャステンという令嬢はAクラスにはいない。

Bクラスの令嬢だろうか?

『あの方が一位だなんて、不正したんじゃないかしら?』

「不正?」

驚きのあまり呟いてしまった。

まさか学園の試験で不正など……

『あの方、Fクラスですよね? そんな方が一位だなんて信じられません』

『不正でなくとも、何かの間違いではありませんか?』

『間違いでFクラスの者が一位になるかしら?』

つい、周囲の会話に耳を傾けてしまう。

一位の人物はFクラスなのか。

それは……信じられないのも納得してしまう。

至る所で一位の順位は不正ではないかと疑う声。

彼らの会話に集中していると、次第に口を閉ざしていく。

どうしたのかと周囲を見渡すと、全員が同じ方向を向いている。

「今すぐに先生方に謝罪しに行くべきですよ。不正は許されない行為です」

一人の令嬢が糾弾していた。

対面している相手が、一位の人物なのか?

「……やっぱりお義姉様は不正したんですね」

相手の声は聞こえないが、糾弾している人物の声はよく聞こえる。

会話からして不正を認めたらしい。

こうもあっさり認めるとは……

相手の言葉を聞きたく彼女達に近付く。

「そっそうよ、ローレル様が一位になれば良いのよ。私とローレル様の答案が間違ってしまったと言えば公爵様もきっと納得するわ。それに、まだこの結果は外部に漏れていないもの。

皆さんが協力してくだされば問題ないわ。ねっ、そうしましょう。一位がローレル様で私がローレル様の順位になればいいのよ」

「それは許されない事だ」

不正を相手に押し付けるなんて許されない。

気が付いたら二人の会話に入っていた。

令嬢と会話しても話は平行線。

不正に関して学園に調査を依頼する事で令嬢も納得した様子。

「ニルヴァーナ・キャステン」

学園側の調査を待つ間、令嬢について婚約者リストを確認。

『公爵令嬢……前妻との子。前妻は令嬢を出産後に体調を崩し亡くなられ、公爵は後妻を迎えた。後妻となった夫人には二人の子供がおり、令息は学園に在籍中、令嬢は今年入学。ニルヴァーナ本人はパーティーやお茶会をほぼ欠席。王族主催のパーティーは途中退席』

「途中退席……だから、令嬢と挨拶した記憶が無いのか……」

母を亡くしたことには同情してしまうが、だからと言って不正が許されるわけではない。

「学園の調査と判断に任せよう」

学園側の令嬢の不正に関する調査結果。

『ニルヴァーナ・キャステンの試験に不正はなかったことを確認』

「不正は……なかった?」

不正が無い?

Fクラスの令嬢が試験で一位?

信じられない。

どういうことだ?

『教師による不正が行われ、令嬢はその影響でFクラスになってしまった可能性が高い』

「……そんな事が?」

実力ではなく、不正に巻き込まれFクラスになったというのか?

なんてことだ。

「私は被害を受けた令嬢を責めてしまったのか? いや、でも……どういう事だ? 令嬢はあの時義妹に一位を譲ると……」

ニルヴァーナ・キャステンという人物の置かれている状況の調査を開始。

「新たな家族により『娼婦の娘』と思い込まされていた? 王族のパーティーでは義妹のドレスを拝借? 令嬢はドレスを一着も持っていない?」

信じられない内容が続く。

『今回の試験、自身が「一位になることは許されない」と発言しているのを何名もの生徒が証言』

「一位になることは許されない? どういうことだ? 令嬢は冷遇されているのか?」

思い返せば令嬢の発言には違和感しかない。

自身を陥れるような発言。

順位を義妹と入れ替えることが正しいと提案。

あのように反論される相手に出会った事がなかったので、こちらも強気で出てしまったが……

「令嬢は理不尽な目に遭っていたのか?」

令嬢の境遇を知り、どうにか出来ないものかと悩む。

そしてお茶会を計画。

「……失敗した……」

令嬢との二人きりのお茶会は最低だった。

こんな事になるなら他の婚約者候補との会話で練習をしてから令嬢との時間を取るべきだった。

気持ちが焦りなんの準備もなく挑んだ結果、婚約を『お断りいたします』と告げられ婚約者候補も『辞退』とまで言われてしまった。

令嬢が去った後は、後悔しかない。

「焦ってしまった……」

私が婚約者になればそんな状況から脱出できると安易に提案してしまった。

『お断りいたします。王子にはどう見えているのか存じませんが、これは私の戦いなのです。お関わりにならないよう願います』

私の提案は令嬢を救うものだとばかり……

『王族の婚約』

『理不尽な環境からの脱出』

『名誉挽回』

それらを一気に解消出来る提案だと思い込んでいた。

令嬢は自身の力で脱却しようとしていたというのに……

真っ向から立ち向かっていたのに、私は権力を利用し周囲を黙らせ令嬢の努力を壊そうと……

令嬢の戦いを汚してしまうところだったことに気付く。

助けたいという善意からだとしても、相手が望んでいないものは迷惑でしかない。

私としては今すぐにでも婚約し令嬢を確固たる立場にさせたいと望むも、それは私の望みで令嬢は望んでいない。

「令嬢を邪魔せず、私にできる事……」