軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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母が私のパスポートを作ると言い出した。

というか、私は今まで海外に行っていなかったのか……。

飛行機に乗って、世界の秘境のような場所に何度か訪れたことがあったが、あれが全部国内だったとは。そっちの方が衝撃だったりする。

しかし、国内であれだけの思いができるなら、わざわざ海外に行かなくてもいいのでは、と思ってしまうけど。

……まさか、もっと凄い魔境に放り込まれるのだろうか。

まあ、今の私ならどんなところでも、身一つで三日くらいは頑張れる。

道具さえあれば、消耗品が尽きるまで、いくらでもいけるし。

なんとかは、なるだろう。

なんとかはなるけど、わざわざそんな思いをしたくはないけどね!

全く、母は私をどうしたいんだろう。

などという思いを抱きながら、飛行機に搭乗。

乗るのは自家用機で、目隠し耳当てをされるから、どこに行くかさっぱりだ。

いつも思うけど、何なのこの状況。

芸能人が挑戦するサバイバルバラエティか何かかな?

母は私の問いかける視線に、「今回も楽しませてやるからな」みたいな表情を返してくる。

なんというか、ボタンの掛け違いが発生している気がしてならない。

それにしても、小学校に上がる前までのお嬢様ライフからは想像もつかないことになっちゃったなぁ……。

もうちょっと会話でコミュニケーション取った方がいいかな、と感じたのは知らない国に到着した後だった。

わざわざ国外まで移動し、今回挑戦したのは、銃の組み立て、整備、射撃の訓練でした。

ヤベーヤベーと思っていたら、とうとうそんなことまでやるようになってしまいましたよ。

発砲する時は霊力を使って体と耳への衝撃を軽減しろとか言われるし、もう何でもありだよ。

ていうか、そんなことに霊力使いたくないよ! もったいないよ!

霊気圧縮がはかどらないよ!

ぐぬぅ、こうなったら、なるべく霊力の消費を抑えつつ、衝撃軽減するしかない。

より、精密なコントロールを心がけよう。そうしよう。

どこともしれぬ国で、母の部下と思われる人たちと一緒に様々な訓練三昧。

海外に出たはずなのに、周囲にいるのは日本人のみ。

施設のスタッフが海外の人だから外国と分かる感じ。

スタッフには日本語があまり通じず、会話はカタコト。

英語の方が会話になるけど、母国語ではないっぽい。

色々な人の話を立ち聞きして情報を収集した結果、ここで行っているのは母が勤める会社の研修らしい。

そんな人たちと一緒になって、様々な訓練をした。

うーん、これは警備会社……、なのかな?

訓練を受ける人は入れ替わるし、母も仕事に出て度々いなくなる。

年中いるのは、私と施設のスタッフさんだけ。

そんな生活を送っていると、月日は流れて十二月。

クリスマスも家には帰らず、父がこっちに来た。

両親と私、そこにスタッフさんと訓練している方々を交え、盛大にパーティー。

いつものアットホームな感じとは違っていたけど、これはこれで楽しかった。

そして翌朝、サンタさんからプレゼントが届いていた。

大きい箱だ。これは中身に期待。

私の中の子ども心が刺激され、ワクワクしながら、ベリベリとラッピングをはがす。

すると、中からアタッシュケースが。

……子供用にしては大きい。将来使いなさい、というチョイスなのかな?

そんなことを考えながら持ってみる。――ん、重い。何か入ってる。

ということは、箱の中身がプレゼント?

そう思い、開けてみる。

中には、緩衝材にキッチリはまった状態のハンドガンとアタッチメントが……。

まさかね……、と慎重にブツを確認。

残念なことにモデルガンではなく、間違いなく本物。

そりゃあ重いわ、と真顔になる私。

なんというクリスマスプレゼント……。今までは、もう少しましな物だったのに。

同封されていた手紙を確認すると、特注の対人用麻酔銃らしい。

射程が短い代わりに、消音性が異常に高いとのこと。

また、専用の弾丸を使用するため、麻酔の量も調節できるらしい。

で、これを誰に撃てと?

一応、妖怪が出る世界なので、日本でも銃は所持できる。

だけど私は免許を取得できる年齢に達していない。

「成長したら免許を取れってことなのかな……」

年の瀬となった十二月の終わり、麻酔銃を手にした私は窓から雪景色を眺めながらボヤいた。

どこともしれない国の、よく分からない研修施設で、私の四年生ライフが終了していく。