軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

拠点作り

「……人間とはこれほど強大な存在だったか」

「すごい……」

ラルグスやリルダ達が海から顔を出して驚愕する中、恐ろしい勢いで森を切り開いていくディー達。いや、殆どディーとオルトの二人で伐採しているのだが、残りの騎士達もヒィヒィ言いながら伐り出した木材を僕の下へ運んでくれている。

そして、そんな木材をどんどんウッドブロックに変えていく。

「良いね。やっぱり作業者が増えると効率的で嬉しいなぁ」

遭難当初砂浜に流れ着いた流木などを集め、せっせとウッドブロックにしながら歩き回っていた頃を思い出し、感慨深くディー達の働きを眺めていた。

気が付けば、大量のウッドブロックと大きな広場が完成しているではないか。

「……あの二人みたいな働きは誰も出来ないがな」

パナメラが冷静に呟きながらディーとオルトの背中を指差すが、それには苦笑しかない。

「あとは、うちではタルガさんくらいですかね。パナメラさんの騎士団にはいないんですか? 怪力無双の人」

「怪力、か。まぁ、少年から買ったミスリルの剣を使えば似たようなことが出来るだろうが、あんな大剣を振り回すのは難しいな」

眉根を寄せてそう口にするパナメラ。何故か少し悔しそうに見えたが、パナメラ騎士団の訓練が激しくなったりしないだろうか。もしそうなったら、後でパナメラ騎士団の騎士達に恨まれそうで怖い。

パナメラと雑談しながらそんなことを思っていると、アルテとティルがプルリエルと一緒に来て船を指差した。

「あの、ヴァン様……」

「ん? 何かな?」

パナメラと会話しているからか、アルテが少し遠慮がちに声を掛けてきた。もっと積極的にきてくれても良いのだよ、アルテ君。

笑顔で振り返ると、アルテは船を指差した格好のまま口を開く。

「船に、たくさんの資材があるみたいなので、船がもう少し揺れないように出来たら、私たちで荷物を運ぼうかと……」

アルテがそう言うと、アルテの後ろでティルとプルリエルが揃って片手を曲げて力こぶを作るようなポーズをした。細くて力こぶなど一切出ていないが、可愛いので良し。

「おお、それは有難い。じゃあ、先に桟橋を作ろうかな」

アルテ達の申し出に感謝しつつ、ウッドブロックを両手に持ってリルダ達の方へ振り返る。

「ちょっと海に橋を作りますよー! 少しだけ離れてくださいねー!」

「む? 承知した」

声を掛けると、ラルグスが代表して答えてくれた。多分、言っていることが理解できなかったと思うのだが、素直に言うことを聞いてくれる。アプカルルと一緒で純粋な種族なのかもしれない。

人魚たちが十分離れたことを確認してから、ウッドブロックを変形させて陸地から少し広めの桟橋を作っていく。もしかしたら今後も来るようになるかもしれないし、しっかりした桟橋にしよう。

今回は海岸がすぐに深くなるような地形の為、桟橋の距離自体はあまり長くない。幅四メートルと長さ二十メートルほどの桟橋を作り、支柱を海底深くまで伸ばしておく。魔獣の脅威も考慮し、支柱は十本作っておいた。

「お、おお……」

「あっという間に」

出来たばかりの桟橋を歩いて船に近づいていくと、ラルグス達が驚く声が聞こえた。その声を聞き、そういえばと思ってリルダに声を掛ける。

「皆はどこに住んでるの?」

そう尋ねると、ラルグスがハッとした顔になったが、すぐにリルダが答えてしまう。

「この島の反対側の方に、まだ島が二十個以上あるから、その中の安全な島に……」

「へぇ、そうなんだ」

リルダが答えてしまった為、ラルグスは少し険しい顔になった。人間が攻めてくるかもと警戒しているのかもしれない。もちろん、僕にそんな考えは無い。

「それじゃあ、もしこの辺に来る時があった時の為に、家を作ってあげようかな」

「え?」

誰にともなく呟いた言葉に、リルダは可愛らしく首を傾げていた。

船を係留しなおして折り畳み階段を下ろしてから、早速家を作ってみる。せっかく作ったので、桟橋に繋げる形にして強度を更に増すように設計する。アプカルルと同じなら舟屋みたいな作りが良いかと思ったが、せっかく深度のある海岸なので、まったく別の作りにしてみる。

船を係留する方とは反対側に平屋の家を作ってみた。なお、壁は海底にまで続いており、何か所か片開きの扉を設置している。水中にも部屋を作ってみたが、それは使用されるか不明である。

試しに家に入ってみると、後から付いてきたアルテ達が感嘆の声を上げた。

「わぁ……」

「素敵です!」

アルテとティルは部屋の入り口から全体を見て感動の声をあげ、パナメラとプルリエルは中に入って部屋の作りに感心する。

「これは広いな」

「拠点としても使えそうですね」

四人の反応に満足しつつ、人魚用の海の家をチェックしていく。部屋の中央は海面になっており、壁から一メートルほど通路を取っている。かなり広く作ったので、頑張れば三十人が通路部分に腰かけて座れると思う。座った状態で手を伸ばせば開けられるところに開き戸も作ったので、開ければ窓の代わりになるだろう。

「……うん、中々良い感じだね」

シンプルだが使いやすそうな感じに出来て満足である。海の家の内覧会をしていると、タイミングよくラルグス達が海底から家の中に入ってきた。海面部分に顔を出したラルグス達が室内の様子を見て驚いていた。

「一応、潮の満ち引きに対応できるように床を階段状に三段で作ってみたよ。多分、今が一番海面が上にある時だよね? 海岸を見た雰囲気での予想だけど」

そう尋ねると、ラルグスは目を瞬かせて振り向き、無言で頷いたのだった。