軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第15話 聖気の石

「わかりました。これからは護衛である私に一言相談してください」

……面倒くさいです。

「面倒くさがらずにです」

人の心を読まないでください。

しかし、やはり私の居場所がわかったのが解せないですね。

「わかりました。なぜだか知りませんが、私の居場所がわかるようですし、隠すとあとでグチグチ言われそうですし」

「ああ、それですか」

ラフェシエンはそう言って、首元から白い石がついたネックレスを引っ張り出してきました。

なんですか?あの丸くて白い石は?

どうも淡く光っているので聖気を放っているようです。

「見覚えないですか?」

私が何だろうと見ていると、ラフェシエンがそんな聞き方をしてきました。

見覚えですか?

その言い方だと私が知っているということですか?

シエンと会ったのは十年前から二年間のみ。

どちらかと言えば、アンジェリカ様とアンラディーラ様のお二人の記憶のほうが残っています。

ん? あれ? アンラディーラ様の首に同じようなものがあったような気がします。

とても大切なものだと見せてくれた記憶が……あれは何でした?

「護衛騎士のアンラディーラ様がお持ちだったような? 譲り受けたというものですか?」

まぁ、それであるなら納得ですが、私の居場所がわかる理由にはなりません。

「私にこれを渡して来たのはフィエーラですよ」

ぐっ……突然呼び捨てにしてこないでください。

十歳の私がシエンにですか?

うーん、うーんと考え込み、ふと何かがかすめました。

『フィエーラが信頼できる護衛騎士に作って渡しなさい』

そう、アンジェリカ様から言われた記憶です。

あれは確か……

「私の居場所がわかるらしいのだけど、私が持ってみても全然わからないと、シエンに渡して記憶が……でもシエンもわからないと言っていたはず」

「はい。それですね」

いや、あれは失敗したのだろうと捨てておいてと言ったはず。

「捨てなかったのですか?」

「一週間ぐらいかけて作っていましたので、流石に捨てるのは忍びないと」

そうですね。神の加護の残滓が光っているというのを意識して集めて凝縮すれば、聖気の塊の石になるのです。

それを集めるまではいいのですが、石のように硬質化するのが大変で、結局一週間かけて作ったものの、失敗したのでやる気が失せたのです。

で、それをずっと持っていたと。

失敗作を?

あれ? でも私の居場所がわかったということは、失敗していなかったということですか。

「持つ相手も加護を受けないと、ただの光る石だったようですね」

あ、そういうことですか。

アンジェリカ様、実験で作ったものは不可でいいでしょうか?

取り敢えず、最初の町での聖女としての浄化と、国の手が及ばない悪事に対する天誅は無事完了しました。

しかし、だいぶん『みなごろし聖女』の名が定着してしまっているのが解せません。

何もしていない人には何もしていませんのに。

「皆様。本当にごめんなさい」

翌朝、攫われた聖女のナステーリアは、一人一人の聖女に謝罪して王都に戻っていきました。

彼女はもう聖女としての役目を果たせないかもしれません。

「どうしますか? 次の町まではいいとしまして、五方向に分かれるはずでしたが、四方向で分けますか?」

浄化石が設置されてある村に行く配分です。

予定では一人二つの浄化石を担当する予定でしたが、一人抜けたことで、四人の内二人が三つの浄化石を担当することになるのです。

ただ、村と村の間の距離が微妙でして、一日で回れないかもしれない問題が浮上しているのです。

一応予備日が一日あるので、無理とは言いませんが。

「野宿はイヤよ」

「でも教会以外の家に泊まるのも以ての外だわ」

夜は魔物が活発に活動するので、できれば頑丈な塀に囲まれたところで休みたいですね。

そして、聖女特有の問題で、異性の接触厳禁というものです。

私には関係ないと言いたいですが、トラウマを発症するので、避けたいところです。

これはどうするべきでしょうかね。

日程をずらせば問題ないのですが、一応各方面にこの日程で聖女が訪れるというのを出しているのです。

でなければ、聖女を騙った不審者を村の中に入れてしまうかもしれませんから。

地図さえあれば、転移の祝福で各方面には行けますが、あとで大司教に色々言われそうなので、やめておきます。

祝福の安売りをするなと。

聖女という価値を人々に見せつけるのも、教会として重要だそうです。

ええ、馬車を使えと。

「他の聖女を送ってもらうしかないでしょう。早馬で連絡を入れれば、次の町での滞在中には来てもらえるのではないのですか?」

まだ、ここは王都から馬車で一日の距離です。早馬で連絡をいれて、すぐに出立をしてもらえれば、次の町で合流できます。

「フィエーラ様。その先はいいと思うのですが、結局次の町の行程に響きます」

そうなりますわね。

「わかりました。ナステーリアが受け持つはずだったところを私が行きます。それでよろしいですわね」

「フィエーラ様! 流石です!」

「ありがとうございます! フィエーラ様!」

「フィエーラ様! 素敵です」

はぁ、これは街道の浄化石が、濁るのも早くなるのがわからないでもないです。

要はやりたくないということですわね。

早馬の伝言で聖女たちのこともチクって差し上げましょう。

一番大変なのは聖騎士たちですのに。

さて、これからのことをラフェシエンに相談しにいきましょうか。

野宿にしろ何処かの村に宿泊にしろ、私は馬車から降りるつもりはありませんから。

まぁ結界ぐらいなら張って差し上げてもよろしいですわね。

こうして南方方面の浄化の旅は出だしから問題をかかえてしたのでした。