軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

323 精霊女王の解放

世界樹へと近づくと、属性龍達はブレスを発動させてくる。

そしてそのブレスが切れたところでさらに世界樹への接近を試みると、魔法で妨害されることが分かった。

正直、光龍と雷龍の魔法攻撃はブレスよりも魔法攻撃の方が速く強力もので、ブレスを発動してもらっている方が楽だと分かった。

そして闇龍は常時重力操作しているらしく、それは近寄っただけで地面に叩きつけられそうになるぐらい強力なものだった。

唯一龍神である毒龍の魔法攻撃だけは、俺に効くことはなかったので、毒龍のブレスが止んだ後に毒属性魔法をわざと身に受けて世界樹へ向かう作戦を立てた。

そして身体強化に雷属性で移動速度を上げ、作戦通りに毒龍の横を通り抜けて、もう少しで精霊女王まで辿り着くところで、聖龍が待ち構えていた。

「でも聖龍がいることは、こっちだってわかっているよ」

一瞬の間があればいいのだから、俺は聖龍を氷壁で包んだ。

直ぐに砕け散る氷壁だったけど、俺にはそれで十分だった。

封印よ解けてくれ。

そう願いながら、俺はディスペルを発動してみた。

すると眩い光が精霊女王を包み込んだ……しかしそれだけだった。

精霊女王が世界樹から離れることも、目を覚ますこともなかったのだ。

「チィイイ」

そんなことをしているうちに、身体に重力が掛かり始めた。

どうやら闇龍が魔法を発動したようだ。

俺は一旦世界樹から離れようとして、進路に聖龍が目に入った。

そして何故、精霊女王に魔法が効かなかったのかが理解した。

そう聖龍が結界魔法を張って、俺の魔法を無効化したのだ。

属性龍を倒すことは既にそこまで難しいことではない。

でも本当にそれでいいのか悩みながら、一度離脱することにした。

「問題は本当に倒してもいいのかどうかだ。何処かで決断しなくちゃいけないよな」

選択肢はそこまで多くなく、時間も有限であることから、ひとまずレベルを上げることにした。

魔物達へ一撃ずつ与えながら離脱。その後は属性龍達のブレスで屠ってくれれば勝手にレベルは上がっていくだろう。

致命傷を受けずに、考えてごとをするにはちょうどいいと考え、直ぐに実行に移すことにした。

正直な話、魔物に一撃でも入れておけば、龍のブレスで倒してもらっても経験値が手に入り、レベルが上がるというやり方は好きではない。

それはブロド師匠やレインスター卿との訓練がそう思わせているのかもしれないけど、 それでも死ぬよりは全然マシだと自分に言い聞かせてから、魔法による遠距離攻撃を開始した。

世界樹へ向かう魔物を攻撃した結果、こちらに標的を変えて攻撃してくる魔物はいなかった。

もちろん近場いた魔物は襲ってくることもあったのだが、優先順位はやはり世界樹のようで、属性龍と世界樹へ襲い群がっていく。

それらの魔物は世界樹へ到達することが出来ず、属性龍達のブレスにより一瞬で消え去っていく。

レインスター卿に教わった時のような強くなるという感覚はあまりないけど、着実に強くはなっているんだろう。

色々と考えているうちに、聖龍が属性龍達へ時々ブレスを放っているのが見えた。

なんで怪我を負った訳でもないのに、ブレスを吐いているんだ? 別の目的があるのか? 考えられるとしたら魔力が回復するとかか?

もしそうならレベル上げを終えた後で、やはり聖龍は倒さないといけないのか……。

ブレスは無理でも、魔法を封じることが出来れば、均衡は保ったまま精霊女王を救出出来るのに。

そんなことを考えながら、レベルだけが勝手に上がっていった。

それでも打開案が出てこない状況に焦りだけが増していく。

属性龍はこれ以上、どうしても倒してはいけない気がしていた。

これ以上倒すと、魔物の侵攻する勢いの方が強くなるからだ。

「何か聖龍の魔法を使えなくさせるスキルかアイテムがあればいいんだけど思いつかない……あ」

俺は自分でそう呟いて、一度だけ試練の迷宮の最初のボス戦で、魔法を封じられたことを思い出した。

試してみる価値はある……か。

封じ込めるのは闇龍と闇精霊の魔力を同時に使えばいいかな。

あとは聖龍にちゃんと効いてくれさえすれば。

俺はそこまで考えて、一旦魔力を回復するために、安全エリアへと向かった。

そして食事と睡眠を済ませると、今度こそ聖龍の力を封じることにした。

聖生自身に毒龍が噛みついたということは、聖龍には魔力が通る。

だからこそ聖龍へ近づき、龍魔法と精霊魔法を使ったオリジナル封魔結界を発動させる。

いつも通り毒龍から吐かれたブレスを躱すと、今回は精霊女王ではなく聖龍へと向かって進む。

「ちょっとこれで魔法を封印させてくれ【封魔結界】」

これで本当に聞いているのであれば、精霊女王に掛かっている魔法を消すことが出来れば開放出来るだろう。

「【マジックキャンセル】【ディスペル】」

魔法を解除して、封印を解く為に魔法発動させると、精霊女王が輝きだし巨大な姿から人の大きさへ縮んでいく。

そして磔にされていた身体が世界樹からゆっくりと解放されるようにすり抜け落ちていく。

「よし」

俺は直ぐに精霊女王の元へ飛び、精霊女王を抱えた。

ようやく迷宮から精霊女王を解放することには成功した。

しかしこれで全てが終わったわけではなさそうだった。

属性龍達に縛りがなくなったかのように、世界樹もお構いなしでブレスや魔法で攻撃し始めてきたのだった。

全力で世界樹から離れるために身体強化と風龍、雷龍の力を借りて一気に離脱した。

光龍と雷龍はこちらへ魔法ブレスや魔法を放って来るけど、精霊女王が解放されたことで余裕がなくなったからなのか、直線的な攻撃を仕掛けてきていた。

ただ予想外にも、魔物達は世界樹へと移動していく。

とりあえず精霊女王にエクストラヒールを発動した俺は、起きそうにないけど、一応精霊女王に声を掛ける。

「精霊女王、ラフィルーナ精霊女王、大丈夫ですか?」

「……」

やはり反応はない。

何とか属性龍達の攻撃範囲から出ることに成功したので、一度森に着地して精霊女王起こさなければ、この迷宮から出ることは出来ないのだろう。

「起こさないといけないんだからしょうがないよな」

俺は意を決して、物体Xの樽を取り出すと、その蓋を開けた。

精霊化していないのであれば、絶対にこれで起きるはずだ。

何となくそんな確信があった。

そして俺の読み通り――。

「ウッ、臭……過ぎる」

意識は取り戻したらしい。

直ぐに樽の蓋を締め、浄化魔法を発動した俺は、再び精霊女王へ声を掛ける。

さすがにこの状況でふざけることは出来ない。

「精霊女王、ラフィルーナ精霊女王、大丈夫ですか?」

「レイン……ではないようね。それでも懐かしさを感じるのは、貴方が転生者だからですね」

精霊女王なら、全てを見通せてもおかしくないか。

「はい。レインスター卿と同郷の者です。龍神とフォレノワール……光の精霊と闇の精霊から頼まれて、貴女を迷宮から解放しに来ました」

「……そう。それでここから出る方法が知りたいのね?」

「ええ、何も聞かされないうちに飛ばされたので、どうやって帰るかも分かりません」

きっと簡単に出る方法なんてないだろうな。

「この迷宮の出方は二つ。一つは世界樹を倒すこと。もう一つが世界樹の下にいるこの迷宮を作り上げた者を倒すことしかないの」

「……それって邪神ですよね?」

「いえ、この迷宮を創りだしたのは時空龍よ」

「何故主神であるクライヤがこんな迷宮を作ったんですか? それよりも何故貴方は迷宮に囚われていただんですか?」

「世界樹を切り落としたのが私、正確には私達だったからよ」

「……」

精霊女王の言葉に俺は混乱することになるのだった。