軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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その顔をじっと見て、やっと誰だったかを思い出す。

この子、入学式で新入生代表の挨拶をしていた子だ。

クラスが違うので、なかなか思い出せなかったよ。

「いつもそうやって断りおって。むぅ!」

「それで用って何?」

兎与田七海は新入生代表の子を無視し、こちらに聞いてきた。

私も話を進めたいので、それに乗っかる形で会話を進めていく。

「実は、第二フォーゲート部を新しく作ったんだけど、是非兎与田さんに入部してほしいの。お願いできないかな? この通り!」

「この通りですわ!」

私とレイちゃんは合掌し、深く頭を下げた。お願いします!

「ごめん、無理かな」

「そこをなんとか! 大会出場までの短期間でいいから」

「三年間拘束するわけではございませんのよ。どうか、ご検討いただけませんか?」

断る兎与田七海に、何とか入部できないかと説明を続ける。

私もレイちゃんも必死である。

「部活をやってもなぁ……。そもそも、何でそんなに熱心に勧誘してくるの? 言っちゃ悪いけど、二人ともフォーゲート部を一回退部してたじゃん」

私たちが退部したのは、クラス内でも有名だ。

一属性という元からあったネタに加えて、早期退部という新たなからかいの種が増えて、私たちを嫌っている生徒は大喜びだった。

根性なしとか色々言われましたね、はい。

まあ、軽く威嚇したら黙っていたけど。

そういったことを、兎与田七海は見ていたのだろう。

ここはレイちゃんのお祖母さんの話を省いて、目的を説明しておくか。

その辺りを加えると、人情に訴えかけているように見えちゃうからね。

私は、レイちゃんにアイコンタクトをした後、事情を話した。

「……実は、優勝賞品が欲しいの。随伴免除証っていうんだけど、それがあると年齢制限を無視して北海道で妖怪討伐ができるかもしれないの。あ、霊術師の資格があるのが前提だけどね」

「そうなのですわ。私たち、フォーゲートにはさして興味はありません。本命は、その免除証狙いなのです。ですから、少しでも実力がある方の力をお借りしたく、お声かけさせていただきましたの」

「ふぅん、優勝したら、そんなメリットがあるんだ。北海道かぁ、それはいいね」

私たちが事情を話すと、兎与田七海が急に乗り気になった。

「あれ、もしかして入部してくれるの?」

「いいよ」

あっさりOKをくれる兎与田七海。おお、これはありがたいよ。

「わたくしたちは一属性ですが、兎与田さんの力を当てにしているとは思いませんの?」

「ん~、二人とも相当やるよね? 絡んでくる奴にやってる威嚇を見た感じだと、結構強いと思うんだけど」

「ああ~……」

何が良い結果に結びつくか分からないものだ。

まさか、日々の威嚇が入部の肯定的判断に役立ってくれるとは。

「ありがとう! 助かるよ、兎与田さん!」

私は兎与田七海の手を両手で握り、ブンブンと振った。

これで多少は距離も縮まったし、ある程度は受け入れてもらえるだろう。

これから、心の中では兎与田さんと呼ぼう。

「う……、うん」

私の接近に、急に警戒姿勢を取る兎与田さん。

あ、まだ、そこまで信頼を得ていないのか。と、しずしずと距離を取る。

ここでやっぱり辞めるとか言われるわけにはいかないのだ。

細心の注意を払わねば。

でも、心の中での兎与田さん呼びは継続していこう。

こういうのは、こちらから友好的姿勢を示していかないとね。

「これであと一人、入部してくださる方がいれば、申し分ないのですが……」

顎に手を添えたレイちゃんが悩まし気に眉を寄せる。

「そうだねぇ。あとは地道に探すしかないか」

残念だが、当てはこれで全てだ。他に勧誘できそうな人なんていない。

……果たして、大会までに見つかるだろうか。

「わらわが、入部してもよいぞ」

と、兎与田さんの背中からひょっこりと顔を出した新入生代表の子が言った。

「え、入るの? スポーツには興味ないって言ってたじゃん」

その発言に、兎与田さんは驚きの表情となる。

「ん、気が変わったのじゃ。何か、面白そうじゃからの。それに同じ部にいれば、手合わせしてくれるかもしれんしのう?」

「しないから」

新入生代表の子に、兎与田さんは塩対応。

さっきから会話に出ている手合わせというのは、霊術を使った勝負的なものだろうか。

まあ今はそんな事、どうでもいい。それより確認しないと。

「えっと、本当に入部してくれるの?」

「構わんぞ」

私の問いに、新入生代表の子は胸を逸らしながら得意げな顔で肯定した。

「ありがとう。私は九白真緒。こっちは雲上院礼香ちゃん。あなたは?」

「なんじゃ、知らんのか? わらわは、鳳宮未花。よろしくじゃ」

「雲上院礼香ですわ。新入生代表で挨拶をされていた方ですわよね」

「その通りなんじゃが、そういう認知のされ方なんじゃのう……」

鳳宮未花さんは、自分が認知されていないことを不思議がる。

私とレイちゃんは、彼女のことを知らない。

そのことが、鳳宮さんにとっては新鮮なようだ。

「二人は、霊術師の家系じゃないからね。そういう私も、最近まで知らなかったし」

私たちの反応を見て、兎与田さんが鳳宮さんに説明する。

「もしかして、有名な霊術師の一族の人だったり?」

今の会話の流れから察するに、凄く偉い人の家系なのかな。

「まあ、その辺は気にしなくていいのじゃ。気楽にいこうぞ」

カカッと、気さくに笑う鳳宮さん。

「これから、よろしくね。最悪二人でやるつもりだったのに、一気に四人揃ってしまった……」

「やりましたわね、マオちゃん!」

「うん、やったよ! これで団体戦に出れる」

私とレイちゃんは、余りの嬉しさからハイタッチ。

なんと、難しいと思われていた兎与田さんの勧誘に成功した。

しかも、思いがけないところで部員がもう一人入ってくれることとなった。

これで四人。団体戦も参加可能だ。

人数さえ揃えばこっちのもの。他は準備済み。全て問題ないのだ。

第二フォーゲート部の顧問は、校長が務めることで話はついている。

練習場は校外に確保済み。放課後に車で移動する形となる。

コーチは三沢さんが引き続き担当してくれる。

部活動とは言うが、学校内で活動しないし、顧問の校長は大会に同行する以外は不干渉。

という感じで、かなりの自由が認められている。

これで、後は大会に向けて練習していけばいいだけだ。

よし、頑張っていこう。

目指すは優勝。そして随伴免除証のゲットである。