軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

インフラとは

水道、電気、ガス、インターネットや電話、そして道路。各都市の生命線となる 基(インフラ) 盤(ストラクチャー) 。

たとえば、水道が機能しなくなり、一年間水が使えなくなったとする。人々は川や池の水を濾過したり煮沸したりして飲み水を得ることは出来るだろう。

しかし、生活や仕事に大きな影響を与えるのは間違いない。

それが道路であっても同じことだ。自動車という高速での物流が可能となる代物があっても、道が使えなかったら無用の長物である。物資の運搬、人の移動が制限されたり妨げられてしまったら、経済は止まってしまう。場合によっては人的資源も失われてしまうだろう。

それは自動車の無いこの世界でも同様である。

と、尤もらしい理由をつらつらと述べたが、大事なことはただ一つ。僕のお尻が痛いことだ。

「どんどん作るよー」

「はい!」

わんこそばのように、僕は並べられた木々を次々ウッドブロックに変えていく。ただし、今回は四角い煉瓦のようなものではなく、平べったい板のような形だ。

それも地面の形に合わせてコンクリートを敷くようにみっちりと張り巡らせている。凸凹を液状のウッドブロックで埋めている、という見方の方が正しいかもしれない。

岩や木の根と一体化してウッドブロックが敷かれたため、割れない限りはズレたりすることもないだろう。

更に、ウッドブロックを寝ながらでも作れるようになった僕にとって、材料さえあれば秒速一メートルほどの勢いで道路を作ることが出来るのだ。

「うぉおおおっ!」

「ヴァン様に負けるなー!」

「切れ切れ切れー!」

目の前ではバタンバタンと木々が横倒しに倒されていき、周りの騎士たちが声援を掛ける光景が広がる。対して、僕は切り倒された木々をすぐにウッドブロック製道路に加工していく。

段々と何かの競技みたいになってきた。負けてなるものか。そう思い、更に道路を敷く速度が向上する。

そんな感じでやっていたせいか、気がつけば三時間は夢中で山道を整備していた。

「さ、流石に晩御飯休憩!」

僕がギブアップすると、先で木を切り倒していた騎士達もその場で座り込んでしまった。皆、完全に疲労困憊だ。

その時、ズズンと地響きを鳴り響かせて、大木が切り倒される。

「む? もうそんな時間ですかな? まだ陽は高いように見えますぞ」

皆疲労困憊なのは間違いないのだが、ディーだけは違ったようだ。ディーは不思議そうな顔で太陽の位置を確認したりしている。

どれだけ元気なおじさんなのか。

「ヴァン様! あそこをご覧ください!」

馬車の荷台に座って呆れながらディーを眺めていると、ティルが近くに来て大きな声を上げた。視線の先を見ると、ヴァン君印のコンテナハウス風拠点が並んで設置されているのが目に入る。

「おお! ちょうど良いところに休める場所がある!」

「はい!」

思わずティルとハイタッチをして喜ぶ。溜まった疲れが何処かへ行ってしまったかのように出来上がったコンテナに向かって走った。

「おお! 良く出来ているね!」

そう言って壁や扉を叩いてみる。僕の身長が低いせいでもあるが、仮設にしては十分大きくて立派な拠点だ。頑丈に作ったし、陛下が休んでも問題は無い。

「すごく立派ですね」

ティルがそう言って微笑むと、後から来たカムシンが笑いながら口を開いた。

「もしかしたら、この拠点の取り合いで行軍が止まってしまったのかもしれませんね」

「なるほど。それなら僕はあまり怒れないかな」

そんな適当な会話をして、笑い合う。そこへアーブとロウを連れたアルテが現れる。

「こちらで野営を行いますか?」

「そうだね。皆が休めるように、拠点を後二つ追加で建てようか。交代で休めば全員睡眠をとれるよね」

アルテの質問に答えると、アーブとロウが胸に手を当てて返事をした。

「は! それでは、さっそく拠点作りを始めます!」

元気な声で返事をすると、なぜか楽しそうに二人で密談をしてから他の騎士たちに向き直る。

「アーブ一番隊! ロウ二番隊には負けられんぞ! 素早く拠点を作れ!」

「ロウ二番隊! 日頃の特訓の成果を見せるぞ! 頑張ろう!」

二人が号令を発すると、それぞれの部下達が返事をして駆け出す。どうやら、これまでもこのような対決をしてきたのだろう。誰も疑問も持たずに勝負が始まっていた。

人数が多いこともあるが、その対戦形式のおかげだろうか。拠点は瞬く間に完成する。

「どうぞ、ヴァン様! アーブ拠点に!」

「いえいえ、こちらの方が快適ですよ?」

二人が出来たばかりの拠点の前に立ち、再度張り合いだした。それに苦笑しつつ、僕は馬車の上に積んだコンテナを指差す。

「それは後で決めるから、もうちょっと拠点を作っておこうよ。休める人を多くしないと、交代で休むのも限界があるからね」

そう告げると、二人はまた拠点組み立て勝負を始めるのだった。