軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

合流

三日目、ついに騎士団の最後尾が見えた。人数が少ないからかなり早く行軍出来た筈だが、どうやら王国騎士団は随分と早く旅程を進めていたらしい。

「おお、ヴァン男爵騎士団だ……!」

「変わった馬車で移動しているな」

あまり関わりのない貴族家の騎士団が最後尾なのか、僕の騎士団の装備を知らない者達がそんな声を上げていた。

「どうもどうもー」

軽く挨拶をしながらその脇を通り抜け、列の奥へ入っていく。しばらく進むと今度はパナメラの騎士団を発見した。見たことのある騎士達がこちらに気が付き、一礼をしてくる。

「お久しぶりでーす! パナメラさんはいますかー!?」

「は! 行軍が止まってしまってからは陛下の傍へ移動しております!」

「分かりましたー! ありがとうございますー!」

必要な情報を受け取り、謝辞を返す。ほのぼのと笑顔で挨拶を交わしながら通り過ぎた。そんなこんなで大勢の兵士たちに愛嬌を振りまきながら陛下の馬車を目指す。ヴァン君の愛くるしさに胸が苦しいという兵士たちも現れるに違いない。後でお買い求めし易いようにセアト村でヴァン君印のお土産を準備しておこう。大ヒット間違いなしだ。

「ヴァン君饅頭、ヴァン君揚げパン、ヴァン君マドレーヌ……他には何かあるかなぁ」

買いやすそうなお土産を検討していると、ティルが挙手をして口を開く。

「はい! 私は鞄とかも良いと思います! ヴァン様の素敵な笑顔を刻印した革の鞄を販売しましょう!」

ティルが意見を述べると、アルテも何故かすぐに挙手をする。

「は、はい。私は、指輪やネックレスなどのアクセサリーも良いかと……」

二人がそれぞれ意見を言い、僕が「ふむふむ。僕の笑顔は刻印しないけど、二人の案は良いね」などと答えると、カムシンも腕を組んで唸り出す。何故か早押しクイズみたいなノリになってきた。

「ぶ、武器や防具はもうありますし、うーん……」

悩むカムシンに微笑ましい気持ちになっていると、気が付けば見たことのある紋章の描かれた旗が遠くにあった。あれは、王家の紋章か。

「もう王都騎士団に追いついたかな? 思ったより時間かかったけど」

そう言って騎士団の様子を窺いながら歩いていくと、僕の預けていた仮設拠点が幾つも並んでいるのが見えた。その中心にある拠点の前に、明らかに近衛騎士団らしき集団が集まっている。

「あそこかな? こんにちはー! セアト村より参りました、ヴァン・ネイ・フェルティオです!」

元気よく挨拶をしながらその一団に近づくと、規律正しい動き、態度で一斉に振り向いた。

「む、ヴァン男爵殿! よくぞ来ていただきました。思った以上に早い到着で驚きました」

「いやぁ、舗装作業のお陰ですよ! 頑張りました!」

「ふむ? 申し訳ありません。仰っている意味が分からず……一先ず、陛下に閣下の到着を伝えてまいります。少々お待ちください」

騎士の一人が一礼し、拠点の方へ報告に向かう。むぅ。舗装作業について詳しく話したかったが、それは帰り道に実物を見てもらうことにするか。かなりの距離をこれまでにない速さで舗装したのだ。早い・丈夫・丁寧で有名なヴァン土建の舗装技術を是非とも皆に自慢したいものである。

そんなどうでも良いことを考えて待っていると、拠点からワラワラと人が出てきた。

「おお、少年!」

一番手はパナメラである。目立つ金髪に、軽装の鎧姿でも分かるナイスバディ。相変わらずの迫力である。そして、その背後からフェルディナットやベンチュリーが現れ、ようやく陛下とダディが現れた。

何故かこちらを見もしないジャルパを怪訝に思いつつ、僕は陛下に向き直りその場で片膝を突いた。

「少々遅くなりましたが、ヴァン・ネイ・フェルティオ。陛下の御前に馳せ参じました」

少し畏まった挨拶をしながら頭を下げると、陛下が両手を広げて感嘆の声を上げた。

「よくぞ参った! 本来ならわざわざ呼びつける内容でもなかったが、少々揉め事が長引いてな。一度検証だけでもすれば解決するだろう。悪いが、話を聞いてもらえるか」

「勿論です、陛下。何を検証するのでしょうか」

開口一番に陛下から要領を得ない頼まれごとをされ、丁寧に内容の確認を行った。何でもよいから早く終わらせて早く帰りたい。そう思ったのだが、陛下は困ったような顔で唸る。

「ふぅむ。それが、困ったことに騎士団と冒険者との間で諍いが発生してな。その原因が、貴殿が作成した仮設拠点の不具合だというのだ」

「……へ?」

行軍停止のまさかの理由に、思わず僕は言葉を失ってしまった。そんなバカな。時間が無かったからさっさと作ったのは間違いないが、別に手抜きはしていない。むしろ、普通の工業製品よりも均一なクオリティで提供している筈だが……。

色々とグルグル頭の中で考えるが、答えは出ない。コンテナ以外の部分に原因があると考えるのは簡単だが、もしコンテナに原因があったら気まずいったらない。

「……早急に原因を究明したいと思います。その、問題があった仮設拠点を一度見せてもらえたらと思いますが……」

僕は深く頭を下げて、そう答えた。