軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第153話 ドラゴン戦?

火に炙られたドラゴンは明らかに警戒している。……ただ船を狙うのを止める気はなさそうだ。

水中に空気で筒状に空間を作って船で進むこちらに対して水の中からぐんぐん迫ってくるドラゴン。

「クソトカゲが!!くらえっ!!!」

「シャー!」

「<火よ!燃やし尽くせ!!>」

「あっち行けっ!!!」

「ブモォオオオオオ!!?」

こちらはシャルルの精鋭もリヴァイアスの花嫁も少数の護衛も関係なく追い詰められている。

水のない空間に入ってきて火の魔法を当てられればダメージを与えられそうだが、海の中にすぐ逃げてしまってはこちらの攻撃手段である火の魔法も効果的とは言えない。

しかも船は私の作っている筒状の空間をジェットコースターのように曲がったり天地がひっくり返るような動きをして、バラバラ寸前である。船が勢いで飛び跳ねるとかまともな船がやって良いことじゃない。

もはや水でくっつけて動かしている部分もある。割れて飛んでいく手すりに動かすだけで破片が流れて行っている現状、パニックにならないだけマシかも知れない。

「投げろ!投げろ!!出し惜しみするな!!!」

「もう投げるものなんてないぞ!!?」

「あっち行けよ!!」

魔法はどれも効果が薄い。そもそもが頑丈なドラゴンだがたまに水の中から顔を出して水を放射してくる。

勢いよく向かってくる水だがある程度なら弱められるし逸して直撃を避けることはできる。人に当たらないように直ぐに水のコントロールを奪い返して人的被害は避けているが――――船はボロボロだ。

逆にこちらから何を当てても決定打になっていない。火は有効そうだったが辺りは水であるし、警戒されてしまって無為に突っ込んでくることは無くなった。風は全く効果がないし、土でゴーレムを出してもそもそも当たらないし落ちていくだけ。――――どの魔法も効果が出ない。

土は何もない状態から硬いものを作るのが大変らしいが槍だけ作って……作るたびに筋力に優れた獣人か風魔法使いが投げている。猛烈な勢いの槍は一応効果があるのか当たると嫌そうにするし目に見えて回避行動をとっている。しかし機敏に動くドラゴンにはまともに当たりそうにない。

少しパニックになっているのか、コップや蝋燭のような意味がないとわかっているものすら投げている。

ドラゴンは知性が高いようで野生生物のようにただただまっすぐ突っ込んでくるのではなく、守りようのない船底や守りの薄い側面を狙ってくる。既に船は引っ掻かれて大きく穴が出来てしまっている。

視界では見えないが急加速したドラゴンが再び船底を狙ってきた。

「来ます!」

「どっちだ!!?」

「 上 で す !!いや下?」

空間の上側にバレルロールして緊急回避する。本来使われる船の舵が外れて落ちていった。

「爺!合わせろ!!<闇よ!!槍となりて我が敵に纏え!!!>」

「ほんに大きくなりましたな!< ぬ ぅ ん!!!>」

シャルルはドラゴンの頭に向かって数本の槍のような闇を飛ばしたが頭を振られて惜しくも外れた。……と思ったら闇で出来た槍は鋭角な軌道で勢いはそのままに曲がって竜の後頭部から襲いかかり、ドラゴンは頭の周りを完全に闇で覆った。

そして――――……かろうじてロープで繋がっていたメインマストを抱えた宰相が飛んで、ドラゴンの頭に向かってマストを棍棒のように使って薙ぎ払った。

「< グ ギ ャ オ ッ ?!!>」

「<ぬぅぅん!!!>」

ドラゴンという圧倒的巨体だが体の軸ごと持っていかれ、落ちていった。

空中に飛んだ宰相が、ぐるりと体を回転させ、マストをドラゴンの翼に投げつけた。

流石にダメージがあったようで、いや、倒せたのだろうか?後方に落ちたドラゴンの安否は分からないが――――それよりも今は天地がひっくり返って、しかも高速移動中だ。

「<風よ!宰相を船に寄せよ!!>」

「重いっのよっ!!父さんっっ!!!」

「うぉああぁぁぁああああ!!!??」

「ンニャァァアアアアア??!」

「落ちる落ちる落ちるぅ!!?」

上下逆さまになっていた船からそのまま落ちていく宰相、それをエール先生が風で、クラルス先生が足首に結んだロープで引き戻そうとしている。

他にも数人宙吊りになっているが何人かの獣人で回収している。飛べる人がいてよかった。それに、ダグリムだったかな?あの牛の獣人の人も重たそうな体なのに軽やかにロープを投げ縄のように使って宰相を回収した。

「ブモォォォオオオ!!」

え?なに?旦那は取り返したって?レージリア宰相ったら、いつの間にそんな……。

……一応周りの水は私がコントロールしているし落ちても大丈夫なのだ。ただ、単純に私のコントロールが難しくなるのと……水と接している部分をドラゴンが支配すればそのまま落ちてパクリと食べられてしまう可能性がある。

水の腕で落ちていく人を掴んで船に戻していく。

バ ガ ギ ッ !

「あぁ?!船がっ!!」

船が激しく音を立てて……前後で半分に割れた。

もはや後部はいらない、前に人を寄せて加速する。水の腕でどんどん回収していく。

「フリム!?大丈夫か?!!」

「……ぁ………ぅ……」

シャルルの声は聞こえるが答えが返せられない。ドラゴンの位置や別のタスクが多すぎる!?

ぎりぎりつなぎ合わせている船。皆必死に怪我人を担いで前側に運んで来たし、壊れて離れていく後部にも人はいたので水の腕でこちら側に持ってくる。

――――そんな後ろから、再び巨体が水を割って現れた。

「<グ ゥ ロ ォ ォ !!!>」

羽は片方破れているし、角は折れて、頭から出血して――――ブチギレてらっしゃる。

全身をみなぎる魔力が見ただけでわかる。殺意と言うか、明らかな怒りを感じる。

「生きてるぞ!?」

「もう駄目だ!!?」

「おぉ!精霊よ!!」

もはや、全員が壊れた船にしがみつくだけで精一杯だ。

まっすぐ向かってくるドラゴンに対して、まともに魔法も使えない。

「――――くそっ、ここまでか?」

シャルルの焦る声がすぐ近くで聞こえるが、答えられない。今手を抜けば、全滅だ。

「フレーミス様、短い間ですが仕えられて幸せでした。任せましたよ、オベイロスの王よ」

「お前……」

少し頬に触れられた感覚がある。そして私達を抑えるジュリオンの圧がなくなった。――――しかし

「間に、合いました。あぁ??!」

決死の覚悟のジュリオンがドラゴンに挑むよりも前に、ドラゴンは飛んでくる槍で滅多刺しになって声もなく死んだ。

「「「「ウォォオオオオ!!!」」」」」

「第二射!うてぇええええええ!!!」

「首を落とせ!!!行くぞぉ!!!!」

バリスタの斉射を浴びせたドラゴンに向かっていく勇猛なリヴァイアスの兵。

私は船ごと壊れて投げ出され、シャルルに抱えられたまま地面を転がっていった。

ごろごろと細かな砂の中を転がって……やっと止まった。

「――――無事か?フリム」

鼻が当たるほどの距離からシャルルに聞かれた。ドラゴンが動かなくなってやっとタスク量が減った。

杖を持ったままだったが右手はもう力が入らないな。激痛がするしどこか折れているかもしれない、杖を左手で持ち替えて少し集中する。

「……はい、いたたた」

「これは、どういうことだ?」

「ただ、逃げていたわけじゃないんですよ」

いきなりドラゴンが現れて、しかも私の水の中を自在に動けるなんて想定外だった。しかしクーリディアスの軍もドラゴンも一網打尽にする前提であったのに、私と船だけで来る訳がない。

ここはクーリディアスの近くの海底。リヴァイアスのほぼ全軍をここに連れてきている。

リヴァイアスの領都の守護は治療したての退役兵士たちと領民に任せた。亜人の多い現在のリヴァイアスでは一般の太ったおばちゃんやおじいちゃんですら普通の一般兵よりも動ける。

何もしなければリヴァイアスは攻め込まれて全滅かよくて奴隷送りの可能性が高かったし畑とかは子供に任せてほぼ総動員で今回の戦争に当たっている。

プゥロが浜辺で燃やそうとしていたいくつかの建物には海からやって来る魔獣に対しての備え――――……海の魔物がやってきたときのための可動式弩弓とアダマンタイト製の槍があった。クーリディアスの軍にはドラゴンやワイバーンがいるので必要だったから持ってきていた。

私も無為に逃げていたわけではない。私なりの連絡手段を使ってドラゴンが来ることを知らせて、ここで待ち受けてもらっていたわけだ。

まさかシャルル達の回収して連れて来るだけの予定が帆船でドラゴンからジェットコースターみたいに逃げるなんて無茶をするなんて思っても見なかったが……。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「報告を受けたが、何だこれは?」

「ワイバーンの錠が、全部溶かされています!これじゃ飛ばせません!!」

「一体誰が……」

「畜生!誰がこんな?!……そう言えば王子と仲が良かったあのアモスとかいうやつがよく来ていましたが」

「アモス殿が?そんなわけ……まさか!!!??」

「王子!?外を見てくだせぇ!!建物が凍っちまってやがる!?」

「これは、攻撃か!?くそ!信じられない!!」

「王子!!!」

「全ての竜を出せ!!」

「ど、どの竜を!?」

「全部だ!!賢い竜ならこの状況も理解しているはずだ!!!愚かな敵に罰を与えるんだ!!!!」